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可哀想な人
ふっと、景色が一変した。
行方不明になっていた妹と、知らない人が何人か。
見てすぐにわかった。
あぁ、彼女らは愛し合っているのか。他人にしては近い距離と、その目に映る感情。
妹とその隣にいる彼は、愛し合っているのか。
両親が、私が、いろんな人が、血眼になって探し続けている彼女は、こんなところで恋愛ごっこですか。
ひどく冷めた考えに吐き気もしたけど、そんなものはどうだっていい。
私を眼前に、状況を理解し始めただろう妹が泣き出した。
会いたかったと呟いて。
ねぇ知ってるかな。あなたのその思い以上に、あなたに会いたいと言って死んだ人がいること。
「久しぶり。」
「姉さん!」
抱きつかれた。
やめてくれ、吐き気がする。
でもそれらを全部ひっくるめて、私は笑顔を作った。
仕方がない。だって彼女はきっと何も知らないのだから。
仕方がない。だって彼女以上に必要に思われなかった私は、きっと努力が足りていなかったのだろうから。
仕方ない。しょうがない。
そうやって諦めるしか方法はないのだから。
「ところで、ここはどこかな?」