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鍵の絵本
女の子は気が付けば、知らない部屋の中にいました。
お気に入りの赤い傘、スカイブルーのカッパはそのままに。
当たりを見渡せば扉扉扉扉・・・鍵付きの扉ばかり。
下を見下ろせば鍵鍵鍵鍵・・・個性的な鍵ばかり。
女の子はとりあえず鍵を拾って、その鍵に合う鍵穴を探し出しました。
あっさりと、鍵はカチャリと音を立て扉は開きました。
「こんにちは。」
人影を見つけたので、挨拶をしました。
その人影は女の子の方をむいて、こんばんはとかえしました。
そのお人影が腰掛けていたのは積み上げられた本。
アンバランスに積み上げられた本は崩れてしまいそうな危うさを持っていましたが、それに座る少年は気にもせず座っていました。
「・・・こんにちは、お嬢さん。」
にこり、とおよその幼い容姿には不似合いな笑みを浮かべました。