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73話

 翌朝マメの鳴き声と馬のいななきで目が覚めた。


「……オリビアさんは、ここにいてください!」

 俺は声を押し殺してそう言うと完全気配遮断を発動して外に出た。


 すると狼の群れが300~400メートル先から用心深くこちらを伺っているのが見えた。少なくとも視認できるだけで6体はいる。相手とはまだ距離があり伺っている状況なのでインベントリからスカイドラゴンの武器防具を取り出して装備。武器は剣と盾を選んだ。


 狼たちからは馬とファランクスしか見えていないはずで、脅威なしと判断したのだろう。徐々に距離を詰めてきた。


 有効射程圏内に入ったところで【鑑定】を発動。


【ファングウルフ:牙が大きく発達した狼の魔物。素早い。Eランクモンスター】


 いつだったか銀山の帰りに遭遇したが倒せずスルーしたモンスターなので、今回のこれがリベンジマッチになるか。ファングウルフは素早いが単純な爪と牙による物理攻撃しかしてこない、今のレベルからすれば低ランクと言って良いモンスター。群れは1ランク上がって脅威度はDランクとなるが、それもスカイドラゴンを倒した俺とDランクにレア進化したマメからすれば、何とかなりそうな相手ではある。


 【ファランクス・システム】を初めて運用する相手としては、もってこいだ。


「マメ、お前は水球でけん制しつつ、メテオライト弾で仕留めろ。馬と【ファランクス・システム】を守ることを最優先に動いてくれ」

「ワン!」


 俺は傍に来ていたマメにそう指示すると、マメは見晴らしの良いファランクスの天辺まで駆け上がり、水球攻撃の源となる大きな水の塊を頭上に作り浮かばせた。


 このように具体的に指示をすると、システム上なのかマメが賢いだけなのかは定かではないが、結構思った通りに動いてくれる。



 こうして双方の戦闘準備が整ったところで、ファングウルフのリーダーと思しき一際体格の大きな個体が遠吠え一つ。へっへっ! と息を切らしながら全速力で駆け、一斉に距離を詰めてきた。


 物陰に隠れていた個体も加わり敵は総勢狼8体による雪崩攻撃の構えだ。



 ……まずはこちらから初手を打たせてもらおう。


「マメちゃん、やっておしまい!」


 俺がそう言うとマメは「アオン!」とひと鳴き、雪崩の中心にバレーボール大の水球を3連射した。それを飛んで避けたファングウルフ一体の眉間に向けてメテオライト弾を発射しクリティカルヒット。ファングウルフは脳漿をぶちまけて絶命。見事なヘッドショットだった。


 ――まずは1体。残り7体。


 それに一瞬怯んだ狼たち。これで帰ってくんないかな? と思ったのは束の間、リーダー格の個体が一吠えし再び雪崩攻撃が再開された。


 蛮勇か、それともよほど腹が減っているのか。


 まあそんなことはどうでもいい。来るなら来やがれ、全員返り討ちにしてやる。

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