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59話

 それから数日後、いつもの朝の鍛錬が終わり鉱業ギルドでいつものようにミスリルの精錬をしようと赴くと、イケメン貴族がタップダンスを踊っていた。


「3段階目の最終ダンスなのじゃ……、これでダメなら諦める習わしなのじゃ……」

 とはドワーフのユグノーじいさんの言。


 なんのギャグかと思ったが、どうやら今回も本気のようだ。


 オリビアさんとリリアさんが俺が見たことのない氷の微笑を浮かべている。


 ……あ、これはアカンやつや。目を見ればわかる。二人ともめっちゃキレてる。今は話しかけずにそっとしておこう。


 イケメン貴族は求婚を断られ、今度こそトボトボと帰っていったのだった。




 さて気を取り直して鍛冶仕事だ。


 そして鍛冶仕事の方は、ようやくCランク熟練度Lv7に到達。最上級品質のミスリルの剣が初めて一つできた。


 ステータスの影響もあるので上級の中で稀に最上級ができる、という感じだが、ともかく作れるようになった。これでようやくミスリル装備にカードを挿すことができるようになる。



Name:Hide(BaseLv18)

Job:blacksmith(JobLv14)

HP:105

MP:99

Status:S(筋力)22+4、V(持久力)16+4、A(素早さ)5+3、D(器用さ)6+8、I(知能)20、L(運)2+6(Rest0)

Resistance:水属性20%

Skill:完全気配遮断、言語理解、鑑定、マイニングLv4、鉱石ドロップ、所持重量限界増加(鉱石)、武器製作Lv4、防具製作Lv4、メルトダウン、装備修理、ジュエリーブーストLv4、スラッシュLv4、シールドガードLv2(Rest0)

鍛冶熟練度:FランクLv8、EランクLv7、DランクLv6、CランクLv7

pet monster:マメLv6/10(ポメラニアン・ウォーターウルフ)

所持金:1781352arc


 不要なミスリル装備の売却でお金がさらに増えた。


 ステータスポイントは流石に素早さと器用さが低すぎるので、そちらに振った。剣を使う場面ではどうしても必要なステータスだからな。


 朝の鍛錬で戦士スキルは剣の威力を上げるスラッシュと、盾でダメージ軽減をするシールドガードのレベルが上がげた。アーノルドさん曰く、攻守の基本技を極めることが一番使い勝手が良いとのこと。


 水球的当て訓練をしていたマメも1レベル上がっていた。




 さて、約束通り、ルベン議長にミスリルの最上級品を献上しないと。


 俺はオリビアさんに今日はルベン議長宅を訪問する旨伝え、鉱業ギルドを後にした。


 ルベン議長宅に行ってみるとイワンさんが門前で警備をしており、執事のアルフレドさんに取り次いでくれた。執事のアルフレドさんに応接室に通されしばらく待っている間、アルフレドさんから「我が家に伝わる伝統の求愛ダンスを私目がレクチャーいたしますぞっ!」と言われたのだが、丁重にお断りした。


 そういえばルベン議長の家も貴族に準ずるような身分か……。あのルチアお嬢様の伴侶となる場合には、イケメン貴族がしてたような恥ずかしい求愛ダンスを踊らないといけないようだ……。


 だからというわけじゃないけど、ちゃんと断らなきゃな。



 仕事の合間を縫って来てくれたルベン議長には、ミスリル剣の最上級品を渡し、ついでに金鉱石の残りの在庫も渡した。


 謝礼金として大金貨3枚、【最上級】をルベン議長に提出したことで、Cランク鍛冶師クエストクリア報酬【魔導ギルドへの紹介状】をもらうことができた。


 これで魔導都市オルフェンに行けば【付術師】か【魔術師】のどちらかに転職試験なしで転職できるようになるはずだ。


 あとは……。


「ルベン議長。俺、好きな人がいるんです。なのでルチアお嬢様との婚約の件はこの場でハッキリとお断りしておかなければと。申し訳ありません!」


 俺は頭を下げた。


「そうか……。私としては残念だが……。しかし良い人がいるのなら、それはめでたいことだ。君が娘婿とならずとも、私は末永く良い関係でいたいと思っているよ。どうかこれからもよろしく頼む」


「もちろんです!」



 俺はルベン議長とがっちりと握手を交わし、邸宅を出た。


 これでようやく懸案事項だった、ルチアお嬢様の件についてケジメをつけることができた。



「もうそろそろ、この町ともお別れか……」



 俺はある人の顔を思い浮かべていた。男女関係で責任を取ることは何となく苦手な俺だったけど、今回ばかりはうやむやにして別れるような真似はしたくない。


 ――誰かのために生きてみなさい。人は自分のために生きるだけじゃ、生を実感できるようには作られちゃいない生き物なんだよ。


 頭にアーノルドさんの言っていた言葉が浮かんだ。



「どうしたもんかね……」



 時刻は夜。宿への帰り道、スズムシに似た虫の音が夏の終わりを予感させてくれた。

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