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41話

 鉱業ギルド中庭で、鍛冶道具とは別にインベントリから先ほど購入したペットモンスターの卵と孵化器を取り出して暖めてみる。たぶんこれで合っているはず。


 しばらく待つと卵が割れ、アオーンとひと鳴き。【ポメラニアン・ウルフ:Fランクのペットモンスター。弱い。ペットバフ、L(運)+1】が産まれた。


 ウルフと言いつつ、見た目は豆柴カットのポメラニアン。それも子犬だ。さっきから尻尾をフリフリ、俺の右足に頭をこすりつけており滅茶苦茶可愛い。


 卵から哺乳類っぽいモンスターが産まれるというのは変な感じがするけど、この【アルカナ・エクリプス:ゼロ】ではペットモンスターのテイミングに成功すると一度卵になるという仕様になっていた。


 今はFランクの最弱のペットモンスターだが、一応【アルカナ・エクリプス:ゼロ】にはペット進化の要素があった。FランクがEランクに進化するにはモンスターが上限レベルに達することと、Fランクの正位置のカードが20枚、Fランクの逆位置の鬼畜レアカードが1枚を素材に進化できる、という仕様だった。まずこいつを進化させるにはFランクの正位置カードを20枚集める必要があるが、とんでもなく金がかかる。


 あとは、エサやりやナデナデをサボると友好値が下がり、ゼロになるといなくなるというシステムだったはずだ。


 エサのカリカリを与えナデナデをしてみたところ友好値が2上がったので、とりあえずは大丈夫だろう。


 ステータスを確認すると確かにL(運)が1上がっていた。ついでに名前もつけれるようなのでステータスウィンドウのペット欄に飛び【マメ】と入力。名前は豆柴カットの見た目からとった。


「今日からお前はマメだ。よろしくな」


 マメはワン! と嬉しそうにしていたよ。



 では本題。今日からはミスリル素材に挑戦だ。今は武器製作Lv4があるので、まずはそれで作れるハンマーや金床などの鍛冶道具を作ろう。それができた後はマイニング用のツルハシも作りたい。ミスリルならこれまで掘ったものを沢山隠し持っているので素材には困らないが、バレたら大騒ぎになる木陰になっているところでやろう。


 使用スキルは武器製作Lv4にメルトダウン。使うレシピに素材も完璧。ハンマーや金床などの鍛冶道具はDランクのメテオライト製(劣化品)だが最初なので仕方ない。成功することを祈ろう。


 カンカンカン、ジュワー。


 鳴り響く間の抜けたエフェクト音


【ゴミクズ】


 うわ……、なんか黒いゴミのようなものができた。これは粗悪品ですらないゴミ。流石は高ランクへの挑戦、一筋縄ではいかないか。


 …

 ……


 それから何度も素材をゴミと化した末、ようやくできた。


【ミスリルのハンマー(粗悪品)】

【ミスリルの金床(粗悪品)】

【ミスリルの火ばさみ(粗悪品)】


 一応粗悪品ではあるができた。ここまでどれだけミスリルを消費したんだろう……。金額換算するとヤバイことになりそうだ。


 しかし、そろそろMPが尽きそうだ。俺は座ってマメちゃんと遊びながらMP回復に努めることにした。


「あああ! ワンちゃん可愛い~~~~~!!!」

 木陰の目立たない場所で休んでいるところをオリビアさんに見つかった。

「ああ、オリビアさんお疲れ様です。これさっき言ってたモンスターペットのマメです」

「きゃ~~~~!!! ハイドさん触っていいですか?」

「ええ、もちろんですよ」

 俺は汗を拭きながら、マメとオリビアさんに譲る。オリビアさんはマメにデレデレになり、「マメちゃん、どしたの~!」という定番のセリフを吐きながら撫でまわしていた。


 どうやらオリビアさんも犬派らしいな。


「どしたどしたあ~~~? なんだか騒がしいぞ~?」

 そんなことをしていたらリリアさんがオリビアさんの喜声を聞きつけやってきた。

「みてみてリリア! すっごく可愛いのっ!!!」

「うわ~~ホントだ~!!!! この子マメちゃんって言うの? はい、マメちゃんお手」


 ざわ……、ざわざわ……。


 ギルドワンツーの美女二人が子犬を前にキャッキャウフフを始めてしまった。鍛冶師連中が黄色い声に鼻の下を伸ばしつつ、なんだなんだと集まってきた。


 やばい。このままだとミスリルで作った物がバレてしまいそうだ。


 ……仕方ない。


 俺は鍛冶道具一式をインベントリにしまうと完全気配遮断を発動した。


「あれ? マメちゃん、ハイドさ~ん! どこですか~~~~!」


 オリビアさんが突如消えたマメと俺を探し始めた。相変わらずマメはオリビアさんの足にまとわりついているにもかかわらず、だ。


 どうやらモンスターペットにも完全気配遮断の効果が及ぶようだ。

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