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38話

「あの岩陰に隠れましょう……!」


 化物はまだ俺たちに気が付いていない。その隙に俺たちは先ほど掘削した岩穴に隠れることができた。


「あれはオークの上位個体オークジェネラル! なんでこんなところに……」

 オリビアさんはオークジェネラルだと言う。一応鑑定を発動してみると。


【オークジェネラル:オークの上位個体でDランクの魔物。属性:地属性】


 確かにオリビアさんの言う通り、化物の正体はジェネラルオークだった。


 問題はDランクの魔物に今の俺のレベル・ステータスでは敵わないということ。いくらマイニングで頭部にヒットすれば通常攻撃の450%のダメージを与えられると言っても、それは一撃で倒せないと反撃されて詰んでしまう。持っている相性の良い火属性武器は鉄のツルハシのみ。


 オークジェネラルは【アルカナ・エクリプス:ゼロ】の中でもかなりのタフネスを有する中盤モンスター。一撃で倒すのは流石に無理がある。


 ……正直、厳しいと言わざるを得ない。


 でもどうする? 俺一人なら、完全気配遮断で逃げることも可能だった。だが今はオリビアさんがいる。ヤツから俺だけ逃げるという選択肢はありえない。


 考えねば。俺が戦って死んでもいけない。ヤツに勝てる方法は。


 ……その瞬間、脳裏に一瞬の閃きを感じた。この感覚は覚えがある。


 俺の脳が言っている。ルールをハックせよと。ルール策定者の思惑通りに動いてはならないと。考えろ。脳が擦り切れるまで考えて考えて考え尽くすんだ……っ!


 ……そして俺は、今度もその閃きの正体に気が付くことができた。


「オリビアさん、俺があいつを必ず倒します。ここで隠れていてください……」


 死ぬかもしれない。でも俺は覚悟を決めた。


 ――完全気配遮断、発動。


 やることは単純ないつもの作業だと自分の心に言い聞かせる。


 明鏡止水。心を鏡のように落ち着かせる。俺は今から鍛冶師としてインゴットを精錬することになる。


 突っ立っているオークジェネラルの背後に回った俺は、掘った鉱物を出して足場を作る。その上に上がり、オークジェネラルの頭部の位置からDランク鉱石で作られた【メテオライトのハンマー(劣化品)】を使い……。


 ――メルトダウン発動。Dランクインゴット精錬。


 俺は無言でスキルを発動する。


 ゴゴウとゼロ距離で発動した激しい炎で炎上する頭部。と同時に俺の右腕からハンマーが振り下ろされる。


 カンカンカン、ジュワー。


 間の抜けた鍛冶精錬のエフェクト音が辺り一面に鳴り響いた。果たしてインゴット精錬は成功したのか……?


 数秒の時を経て、オークジェネラルを包んでいた水蒸気が晴れ状況が明らかとなる。


 そうして後に残ったのは、頭部をインゴットに変形させその上から不格好に兜を被ったままの状態で立ったまま死んでいるジェネラルオークの姿だった。

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