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25話

 ステータスウィンドウをよく見ると、素材ランクごとの製作熟練度レベルが設定されていた。


 Fランク素材の製作熟練度レベルの経験値バーが30%ほどたまっていたので、先ほどのナイフ製作で熟練度経験値が入ったみたいだ。


 【アルカナ・エクリプス:ゼロ】では製作系スキルで作る物の出来にはD(器用さ)とL(運)が関わっていたはずだ。ステ振りのことも考えないと、粗悪品の山を築いてしまうことになりそうだ。


 あとはブラックスミスのジョブレベルが2になっていたので、【防具製作Lv1】を取得した。後で青銅の防具も作ってみよう。


 作った【青銅のナイフ(粗悪品)】をオリビアさんのところへ持っていくと、買い取り価格は小銅貨1枚だった。よくわからんゴミのような金属の塊を買い取ってくれただけ良心的なのかもしれない。


「ハイドさんはまだ始めたばかりなんです。それに皆さん最初は失敗するものですし、まだまだこれからですよ! 頑張ってくださいね!」


 小銅貨1枚を握り締め哀愁を漂わせていた俺を見るに見かねてか、オリビアさんはそう俺を励ましてくれた。


 年下の女の子に励まされるとは情けない。今は神様のおかげで見た目は同い年か俺の方がちょっと年下くらいに見えると思うがそういう問題ではない。意地でもまともな装備をつくってやる。可愛い女の子に意地を見せたくなるのは、やっぱり男の性だ。


「わかりました。……俺、頑張ります!」


 オリビアさんのおかげで俄然やる気が出てきた。


 それから俺は売店のドワーフのおっちゃんから青銅のインゴットを大銀貨1枚分追加購入し、日が暮れるまで鍛冶作業に没頭したのだった。


 結果、青銅のナイフ3本、青銅の鎧、小手、具足、盾、兜ができた。ナイフの品質は粗悪品が2本に劣化品が1。防具はすべて劣化品だった。


 作業の途中で熟練度レベルが上がったおかげで粗悪品から劣化品が作れるようになったようだ。見た目も先ほどのゴミのような粗悪品よりかはちょっとはマシになった。


 作業を終えたところで間の抜けたファンファーレが鳴り、ベースレベル、ジョブレベルともに1ずつ上がった。


 そしてFランク素材の製作熟練度レベルは現在3になった。


 青銅防具を鑑定してみたところ、今の皮装備よりは防御力が高いので自分で装備することにした。これぞ男のロマン、自分の作った装備で冒険に出ることが一応できるようになったぞ。


 先ほどのリベンジだ。装備一式をさりげなく身に着けてオリビアさんに見てもらおう。


 俺は鼻の穴を膨らませつつ、青銅防具フルセットとナイフをさりげなく装備してオリビアさんの元に向かった。


 するとどうだろう。他の男鍛冶師たちも考えることは同じようで、作業中はクソ暑い中裸同然の恰好だったのにもかかわず、全身フルアーマー状態の恰好でカウンターに列を成していた。


 鉱業ギルドの二大看板娘といった感じで、オリビアさんともう一人はスタイルの良い金髪美女が長蛇の列をものすごいスピードで捌いていた。


 ……全然さりげなくねえ。そして暑苦しいにもほどがある。こいつら女の目にどう映っているか全く考えてないみたいだ。恋は盲目なり……。


 同じ穴のムジナになりたくなかった俺は装備をインベントリにしまい、いつもの普段着に着替えオリビアさんの列に並んだ。金髪美女の列が若干長く、どうやらそっちが人気ナンバーワンっぽい。


 列で待っていると、隣の列に並んでる全身フルアーマー筋肉ダルマ男がブルブルと手を震わせながら 「今日こそリリアちゃんに俺の美しい鎧を褒めてもらうんだっ……!!」と鼻息荒く言っているのが聞こえてきたので、あの金髪美女はリリアさんという名前みたいだな。


 俺の順番が来て、カウンターに今日作ったものを並べると、「うわあ、上達早いですね! この調子です、頑張ってくださいね!」と褒められた。美女にこんなに褒められて嬉しくない男などいない。事実、鍛冶師の男どもはオリビアさんにメロメロのようで、俺の方をジロリと睨んできている。おっかねー。


 俺は完全気配遮断したい衝動を何とか抑える。


「では今日処分するのはこれとこれでお願いしてもよろしいですか?」

「はい。ではナイフ3本が小銅貨7枚、皮の防具3点は大銅貨6枚になりますね」

「それでよろしくお願いします」

「はい、ではこちらが買い取り金になりますのでご確認ください。……それではまたのご来店、お待ちしております~」


 俺はオリビアさんに軽く会釈して御礼をした後、鉱業ギルドを出た。そういえばレベルが上がっていたなと思い出しステータスウィンドウを開く。ステータスポイントの余りが3とジョブレベル1上がった分だけスキルを取得できるので、必要なものに振っていく。


Name:Hide(BaseLv8)

Job:blacksmith(JobLv3)

HP:35

MP:55

Status:S(筋力)13+1、V(持久力)3+1、A(素早さ)3、D(器用さ)4+1、I(知能)14、L(運)1+1(Rest0)

Skill:完全気配遮断、言語理解、鑑定、マイニングLv4、鉱石ドロップ、所持重量限界増加(鉱石)、武器製作Lv2、防具製作Lv1(Rest0)

所持金:29108arc


 ステータスは製作物の出来に影響すること、純粋な攻撃命中率に影響するD(器用さ)に3ポイント振った。スキルは武器製作をLv2にしておいた。これで武器はEランク素材を作れるようだが、Eランク素材のレシピ本を手に入れる必要がある。



 さて、ずっと作業しっぱなしで疲れたな。全身汗と煤まみれてべとべとして気持ち悪いし。今日はもう宿に帰って水浴びでもしてさっぱりしたい。


 俺は露店で適当な飯と着替えの服を買い宿に戻ることにした。

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