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21話

 もちろん俺の作戦がこれで終わりなはずもなく。


 さあ、どんどん追い込んで行こう。



 ルベン議長から改革派ミゲル議員とヤフコフ議員の家族構成から邸宅の場所まで詳しく聞いていた俺は、邸宅のある高級住宅街へと先回りする。


 物陰に隠れ最初の第一ターゲットであるミゲル議員を待つ。


 憤慨した様子で馬車から降りたミゲル議員を完全気配遮断を使って後ろにピッタリついていく。もちろんMP切れは致命傷になるので気を付けながら。


「あらあなた、今日は早かったのね~」

「ああ、ただいま。今日は何か変なことばっかり起こりよる。ワイちょっと疲れたわ……」

「そうですか。ではゆっくりなさってくださいまし」


 そうミゲル議員を奥様が出迎えたところで俺は作戦を実行に移すことに。アダルティな方の下着をミゲル議員の頭に巻き付け、頬にキスマークを描いてみた。


「あなた……。それどうしたの……?」

 ゴゴゴゴゴゴゴ。という擬音がぴったりな気配を漂わせつつ、奥様が静かに怒ってらっしゃるのがわかる。


「お前、何をいってるん? ん……、まさか……!?」

 何かを察するミゲル議員。いい加減学習すればいいものを、自分の頭に巻き付いた布を奥様の前でビローンと広げてしまう。


 バチコーン!!


 ビンタ一発、ミゲル議員にかました奥様はノシノシと鼻息荒く去っていく。ミゲル議員は驚きの余り腰を抜かし、ビンタされた頬を呆然とした表情をしながら押さえていた。



 その後、部屋で一人ションボリしているミゲル議員の目の前に俺はそっと「ガープ銀鉱山の件から手を引け。さもなくばお前の政治生命は終わりを告げるだろう」と書いたお手紙を落とした。


「ふざけおって! ワシはこんな脅迫には屈せぬぞおおおおおお!!!」


 ビリビリと手紙を破るミゲル議員であった。


 まあ今日のところはこのくらいでいいだろう。MPの数値がかなりギリギリになっていた。あまり長居しないように気を付けよう。


 次は第二ターゲット、ヤフコフ議員のお宅訪問の時間だ。


 ミゲル議員の邸宅を出て完全気配遮断を解きMPを回復した後、割と近場にあるヤフコフ議員宅に赴いた。


 再び完全気配遮断をアクティベートして邸宅に侵入。その時ヤフコフ議員一家は丁度夕飯時で食卓を囲っていた。


 ヤフコフ議員の家族構成は奥様と娘二人。丁度高校生と中学生くらいの年頃の娘さん二人だった。その4人が豪華な料理を囲って家族一家団欒のひと時を過ごしている。


 お前にも大切な家族がいるんじゃないか。なぜ他人の娘に手を出すような愚を犯せる。もし自分の娘が同じ目にあったら? と想像力が働かないのか不思議でならん。権力者になると他人の痛みがわからなくなる、サイコパス性が増すというのは本当なのかもな。


 下衆には相応しい天誅を。


 俺はイチゴ柄の子供用女性下着をヤフコフ議員の頭に乗せ、今度は口紅でおでこに可愛い感じの小さ目なキスマークを描いてみた。何事も遊び心は大切だからな。


 すると効果は如実に現れた。


「パパ……、それ何……?」


「なんだい、ワイの可愛いキアラ。パパの顔に何かついてるかい?」


 長女と思しきキアラちゃんの視線を辿り、頭とおでこを触るヤフコフ議員。テーブルの上にパサッと落ちるイチゴ柄のブツが一枚。


「ん、なんやこれ?」


 よせばいいのに、こいつも家族全員の前でびよーんとそれを伸ばしてみせてしまった。奥様はもちろん、多感なお年頃の娘さん二人の視線が急激に冷たくなっていく……。


 俺までなんだか背筋が寒くなってきたぞ。我ながらなんという恐ろしい作戦を思いついてしまったのか……。


「パパの……、変態!!」

「あなた……、見損ないました。実家に帰らせていただきます」

「ちょい待ちーや!! これは何かの間違いやあああああああ!!」


 家族の一家団欒は一瞬にして灰燼と帰したのであった。



 その後、部屋で放心状態になっているヤフコフ議員にもミゲル議員と同じ内容のお手紙を机の上に目立つように置く。


 ヤフコフ議員もそれを読むと、憤慨したように地団太を踏んでいた。

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