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17話

 検問の列には並ばず完全気配遮断を使って西門からオーエンの町に入る。


 俺はそのままルベン議長の邸宅に向かった。途中井戸水を汲み水筒に補充、水分補給をする。ついでに埃と汗まみれの頭に水をかけ汚れを落とす。


 ルベン議長の邸宅に着くと、この間と同じ赤髪のお姉さんが門番をしていたので「緊急で報告しなければいけないことがある」と伝え通してもらった。


 応接室で待っているとルベン議長がやってきた。


「ハイド殿、おはようございます。それで緊急の要件とは一体……」


「実は昨晩ですね……」


 俺は昨晩銀鉱山で改革派議員2名と宿場町のとりまとめ役と思われるリビオという男がしていた会話をルベン議長に伝えた。


 俺の話が進むにつれ、ルベン議長の顔が怒りで紅潮し、ぷるぷると震えだした。


「ふざけるなああ!! ルチアちゃんを誘拐するだけでは飽き足らず、あんなことや、こんなことまでするだとおおおおお!? ふざけるなあああああああ!!! 絶対に許さーーーーん!!!」


 ルベン議長がドカーンと大噴火。


 高そうなツボやら調度品を手あたり次第に投げており、俺はそれをひょいひょい避ける。調度品は後ろに控えているロマンスグレーの有能執事さんが手や足で器用にキャッチしている。


「お、落ち着いてください! まだ何も起きてませんから!!」


 激昂するルベン議長を必死に宥める俺。ぜーはーぜーはーと髪を振り乱しながら、肩で息をする大の大人二人。


 ロマンスグレーの有能執事さんは、慣れた手つきで何事もなかったかのように調度品を元の場所に戻し、再びドア横で涼しい顔をして控えている。プロだな。



「……取り乱してすまなかった」


「いえ大事に娘さんのことですから、怒って当然だと思います。それでこの件どうしましょうか? 俺に何かできることがあれば協力します」


「そうだな、だが冷静に考えてみると訴追しようにも証拠は何もない。ハイド殿という証人がいるだけだ。向こうは仮にも議員。リビオをしょっぴくにしても、全力で抵抗してくるだろう。どうしたものか……」


「……俺に考えがあります。ミゲル議員とヤフコフ議員の邸宅の場所、家族構成、わかることを全て教えてください。あと議会はいつ開催されますか?」


「議会は丁度明日からくだんの銀鉱山の件を審議する予定になっておるし、二人の情報を教えることはできるが……。だが何をするつもりだ……?」


「ああいう下衆でプライドだけが高い奴らの心をへし折ってやるんです。きっと奴らの方からルベン議長に土下座してくると思いますよ……」


「……わかった、ならばそちらはハイド殿に任せよう。娘のこともあるが、私はこの町の民の生活を守らなければならぬ。民の生活の糧をみすみす失うことなど、断じて許してたまるか。鉱山爆破の件は、こちらでなんとか防いでみせよう。頼みましたぞ、ハイド殿」


「ええ、乗りかかった船です。お任せを」



 俺はこれどう考えても派生クエストだよなあ……と思いつつも、胸を叩いてルベン議長の依頼を快く請け負った。

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