カバとの再会
早朝に起きたカイ達は簡単な朝食を済ませ、早々と次の拠点に向かい歩いていた。
空は薄暗く、両脇はゴミ山が広がっている。それでもカイ達にとっては慣れた通り道だ。特に問題はなく進んでいた……はずだった。
「おい、そこで止まれ」
知らない声がカイ達の足を止める。ゴミ山に隠れていたのか、見知らぬ男が3人、カイ達の目の前に現れた。雰囲気からして裏の者だろう。カイはアカを守るように前に立ち、3人を警戒する。
「そこを通してくれませんか?」
「それは出来ねぇなァ?」
「お前は……カバ」
「久しぶりだなぁ【鉄屑】ゥ?」
3人側にカバが現れた。だが、昨日と比べて何処か様子が可笑しい。眼孔が開き、壊れた人形のように口を大きく開け笑っている。「狂っている」、その異様な光景を前にカイは慎重に話を始めた。
「……僕たちに何の用だ」
「決まってんだろ、かんゆーだかんゆー!!」
「はぁ……僕はならないって昨日言ったつもりなんだけど?」
「あァ??? 何勘違いしているんだお前は。お前はついて来るんだよォ」
「カバ君、それでは会話にならないでしょう」
支離滅裂なカバの会話に突如片眼鏡の男が入り込んだ。
「はじめまして、ミスター【鉄屑】。私の名は『ノークル』。簡単に自己紹介させて頂くと、カバ君の監視役……といった所でしょうか」
「お前達の目的は何だ」
「一応カバ君が説明してくれた通り、ミスター【鉄屑】の勧誘です。ただし強制と付きますが」
「お前達がその気なら容赦はしないぞ」
「あぁ、ご心配なく。基本的に貴方の相手はカバ君1人に任せますので」
「……?」
ノークルの言う条件にカイは疑問を浮かべる。それもそのはず、カイにとってカバは「敵になりえない存在」だからだ。しかし「ノークルの自信」と「カバの異様な雰囲気」にどこか不気味さを感じていた。
「そういうこった【鉄屑】ゥ。俺が相手してやる」
「カバ、そこをどけ。昨日の痛みを忘れた訳じゃないだろ」
「ははははは!! それがァ???」
「何……?」
カバは大笑いをすると、自分に付けられた首輪を摩る。
「こいつにはな爆弾が付いててなァ? 兄貴を裏切ったらすぐにドカン!! って訳だァ」
「カバ……お前」
「俺には後がねぇんだよ……コーザの野郎は俺の目の前で殺された。失敗したら次はおれの番なんだよォォ!!!!!!」
カバは「もう後が無い」と、精神的に追い詰められ気持ちがハイになっていたのだ。その様子は傍から見て狂っている様に見えた……実際、狂ってしまったのかもしれないが。
カバの置かれた状況に少しだけ同情するが、ソレをどうにかするだけの余裕はカイには無かった。
「来ねぇのか? 来ねぇならコッチから行くぞォォ!!」
「くッ、アカ!!」
「うわぁ!!」
我慢の限界が来たのか、カバはこちらに向かってガムシャラに走り出す。カバとカイ達との距離は2,3m、走り出せばあっという間に詰められる距離だ。カイはアカを強引に引っ張り、素早く後ろに下がる。
「オラァァァ!!」
結果、その判断は正解であった。
カイ達の居た場所はカバが振り下ろした何かによって大穴が開けられていたからだ。
「何だこの威力……まさか!!」
「そう、コイツが俺の適正道具さァ!!」
地面にめり込んだ何かをカバは力任せに引き抜く____"メイス"だ。
そう、カバは適正道具を自覚していたのである。
「そんな、昨日の今日で自覚するなんて……」
「ははははは!! お前もそう思うよなぁ? だが、兄貴とのひゅ、しゅひ……」
「守秘義務ですよ、カバ君」
「そのナントカぎむで話したら俺が死ぬから教えてやんねぇけどなぁ!! ははははは!!!!」
(まさかカバが《自覚者》になっているなんて…………やるしかない)
自覚者____すなわち適正道具が判明した者の呼称である。
自覚者と無自覚者とでは強さに天と地ほどの差がある。それこそカイが負けてしまう程に。
「…………」
カイの余裕は完全に消え、とても手加減しながら戦う相手ではない事を改めて認識する。
唯でさせ4人を相手にしているこの状況でその内の1人が自分と同じ自覚者だと判明した。
カイはアカを守るため、人を"殺す"覚悟を決めた。
おまけ(設定説明)
ソウルを持つだけ超人パワーを得られます(戦争の原因)
そんな相手に一般人が勝てるはずがありません(昨日カバを追い返せたのはソレが理由です)
何て過酷な世界ナンダ―()
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