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ANTI HERO~悪が望む英雄譚~  作者:
反英雄の誕生
3/24

チビとノッポ

「兄ちゃん、今日は肉うってるかな?」

「どうだろうね、お肉はこっちには滅多に出回らないからなぁ」

「そっかぁ……」

「でも、お肉が出てたら、多少高くても買ってみようかな。アカのお陰で今日は大儲けしたからね」

「やったァ!! ありがとう兄ちゃん!!」


 スラム街でもここは比較的人賑わいのある市場だが、食料品は大抵が粗悪な野菜類だ。

 その理由は単純、「こんなスラム街に食料品を売りに来る物好きが少ない」のと「身の安全性」である。それなのに市場で出店を出す人はチェンのような善意で営業している者か裏社会の者だけ。自分の身を削ってまで売る程のメリットはここには無いのだ。

 とは言え、絶対売っていないという訳ではないので「何回に1回はあったらいいな」レベルの軽い足取りで店に二人は向かった。


 しかし。


「おい、【鉄屑】ゥ、ちょっと待てよ」

「待つでグス!!」

「ん? 何だ、お前らか……」

「んにゃろぅ、相変わらず生意気なガキだな!!」

「そうでグスよ!!」


 カイが後ろを振り返るとそこにはチビとノッポの二人組が立っていた。

 彼らの名前は『コーザ』と『カバ』、ここら辺をうろついているチンピラで、誰彼構わず難癖を付けて絡んでくる街の迷惑者達だ。

 その被害はカイ達も例外でなく、「またか」とカイは露骨に嫌そうな顔をするがコーザ達は構わずニタニタと話しかけて来る。


「まぁいい。今日はてめーをかん、かん……」

「勧誘でグス」

「そう!! てめーをかんゆーしに来たんだ!!」

「行こっかアカ」

「うん」

「待てゴラァ!!」

「……」


 会話の内容に全く興味が無くその場を去ろうとするが、慌てて大声で待ったを掛けるカバを見て「無視は無視で面倒事になりそうだ」とカイは渋々話を聞くことにした。


「はぁはぁ……ったく、俺たちは今、()()フーニスの旦那の子分なんだぜ」

「旦那はお前が気に入ったでグス。だからグスたちについて来るグス」

「行こっかアカ」

「うん」

「だから待てって____い、いでぇ!?」


 カバから聞かされた名前にカイは覚えは無かったが、例の伯爵級のヴィランの件もあり早くこの場を立ち去りたかった。

 対するカバはカイに全く相手にされず「馬鹿にされた」と怒り、心頭とカイの肩を引っ張ろうとした……が、伸ばした手に釘が数本刺さり思わず手を引っ込める。


 ゴミ漁りをする事早4年、カイは自身を中心にして半径1m内の釘を自由自在に操る事が出来る様になっていた。従って、範囲内で加速し射出する事も容易いのである。


 詰まる所、カイは鉄釘を射出しカバの手に刺したのだ。のたうち回るカバとそれを見てオロつくコーザを、カイは冷たい目で睨み付ける。


「良い加減にしろ。僕がヴィランの仲間になんてなる訳がない」

「い、良いんだな!? 兄貴に逆らったらどうなっても知らな」

「早く消えろ、次は両目に刺すぞ」

「ひぃぃぃ!!!! に、逃げるぞコーザ!!」

「は、はいでグスぅぅぅ!!!!」


 圧に屈した2人は腰を抜かし、捨て台詞を吐きながら撤退していく。その様子にカイは呆れて溜め息をついた。


「はぁ……全くあの二人は」

「兄ちゃん、行かなくて良かったの?」

「元々明日にでもここを出る予定だったから心配は大丈夫だよ。アカ、帰ったら今日買ったのでご飯作ろうか」

「はーい」


 その後、2人は次の拠点までの必要最低限の生活必需品を買い揃え、市場から出たのであった。




3話見ていただきありがとうございます。

どうだったでしょうか?

しばらくは毎日1話投稿予定ですので、見てくれると嬉しいです。


おまけ(名前の由来)

カバ→馬鹿

コーザ→雑魚

メイン以外の名前なんて印象に残んないんだから雑でええねん。


感想評価ブクマよろしくお願いします。

Twitter→@iu_331

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