初めての任務
新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
いくらか試練があったものの、久々の風呂を堪能したアカ達はそのままホールへと向かうと、机の上にはアカの快気祝いとして大好物のナポリタンが大盛でよそられていた。
「おぉ!!」
「やっと来たか、待ちくたびれたぞ」
「早く座れ腹減ってんだコッチはァ」
「ぬぉおおおお!! ようやく目を覚ましたかぁ!! 我がじっけ「黙れハゲ頭」グフォ!?」
「……フンッ」
各々声を掛けるアンラ・マンユメンバー。それが彼らなりの励ましなのだとアカはこの4年で学んでいた。
アカ達が席に着くと団長はグラスを取り、音頭を取る。
「んじゃま、アカの快気祝いって事で。乾杯!!」
『乾杯!!』
酒でなくリンゴジュースであるがアカはグラスを煽る。美味い。ナポリタンを啜る。当然美味い。アカは自分の中から語彙力が消えていくのを感じた。
「さてと……アカも目覚めた事だし、次の作戦に移るとするか」
「次の?」
「あぁ、オークションに行く前言ったろ? 忘れたとは言わせねぇ」
「あーうん、覚えてるよ」
アカは曖昧な表情で答える。確か「お前にも俺の目的の為動いて貰う」とかそんな内容だったはずだ。正直、あの時は兄の事を気にし過ぎて流れで返事をしてしまった気が……まぁ、今更言い訳しても仕方ない事だろう。
「まぁ今回の任務はそんな難しいもんじゃないから安心しろ」
「そっかぁ……なら安心」
「ちょっくら都市に行ってヒーローになるだけだ」
「ぶふっ!!」
思いもよらぬ任務の内容に思わず吹きこんでしまうアカ。すぐに使用人が綺麗にしてくれたが、内心それどころではなかった。
「ひ、ヒーローになって来い!?」
「今後の展開を考えると、お前がヒーローになっている方が都合が良いからな」
淡々と語る団長であったが、アカにとってヒーローとは「兄の夢」。入都税を払う為に2人で一緒に貯めた思い出を簡単に割り切れる訳が無い。
しかし、今はそれ以上に気になる事が__いったい、そこまでして何をしようとしているのか。アカは団長達の目的が知りたかった。
「なぁ……団長達って」
「とは言っても流石に1人では不安が残る。そこで……ハロ」
「は、はい!!」
「お前もアカと一緒に同行してヒーロー試験を受けて貰う」
「えっ!! でも、私……」
タイミングが悪かったのか、ハロに語り掛ける団長。対してハロは緊張してか少し上がり気味に返事したが、すぐさま気落ちしてしまう。何か問題があるようだ。
「"無自覚者"だからか?」
「……はい。だから、私じゃ無理」
「あくまでお前はアカのサポート役だ。それに。そんな些細な問題どうという事は無い」
「些細……? それはどうして」
「ぬぉおお!! まさか団長!! その実験体2に例のモノ使わせる気かぁぁあ!?!?」
自覚者と無自覚者では戦闘力に天と地ほどの差がある。それ故団長の発言に疑問を覚えるハロであったが、突然博士が何やら興奮した様子で会話に乱入してきた。
「使うには良い機会だろ。何か問題が」
「ある訳無いだろぉお!!!! 早速準備せねば!! せっかくの貴重な実験データじゃあああ!!!!」
「あの……例のモノって」
そう言って興奮冷めやらぬ表情で何処かに消えてしまう博士。
すっかり蚊帳の外になってしまったが、ハロは戸惑い気味にその疑問を口にする…………が、返って来た答えはハロはおろか、アカさえも衝撃を受けるモノであった。
「そうだな……ハロ」
「?」
「"適正道具が分かる"と言ったら……どうする?」
「!?」
(適正道具が……分かる?)
あまりの驚きに言葉を失うハロ。だがそれはアカも同じ。
道具の種類だけ適正道具が存在する。【はじまりの少女】が誕生して早21年経つが、未だ無自覚者が存在するのも無理は無い。
もし、そんなモノが存在していたら__今までの常識が崩壊してしまう。
「ソウル黎明期、まだ国という概念があった頃。とある組織が"誰が使っても適正道具になる道具"を生み出そうと研究を繰り返していた」
それを語る団長の表情は何処か懐かし気であり……恐ろしかった。
「名を《近似武器》、旧世代の置き土産だ」
今年はもっと更新スピード上げたいなぁ……
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