無双する悪
ちと短めです。。。
一方、団長に命令された二人は指示通りオークション会場の破壊の限りを尽くしていた。
「神獣の前足・突き上げ」
「な、何だありゃああ!!」
「砂がコッチに!!」
「踏み落とし」
「落ちてッ!? ぎゃあぁぁぁ!!」
使用人の台詞と共に地面から一本の巨大な砂柱が現れ、その場に居た人々を巻き込み上へと噴き出す。
使用人の適正道具"砂"の幻想【砂人形】は「周囲の砂をイメージした形に変え、自由に動かす」能力。攻守だけでなく諜報、ディダートの清掃作業など万能性に優れた力だ。
____しかし、殺し合いにおいて使用人は傭兵に勝る事は絶対に無い。
「ケケ、ケセラセラ」
血濡れた刀、両目に刺さった2つの短剣はさながら鬼の角。乱雑に積み上げらた屍の山の上に座る悪鬼がそこに居た。
「相変わらず仕事がお早いですね」
「あ? そんな良い事じゃあねェよ。すぐに終わっちまって詰まらねェからなァ」
傭兵は団長に任されたオークション会場の半数を人間を僅か2分足らずで殺しきり退屈そうに座っている。
彼にとって戦いとは殺し合い、命の削り合いだ。無傷で終わる戦いなど殺し合いではない。
「__ァアア」
「__カァ!!」
ステージから騒がしい声とけたたましい金属音が聞こえる。この殺し合い、どちらが勝つかは半々と言った所か。
確かにアカは自分が扱いた弟子。だが相手は子爵ヴィランの護衛、実戦経験ではアカが劣る。初めての殺し合いにしてはいささか厳しい相手だ。
嗚呼、とても楽しそうで羨ましい。
「お前は失望させるなよォ、アカァ……!!」
願わくば我が退屈を癒してくれ。
傭兵は返り血を舐めずり、ケケケと笑った。
~~~~~
「クソッ、こんなはずでは……!!」
オークションの主催者でありアカ達を陥れた張本人、フーニスは絶叫が止まない会場を尻目に裏口に向かって必死に走っていた。
(あの力……間違いなく罪作りな男本人だ。勝てる訳が無い)
「ここまで準備して来たが仕方がない……少しでも足止めになれば儲けモノだ」
フーニスは右手に持っているのは首輪の爆破スイッチだ。奴隷の数は100数人、爆発させれば中々の威力になる。ここ4.5年の成果が消えてしまうのは手痛いが死ぬよりかはまだマシであった。
フーニスは決心し、スイッチを押す__まさにその時、声が聞こえた。
「『押すな』」
「ッ!? ゆ、指が!!」
その声を聞いた瞬間、フーニスのボタンを押す指が凍り付いたように動かない。
すると、"コツコツコツ" 動揺するフーニスの背後から足音が聞こえて来る。
アンラ・マンユ団長、罪作りな男だ。
「今それを押されると困るんだ。だからそれを『寄越せ』」
「ペ、罪作りな男!! くッ、うぉおお!!」
スイッチを渡す為体が勝手に動く。フーニスは悪足搔きと言わんばかりに縄を蛇の如く首元目掛け伸ばしていく…………が、罪作りな男には遠く及ばない。
「『止まれ』」
「あ、あぁ。体が、動かな」
こんな小悪なんぞ、一言あれば十分であった。
罪作りな男はフーニスからスイッチを奪い無力化を確認し後ろへ振り向く。ステージの上では反英雄が相手の適正道具を破壊したのが目に映った。未だ粗さは見えるが、確かに自身が与えた力を受け入れている。
「さて、これで舞台は整った……さぁ俺に証明してみせろ____お前が本物である事を」
その瞳はどこまでも黒く、ドロドロとしていた。
と言う訳で使用人のソウルは砂です。無尽蔵に生み出される砂メイドちゃん達はディダートのお掃除部隊として非常に優秀なのです。
傭兵のソウルについてはまたの機会に。。。
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