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ANTI HERO~悪が望む英雄譚~  作者:
反英雄の誕生
14/24

4年後

台風がやべぇですわ。皆さんも起きをつけて。

 こうしてアカは様々なことをアンラ・マンユのメンバーから学んでいった。


 医者からは怪我や病気の対処法を。

 使用人からは一般常識と世界情勢を。

 博士からは自由な発想を。

 鍛冶師からは自分に合う道具を。

 傭兵からは殺し合う戦闘を。


、そして月日は流れ、4年後____運命の歯車がゆっくりと動き出した。




~~~~~




 激しい金属音が訓練室に響き渡る。打ち合っているのは刀と金属バット、傭兵とアカだ。


 4年間にも渡る戦闘訓練の結果、アカは大きく成長していた。筋肉が付いたおかげで体つきが男らしくなり、身長は30cm程伸びている。

 また成長しているのは肉体だけでなく、戦闘面も同様。相手が狙っている場所を読み取りガード、相手を翻弄し優位に進めるステップ、牽制と本気を使い分けるアタック。傭兵による殺し合いの末、アカは戦闘のいろはを体に深く沁み込ませた。


「はぁぁぁ!!」


 金属バットを脳天目掛け振り下ろすアカ、それを刀で威力ごと防ぐ傭兵。アカは攻撃が通らないと判断すると、すぐさま後ろに下がり間合いを取る。その行動に満足したのか、傭兵は刀を構えるのを止めた。


「よし、今日はここまで」

「ありがとうございました。はぁー疲れたぁ」

「まずまず、及第点ってとこだな」

「及第点って」

「おいおい、俺と本気で殺り合えねぇと満点はくれてやれねぇなぁ?」

「一生及第点な気がする……」


 訓練を終え、ホールにて夜食が開かれた。本日のメニューは好物のナポリタン、いつも通り無我夢中にアカは食べていた。


 すると、おもむろに団長の手が止まる。そして日常会話のように()()()()()を切り出した。


「おいアカ」

「ん? 何です、団長」

「お前の兄が見つかるかもしれないぞ」

「…………えっ」


 さらりと言われた言葉にアカはフォークを落とす。突然の爆弾発言に頭が硬直するが、段々と理解して来るとアカは激しい焦燥感に駆られた。


「ほ、本当ですか!!」


 最後に見たカイは、アカを庇ってボロボロになったあの姿のみ。一応、団長達が周囲を確認したらしいのだが、それらしい人影は見つからなかったのだと言う。

 それが今日、消息不明となった兄が見つかるかも知らないのだ。興奮するのも無理はない。


「あくまで可能性だがな。知りたいか?」

「……はい、聞かせてください」


 アカは一旦冷静になり、話を聞く姿勢をとる。


「その前にお前、フーニスって子爵級を知ってるか」

「フーニス? どっかで聞いたような……」

「4年前、お前ら兄弟を襲わせた元凶がそいつだ」

「!! そいつが、俺達を……ッ!!」


 大好きだった兄との日常を破壊した元凶。それを聞いた途端に沸々と怒りが沸き、アカは歯を食いしばり手のひらに爪を食い込ませた。


「落ち着け。話が出来ねぇ」

「ッ……はい」

「話を戻すぞ。そのフーニスだがな、実はスラムでオークションを開催していているそうだ」

「スラムで?」

「そうだ。あそこは裏の人間が多いからな。物から人まで売買してるんだと。もしお前の兄が捕まっているとしたら、まぁ自覚者として高く売れるんじゃあないか?」

「そんな!!」

「護衛にしている線もあるがな。とにかくそこに行けばヒントくらいあるはずだ」

「じゃあ!! あ、でも俺……」


 アカが口ごもるのは理由がある、それは外出の()()()()()()()()()()()からだ。以前外に出ようとした際「今外に出ても殺されるか野垂れ死ぬだけ」と言われ許可されなかったのである。

 それ故、オークションに行こうとも許可されていないと判断したのだが今回は違うようだ。


「傭兵から及第点を貰ったんだろ? それなら外に出ても問題はない」


 団長は酒瓶を一気に飲み干し、ドンッとテーブルに置く。


「で、お前はどうする」


 他者を恐怖させる圧……だが、アカの決意が鈍ることは無かった。


「行きます。行かせてください」


 その言葉を聞き、団長はニヤリと口角を上げる。


「出発は明日。俺、傭兵、使用人が同行者する」

「えっ!? 付いて来てくれるんですか!!」

「当たり前だ。まだお前には恩を返して貰ってない。この一見が終わったら、お前にも俺の目的の為動いて貰うからな。無駄死にされたらたまったもんじゃない」

「…………」


 正直、団長についてはまだ分からないことだらけだ。


 この4年間、共に暮らしてきたが、団長が日常会話や直接教えることは一度も無かった。

 そのため、アカは「団長が一体どんな人物なのか」を計り知れていなかった。


 疑惑は疑惑を生む。


 結社アンラ・マンユはどんな組織なのか。

 ヒーロー? それともヴィラン? どちらも違う気がするのは気のせいだろうか。

 悪……初めて団長に会った時に言われた台詞が頭から離れないのは何でだろうか。


 だが、それでも____


「分かりました。お願いします」


 何者であろうと、彼らが恩人であることに違いない。

 アカは自分が過ごした4年間を信じるのだった。




めっちゃ時間進みましたね。

カイと再開できるのか? 今後の展開に乞うご期待。


おまけ(見た目イメージ)

4年後アカ:12歳程度(中1)腹筋割れてる元気系


追記:団長との関係を加えました。


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