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第一話 地震

 初めて投稿します。とりあえず読んでいただけたら幸いです。


「正人、起きなさい!遅刻するよ!」


 眠いなぁ、何時だ?

 ん?8時20分...


「やべぇ、あと10分しかねぇ!」

「だから遅刻するよって言ってるのに...」

「なんでもっと早く起こしてくんなかったんだよ!」

「30分前から起こしてるわ!早く朝ごはん食べて準備しなさい!」


 母さんに叩き起こされて、眠いながらもあわてて準備する。朝飯だけは必ず食べる。どれだけ遅刻しそうであっても食べる。食パンはもう焼いてあった。一口食べる。ああ、いつもの味。冷めてて固くなってる。口の中にブッ込んで、牛乳で流し込む。


「歯磨きと顔を洗うぐらいはしなさいよ!」

「わかっとるわ!」


 あわてて歯を磨き、顔を洗う。まあ、いつも通りだ。


「いってきまーす」


 そう言って、さっきまで寝ていた自分の部屋に戻る。ベッドの隣には、大きな黒い金属の塊。白い文字で『virtual school pod』と書かれている。俺の学校だ。

 中に入り、電源を入れ、名前を入れる。『鶴川正人』っと。それからパスワード。アクセス場所は...『デルタ高校2-A教室』。



 よし、アクセス!



 ----------------------------------------


「おっはよーございまーす!!鶴川正人、ログインしましたー!セーフ?アウト?」

「アウト。22秒遅刻だ。罰として腕立て22回!」


 またこれかよ...このクソ教師め...

 うーん、でもいつもより10回くらい少ないし、まあいっか。


「もうあと30秒早く来いよー。」

「いい加減学習しろってー。」


 みんなゲラゲラ笑ってる。

 顔を洗わなければ間に合ってたな、と後悔する。

 でも、この腕立てだってほんとにしてるわけじゃない。バーチャルの世界だから。イメージしただけで体は動かせる。

 日課が終わったところで、席に着く。


「じゃあ、ホームルームを始めます!」




 いつも通りの学校。なんとなーく授業を受けて過ごす。1限は英語がタルい。俺は一生日本で過ごすからいらねーよーだ。

 バーチャルの世界とはいえ、授業は音楽だって体育だってある。体育とか何の意味があるのだろうか。実際に体を動かすわけじゃないし。クソたるい座学よりはマシだけど。


 バーチャルの世界では飯は食えない。いや、食べるという行為自体は不可能ではない。が、お腹はふくれない。味もしない。この機能は必要なのだろうか。だから、昼休みは一度ポッドから出なきゃいけない。今日の昼飯何だろう。



「授業はこれで終わりますねー。では皆さん、各自お昼ごはんを食べるためにログアウトしてください。午後の授業は1時からですよー。」


 現代文の教科担任の白井先生はかわいい上に優しい。担任のクソババアとは大違いだ。


 さて、昼飯食うか。



 ----------------------------------------


「ただいまー」


 返事がない。いつものことだ。母さんは俺が学校に行った後すぐにどこかへ出かける。多分働いてると思うが、何してるかは知らない。全く話してくれないからな。いつからか俺も母さんが何をしてるのか聞くのをやめた。

 昼飯は大抵インスタントラーメンだ。不健康なのは自覚してる。でも自分じゃ料理できないし、できるようになるつもりもない。いろんな種類のラーメンがあるから、バランスが良くなってると勝手に自分で納得してる。いつ体調を崩すかわからない。


 暇だ。学校戻るか。



 ----------------------------------------


「まさとー、いい加減ギリギリ遅刻になるのやめたらー?」


 隣の席の鴨島愛花。見た目はかわいいと思うのに、いちいちうっとうしいからあまり好きになれない。


「遅刻したくてしてるんじゃないんですー。夢が俺のこと手離さないんですー。」

「なにそれ、意味不明。あ、そうそう、今朝のニュース見た?」

「見てる余裕あったら遅刻なんかしねーよバーカ。」

「バカは遅刻した正人でしょ。」

「ウッ。」

「それに昼休みだってニュース見る余裕くらいあるでしょ。」

「俺は飯食いながらテレビ見ない主義だからな。それより何のニュースだよ。」

「バーチャルスクール法案否決だってさー、どうなるんだろうねー。」

「俺たちは特別に認められてるから関係ないだろ。」

「そうなんだけどさー。もっとこういうの増えてもいいと思わない?」


 俺は思わない。そもそも俺たちは、特別な事情で普通の高校に通えなくなった人間の集まりだ。普通に学校に行けるやつは、行った方がいい。リアルの友達を作って、ちゃんと運動した方がいい。


「学校までわざわざ行くより楽だけどなー。」

「お前みたいなやつが増えると世の中終わるぞ。」

「ブーメラン突き刺さってるよ。遅刻率100%さん。」

「うるせぇ!」


 グラァ


 ん、地震か、デカいな。どの辺で起こってるんだろう。ポッドの中は安全だし気にする必要もないが。


「地震!?」

「うわっ、地震だ!」


 みんな大騒ぎするなよ。ポッドの中は安全だから気にするなって。



 ん?


 おかしくね?なんでみんな同時に揺れを感じてんだよ。みんなそんな近所に住んでないだろ。


「キャー!!!」


 叫ぶ女子が指差す方を見ると、ドラゴンのような、巨大な化け物。なんだあれ、どういうことだよ。


 ドンッ!!


 耳を裂くバカデカい音がしたと思うと、目の前が暗闇に包まれた。

読んでいただきありがとうございました。


次回予告

第2話 現実

正人は一体どうなってしまったのか!?

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