第二話:戦闘
(まじで出てきやがったよ・・・・)
途端に出てきた半透明のステータス画面を見ながら俺は心の中で呟いた。
「ていうか、ステータスはそのまんまなんだな」
そのステータスは俺がユリスとしてプレイしていた時のものだったのだ。
俺が心の中で(アイテムボックス)と念じると、案の定、アイテムボックス——というか目の前に広い虚無空間が広がった。
(でもそのデータから引き継いでるの容姿とステータスだけかよ・・・・)
俺の今の服装を見る限り大体察してはいたが、あんなに窮屈だったアイテムボックスがここまですっからかんなんてな。
そして最後の希望のお金も確認したがやはりお察しの通りだった。
(てことは最初は金儲けからかなぁ・・・・)
この世界、否、ゲームではモンスターを狩ってドロップした魔晶石でお金が入手できる。
もちろん仕事などほかにも手段がないわけではないが、こちらの方法が一番手っ取り早いのである。
そして恐らくここは〈始まりの森〉と呼ばれる場所でゲームでも一番最初にここから始まる。
ここに来る前にゲームの方では映像があった気がするけどあんまり覚えてないな。
———ギィギィ”!!
そう考えているのも束の間、何かの鳴き声が聞こえた。
緑色で身長が低く鼻が異様に大きいモンスター。
「ゴブリンか・・・・ゴブリンの魔晶石はサイズが小さくてあまり高値にはならないけど・・・・」
一見一匹に見えるゴブリンだが実は群れで生きる種族である。
仲間がそこら中に隠れてるんだろうな。
「初見殺しもいいところだぜ・・・・まあ俺は初見じゃないから関係ねえけど」
そう呟くと俺は自分の周り一帯を焼き払う〈ファイア・アラウンド〉を唱える。
パーティーがいると仲間も焼き払ってしまうので使えないが、ソロの時は役に立つ。
ゴオオォオ!!!!・・・・・
轟音とともに俺の周囲は一瞬で焼き払われる。
魔晶石がそこらへんに落ちているので、やはり一匹はおとりで周辺に仲間がいたんだろう。
(魔晶石54個か・・・・)
ゴブリンのサイズだと一つ1000ゴールドくらいになると思う。
合計で54000ゴールドとなるが、これで初期装備は大体手に入る。
ちなみに詠唱の長さは魔法が強くなるほど長くなるのだが、俺は魔法使いを極めて高速詠唱を持っている。
ステータスには大賢者と書いてあったが
魔法使い➡賢者➡大賢者
という風に段階があるのだ。
それぞれを100レベルまで上げてランクアップできる。
とまあ、余談はここまでにして・・・・遠くに見える世界樹周辺にはたしか王都があったはずだ。
ちなみにこのゲームには某ゲームのルーラのような瞬間移動系の魔法がない。
その代わりに動きを早くするヘイストがあるのだが、現状、俺の肉体ステータスはMAXなのでヘイストをかけても意味がない。
「とりあえず今日中に王都に行くか・・・・」
そういって俺はゲーム生活の一歩を踏み出した。
暑いよパトラッシュ・・・・