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第7話 決闘の後

どうも、遅くなりました。書き溜めしてました。



今回はみじかめです。

 そこは静まり返っていた。まるで声を出すことは決して許さんと脅されているかのように、静まり返っていた。それもそうだろう。先ほどまでの決闘があまりにも衝撃的だったのだから。それはギャラリーも、ギルド職員にも言えた事だった。相手はランクDの冒険者、それも6人。その6人は素行は悪いがパーティの連携がかなり精度の高いものであることで、この街ではそれなりに知られている。それをたった数十分前に冒険者になった成り立ての新米が圧倒して見せたのだ。相手を盾ごと吹き飛ばしたり、水平に跳びながら10本単位で迫り来る矢を全て躱し、或いは叩き斬る。


 そんな離れ業を軽々とやって見せた青年には、様々な視線が刺さる。しかし当の本人は気にしていない。今も腕を斬り飛ばされた男は痛みすら忘れて呆然としている。


 そんな俺は【霊刀・瀬織津姫】を左右に一振りした後、鞘にその刀身を収めた。


 そこに、俺の妹、桜が歩いてきた。


「お疲れ様でした。お兄さま♪」


 いつの間にか何処からかタオルを用意している。俺はそのタオルを受け取り、汗を吹きながら、


「ああ。それはいいが、アイツの腕を繋げて処置してやれ」


と言った。


 桜はその言葉によっぽど驚いたのか、


「よろしいのですか?」


と思わず聞き返す。俺は変わらずに、


「構わない。適当にやったりするなよ?」


と言いながら、吹いたタオルを妹に渡す。


「それは…………殺生な」


 渡されたタオルを凝視しながらもしっかりと受け答えする桜。その目はタオルから離そうとしない。


「(ボソボソ…………宿取ったら、今夜は甘えさせてやるから………な?)」


 その言葉がよっぽど頭に響いたのかすぐに顔をあげて、


「任せてください!!お兄さま!!!」


 満面の笑みで引き受けると、転がっている腕を持ち体験の男の方へと歩く。


 男はただ無様に怯えていたが、腰が引けて動くことも出来ずにいた。


「お兄さまの温情でその腕を治して差し上げます。ですが、あくまでくっつけるだけ。骨まで断たれたのですから、とうぶん剣は握れないでしょう」


 そう言いながら、腕を切り口に押し付けて【神杖】で、軽く叩く。すると淡い緑色の光で切り口が覆われ、断裂面や血は跡形もなく消えていた。


 桜は〔時空間魔法Lv1〕で覚える『アイテムボックス』から布(小屋から拝借したもの)を取りだし、腕を布で挟み、首に回して後ろで結び、固定した。現代でも骨折時にやるあんな感じだ。普通は固定する道具が必要だが、あんな物はないので、魔の森で見付けた、折り曲げた状態で魔力を流すとそのままの状態で固まる枝で代用している。


「これで終わりました。だいたい半年間は無理な行動はしないことをお奨めします。看病は誰かにやってもらうといいでしょう」


 男はずっとぼうっと看病の様子を眺めていたが居ていたが、すぐに我に帰り、


「あ、ああ。すまねぇ。ありがとな」


 少し目を背けながら感謝した。そこに、一人の女性が駆けてきた。


「ガイル!!!」


 男は目を見開きながら、その女性の名を呼ぶ


「フレイ!?」


 フレイと名乗る女性はガイルのところへ辿り着くと、そのままの思いっきり頬を張った。


「バカ!!バカ!!バカ!!大バカ!!!」


 ガイルは目尻に涙を浮かべながら抱き締めるフレイに少し戸惑っていたが、すぐに片腕で抱き締めかえす。


「すまねぇ、フレイ。酒によったらこんな騒ぎまでやっちまった。ホントにすまねぇ」


○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○


 フレイとガイルは実は幼馴染みで、今や恋人でもあった。きっかけはフレイもガイルも15になった頃、外に出掛けたところモンスターに出くわし。フレイは泣いて逃げた。しかし逃げた先が不味かった。基が動転し、街とは違う方向へ逃げるのだ。そしてその先には――――――盗賊がいた。


 盗賊に捕まったフレイは更に泣き叫び、ガイルに助けを求めるが。ガイルはモンスターの相手をしていた。


 頭が遂にそのフレイを犯そうとしたその瞬間、


「待ちやがれこの万年発情期のゴブリン野郎がッ!!!」


 ガイルだ。ガイルはモンスターと戦いながら自分でも驚くほど冷静にフレイの行方を見ていた。モンスターを倒した後全力でここまで走ってきたのだ。


「クソガキに何ができる!!野郎共、ぶっ殺してれ!!!」


 ガイルは父親に剣を習っていた。それはフレイを守るためだった。『初恋の女のための守護の剣』、


 ――――その剣術が、フレイを確かに守って見せた。


 全員を斬り伏せ、血だらけのガイルをフレイは力強く抱き締め、泣き続けた。ガイルはこれからもこの女を守るのだと、決意する。


 (普通剣には固有スキルは付かない、付くものはホントに限られている。実は決闘で使用していたガイルの剣はこの盗賊のもっとも高価な稼ぎだったもの。等級にして、【英雄級(ヒーロー)】の物だ。それも【幻想級(ファンタジー】に届きうる位の性能だ。固有スキルの付く物は殆ど【幻想級(ファンタジー)】からなので、ある意味物凄いレア物だ。)


 その時、ガイルはフレイに告白し、フレイはこれを承諾する。それから今やもう、5年目の大ベテランのカップルだ。え?ガイルが20歳なんて聞いてない?すまん。


●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


 ちょっとした昔話終了のお時間です。


 ガイルは自虐的に笑いながら、


「幻滅したろ?」


と、呟く。フレイは首を横に降りながら、


「私を守ってくれてる姿の方がカッコいいから今回のでもまだお釣りが来るよ」


と、ガイルにやさしく微笑む。酒に酔うと絡む癖のあるガイルはホントに出来た彼女には頭が上がらない。


 さて、忘れてはいけないのが龍一とその妹桜の存在だ。最初の印象がアレだったので流石に少々戸惑っている。


「ガイルってあんな感じだったのか?」


「そもそも彼女居たんですね」


 そんな会話をしていると、ガイルはフレイの肩を借りて立ち上がると、そのままこっちに向かってゆっくり歩いてきた。俺と妹の桜、そしてクロムの前に立つと、綺麗に頭を下げた。


「すまなかった。決闘の結果に文句は言わねぇ。だが、これだけは言わせてくれ。ホントにすまなかった。危うく大事なもん失うとこだった」


 俺はその目が一瞬手に持つ剣に向けられたのをしっかり見た。


「分かった。だが、お前のその手に持ってる剣はともかく、お前らのナマクラの武器を貰ってもたいした金にならないだろうから、装備は要ら無い」


 そう言いながら、桜が手に持つ金を受け取り訓練場を出ようとする。すれ違いにガイルに、


「腕を斬ったことには謝罪しない。が、大切な女に幻滅されないように――――惚れさせ続けろよ」


と言った。ガイルはその言葉に答えはしなかったが、残った左手が強く握られたのが、決意の証拠だろう。


 また、桜はフレイに軽く会釈をして、通りすぎる際に、これまた俺と同じように、


「バカな彼氏の手綱はしっかり握って置いてくださいね」


とだけ言った。フレイはガイルの肩を支えながら、


「はい。分かりました」


と返す。二人は互いに見合せ、ふふっと笑った。


 ガイルとフレイを背に、俺と桜は訓練場から出ていった。





 ―――――未だに意識の無いガイルの仲間たちと、呆然としているギルド職員や、ギャラリーを置き去りにして。





☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆




 決闘が終わったあと、俺たちは闘技場を出て、今受け付けカウンターにいる。まぁ用は冒険者証明証つまり冒険者カードの完成を待っているのだ。俺はあの男たちに勝ったのでランクDから。桜は使って見せた回復魔法と結界魔法の技術を称されてランクEからだそうだ。ぶっちゃけ俺はあれくらいでこのランクまで上げて貰えることに驚いたが、それくらい回復魔法は使える人が教会関係者以外では珍しいし、それに加えて結界魔法も、そもそも扱える人が少ないそうだ。


 ―――桜、絶対今後面倒事に巻き込まれそうだ。


 まず教会。回復魔法を使える人を独占しようとするからだ。この世界の宗教の『アルタニア教』って言うらしいんだが、聖典の中に『人々を癒す力は元々偉大なる神々によって選ばれた人類に授けられたものであり、その力は教会のもと、善き人々を癒す為に使わなければならない』って書かれているらしい。


 ――用は『回復魔法は教会関係者だけの力だ』って言いたいのだ。


 他に、やはり貴族だ。


 貴族のほとんどが保守主義、つまり我が身がかわいい連中ばかりらしい(中には人格者もいるらしいが)。で、結界魔法とかはよく狙われるそうだ。他にも、有能なものは強制的に自分の物としようとするらしい。そして他の貴族に自慢したり、逆に牽制としたりするのだ。挙げ句に桜の容姿だ。


 ―――うん、確定だな。


 まぁ気を付けなければいけないと言うことだな。


「―――では、冒険者の説明を終わりますね。何か質問は有りますか?」


「いや、特にないな。今は大丈夫だろう。なんかあったら質問するよ」


「わかりました。では、よき冒険を!!」


 受付嬢のシーナさんに見送られながら、冒険者ギルドを後にする。


 ――――そう言えば、宿取ってなかったな。


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