第5話 やっぱりこれだよねぇ、え?★TE☆N★PU☆RE★ですが、何か?
「――――よし、次だ。――――――よし通って良いぞぉ。―――――あ、これはこれはカカカ様、用こそ[クネラル]へお越しくださいました。ささ、こちらの貴族様専用門へ―――おーい!カカカ様がお見栄になったから、替わり頼むぞ!」
へーあのいかにもな貴族っぽい馬車ガチだったんだな。てかカカカてwwうちのサクラも口許に手を当てて堪えてる。
クロムはどうでもいいのか―――いや、そもそもわからんし興味ないって感じだな。
うーん、ラノベとかだとここでテンプレ来たりするんだろうか。いや、さすがに来ないよな?
と思っている間に俺たちの順番だ。今更だが、ドラゴンいることにようやく気付いてビックリしてるよ。まぁ、クロムが、隠蔽使ってたからなんだが。
っと、門番が来たようだね。
「おいおい、何があった―――って、ド、ドラゴン!?」
「あー、このドラゴンは俺のテイムモンスターですから大丈夫ですよ」
「む、むぅ、そうか。じゃあしっかり『従魔の首輪』つけてくれ」
「すいませんね。田舎から出てきたんで『従魔の首輪』とやら、持ってないんですよ」
「そ、そうか。じゃあ今持ってくるから。おい、ちょっと首輪持ってくるからその間に仕事頼む!!―――じゃあ少し待ってろ」
「ええ、わかりました」
すると小走りで門番は詰所へ走っていった。その入れ替わりのように別の門番が来た。こちらも男か。
「じゃあ先にこちらの女性からですね。名前は?身分証ありますか?」
「サクラです。ごめんなさい。さっき言ってたけど、田舎から出てきたので身分証無くて―――」
「そうですか。じゃあこちらの真実のオーブに触れてください。犯罪経歴がないか検査しますので」
「わかりました」
男が持つ透明なオーブにサクラが手をかざす。すると青色の輝きを放ち始めた。
「青色ですね。犯罪経歴はないようなので大丈夫ですよ」
「ありがとうございます。それじゃあ――」
「ですが、田舎から出てきたと言うことですので不審物がないか検査させていただきます。装備を外してください」
―――ん?あ、あれ?
「おーい、待たせたな。これが『従魔の首輪』だ、街の中に入る前にこれをつけてくれ。あそうだ。名前聞いてねぇな」
「リュウイチですよ」
「そうか。ほい、これだ」
特に何か目立つものがない無骨な首輪を渡される。へーこれが『従魔の首輪』か。何か効果あんのかな?《森羅万象》
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【隷属の首輪】〔稀少級〕
[備考]:装備者を登録者に強制的に隷属させる首輪。神代魔法《解放》でのみ外すことが出来る。 また、無理矢理外そうとすると装備者が死亡する。
[効果]
・装備者を隷属(半永久的)
[登録者]駐屯兵ワルーイ
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…………………………は?
いや、『従魔の首輪』じゃなくて『隷属の首輪』ってどゆこと?え?何?間違えただけ?あり得ないよね?だって本人めっちゃいい仕事やった感じの満足顔だよ。おかしいねぇ。
俺は戸惑いチラチラ周りを見回す。俺の一つ後ろの商人さんかな?の隣に首輪したウルフがいるけど粗のウルフがしてる首輪が『従魔の首輪』って出てる。あれ?そう言えばよくよく見るといろいろ違うな。
「え!?ちょっと!?何するんですか!?」
俺が悩んでいるとサクラの方で何かあったようだ。俺はすぐさまサクラの方を見ると、
「ちょっとこっちに来なさい!怪しいなぁ、他国のスパイの可能性があるぞ!!」
いやいやいや、意味わかんないって!!何があってどうなってこうなった!!!
「ん?どうした?早く首輪をつけろ」
「いや、これホントに『従魔の首輪』ですか?後ろのウルフについてるやつと違いますよね?これ」
「きゅー!」
クロムも頷いている。
「『従魔の首輪』と言っても、いろいろなデザインがある。今詰所にはこれしか無かったから、これで我慢してほしい。街の中には従魔の首輪を取り扱っている店もあるので、そこで好きなデザインの物を選ぶと良いだろう」
「いや、この首輪どう見ても後ろの奴隷商の荷台に積んである奴隷たちに付けられてるやつと同じなんですけど」
そう、後ろの人奴隷商だった。やっぱ奴隷制度ってあんだなぁ。って今はそれどころじゃない。
「な、ななな何を言っているんだ!!そんなわけがないだろう!!早くしたまえ!!まだお前の犯罪経歴調べてないから街に入れられん。そのため後ろも詰まっているんだ!」
本性現してきたなぁ。だいたい目的がわかったかな。殺して素材にするか、または自分の物にするか。貴族に売るかだろうな。ックソッタレ。
「キャー!!放してください!!ちょっと!どこさわってるんですか!!」
「君が何時までも来ないからスパイ及び不審物所持容疑で逮捕するんだよ!早く来たまえ!」
「いや!放してください!!」
あちゃー、まさかのテンプレかよ。変にフラグ建てちまったようだ。すまん、妹よ。
よく見たら、ワルーイって目の前の男もサクラのところにいるアイツもゲスい笑みを浮かべている。やっぱそう言うことか。はぁ………。
俺は後ろの奴隷商の人に銀貨1枚を握らせて5歩下がるように言った。奴隷商は戸惑いながらも5歩下がってくれた。―――さて、我慢の限界だな。
「おい」
ドゴン!!!!
「「「「「……………………………」」」」」
え?何の音って?俺の今立ってるとこに深さ10センチ、直径20センチのクレーターを拳一つでこさえただけだゆ。
「いい加減にしないと………怒るぞ?」
(((((既に怒ってますやん……)))))
周りの人々の感想は完全解です。
「な、なな、何のことだね!我々のどこに怒る理由がある!!」
「いやいや、おかしすぎるんだよ」
俺は睨み付けながらサクラの腕を掴む男をみる。男は怯えて足を震わせている。まぁ殺気全開だからね。あ、こっから長台詞ハイリマース。
「スパイを疑うのはいいが、オーブが故障してないなら犯罪経歴が無い時点でスパイって考えるのはおかしいよね。例えそうだとしても、検査するなら詰所に専用の部屋があるはずだよな?しかも所持品検査なら普通の検査対象と同姓が行うべきだよな?幾らなんでもこんな人の目のあるところで脱げだなんて言わないよなぁ、しかも女に向かってさぁ。しかも、『首輪』着けろ着けろってうるさいし。あんた『街の中に入る前に着けてくれ』って言ってたよな?別に街に入るまでに着ければいいんだろ?なんでここで着けるようにせかしてんだ?何かあるんじゃないかって疑われても文句言えないよな?それに俺さぁ、『鑑定スキル』持ってんの。ちゃんと出たよ?『隷属の首輪』って。どゆこと?しかも登録者あんたなんでしょ。どう説明してくれんの?」
「え、ええい!うるさいうるさい!!貴様ら公務執行妨害で逮捕だ!!!」
「おいおい、職権乱用なんじゃないのか?
・・・・
なぁ、隊長さん?」
「なっ!?」
俺は少し前にここに来た隊長さんに声をかける。何故隊長と分かったかは《森羅万象》とだけ言っておく。
「聞いてたし見てたんだろ?これが俺の言い分なんだが、まぁ『隷属の首輪』については後ろのプロに聞けば確実だよな?で、隊長さんよ。この国のこの街では、所持品検査は異性がこんな人の目のあるところで脱がせてやるって決まりでもあんのか?」
「いや、そんな訳がない。専用の部屋があり、女性の係員がいて、今は詰所で待機しているよ」
俺は隊長さんから視線を外し、もう一度サクラの腕を掴む男を睨む。
「言い訳は?」
「……………………………」
「その腕離せよ。何時まで汚ねぇ手でさわってんだ。穢れるだろ」
「ぅ、うぐぅ………」
男はしぶしぶ手を離す。サクラは目尻に涙を溜めながら駆けてきて抱きついた。俺はその頭を撫でながら、ワルーイの方へと向き直る。
「さて、この腕輪がホントに『従魔の首輪』か、それとも『隷属の首輪』の〔稀少級〕か、後ろのプロに聞きましょうか。はい、これです」
俺は後ろの奴隷商に鑑定を依頼する。奴隷商は首輪を受け取って、ブツブツ詠唱を始める。どうやらこれが《鑑定》の、詠唱のようだ。
少し経って、奴隷商が首輪を返してくる。
「間違いありません。『隷属の首輪』それも〔稀少級〕のなかなか高価なものでした」
結果は黒。アイテム名も等級名も当てた俺の鑑定の正確性をアピールしてくれた奴隷商に銀貨を更に1枚握らせ、「依頼と迷惑料です」と伝えて、ワルーイを睨む。
「さて、どう言い訳してくれんだ?」
「…………………」
きしょうかち
二人とも苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「隊長さん?」
「分かっている。処分はこちらで適正に行わせてもらう」
「それは当然。俺が求めてるのは3つ」
「なんだ?」
「1つ目。俺たち2人、テイムモンスターのドラゴンにも入場料みたいな税がかかるならそれも含めて全額コイツら2人に肩替わり」
「な!?なんだと!!!」
「ふ、ふざけるな!!」
馬鹿が煩いが無視する。
「2つ目。こちとら大事な家族泣かされたんだ。しかもサクラに限っては嫁入り前の女だ。ってことで、妹とドラゴンの飼い主である俺に合計金貨10枚をあんたら2人が即金で、今詰所で払う」
「な、なななななな!!!!」
「そ、そんなのはあんまりだ!!!金貨10枚なんて!!!」
煩いなぁだったらやんなし。まぁ、桜は既に処女じゃないが嫁入りしてないし。処女だなんて言ってないし。
桜もそれを理解して十八番の『超リアルな美少女の嘘泣き』スキルを発動している。俺の胸に顔を深く埋めて超リアルな嘘泣きしている。マジ女優いけるんじゃ無いだろうか。角度的に俺しか見えないが、超美少女が怖~い悪~い笑顔を浮かべて笑っている。肩が震えてるのがよけいリアルに見えるが、めっちゃ笑ってる。流石に俺も怖いわ、これ。
「あんたら2人で金貨5枚ずつ払えばいいだろ?で、最後の3つ目。今並んでる列の通行人全員の通行料を半額割引な」
「す、すまんが、前の2つはともかく3つ目は―――」
ここで隊長さん渋りました。まぁそうだよなぁ~。でもさぁ~(ニヤリ☆
「そこの馬鹿から足りない分巻き上げればいいだろ?」
「「…………((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル」」
ケケケケケケケケケwwヒィ~~~~wwww
スンゴイ嫌味に見える角度で嫌味な笑い方で思いっきり侮辱してやる。へっ、ざまぁ。
「ま、まぁ。じゃあ、取り敢えず詰所へ来てくれ。おい!!!通行料半額で、通せ」
「え?いいんですか?」
「ああ、補充口はある」
「分かりました。ったくバカやッからんなことになるんだ」
隊長さんが、新しい門番Cに仕事を任せて。俺たちを案内する。後ろの方では泣いている男2人と蔑んだ目で見る人々の姿があった。
ケケケww無様だぜ。
「えと、まずあんたがまだオーブ触ってないんだな。これだ」
目の前に出されたオーブに軽く手をかざし、青色の輝きを確認する。
「よし、じゃあまずこれが『従魔の首輪』だ。一応確認してほしい」
普通俺に確認させるなんてしないはずなんだが、よっぽどアレが怖かったのか。まぁいいや、《森羅万象》
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【従魔の首輪】〔一般級〕
[備考]:従魔であることを証明する首輪。全世界共通。特に効果はないが、一部では従魔のファッションアイテムとして発展し始めている。
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うん、ちゃんと『従魔の首輪』だ。にしてもホントにちゃんと見ないと似てるなぁ。
「確かに『従魔の首輪』だ。クロム、これを着けてくれ」
「きゅー」
クロムの首にスカイブルーの首輪を着ける。白金色にスカイブルーって結構合うなぁ。あ、『隷属の首輪』って黒色が一般的だが、やっぱりいろんな色があるみたいだ。
「じゃ、最後にこれだ。まず慰謝料の金貨10枚。次に仮身分証だ」
隊長さんから名前と犯罪経歴なしと書かれた木のプレートと、袋を持ってきた。
「仮身分証の有効期限は3日だ。いきなりあんな事があって言うのもなんだが、ようこそ?[クネラル]へ!」
ホントだよ!!!