第0話 プロローグ
やってしまいました、新作です。
何時ものごとく不定期です。
気長に暇潰しにどうぞ(*´∀`)つ
今から約138億年前、宇宙が誕生し、約46億年前に地球が誕生した。しかし、数多の銀河の中にはこの地球と同じ様な、しかし全く異なる世界が、惑星が存在するかも知れない。今なお拡大し続ける宇宙の中にはきっといろんな世界があるのだろう。だが、宇宙はなにも銀河や惑星、元素だけをを創造したわけではない。
宇宙は『神々』や『始源龍』と呼ばれる、最高位の存在も創造した。
これは宇宙が創造した神々と始源龍が創造した惑星の物語である。
神々が造った異世界 《デオファイム》
かつて様々な物を、事象を司る神々と世界最強の戦闘力を誇る始源龍がいた。そしてその神々と始源龍は互いに力を合わせ1つの世界を創造する。
それが――《デオファイム》
五つの大陸が合わさり1つの大きな大陸になっており、五つの大きな国が存在している。
『獣人族』、『妖精族』、『悪魔族』、『天使族』、そして『人間族』。その中でも人間族には大・中・小の様々な国が存在しているのだが、それらの中でも圧倒的な大国が五つの大陸の内の1つを統治している。
それぞれの種族の国に《帝王》が存在しているのだ。
当然人帝、獣帝、精帝、天帝、魔帝である。(ちなみに、この世界での『天使』と言うのは背中に純白の翼を持つ翼人で、神々の遣いではない。神々の遣いと言う存在は『使徒』と呼ばれている。)
現在五人の帝王達は互いの種族の者達をまとめ、他種族の者達と共存すると言う姿勢を取っているが、同種族或いは他種族との紛争や国家間での戦争も度々ある。
このような生命体は全て、神々が生み出したものである。神々はそれぞれの種族に多種多様な力を与えた。魔力や物作りの知識と技術等を与えた。そして最後に、魔物達と植物を生み出し、生態系を確立させた。
しかし、始源龍は違った。彼には力がなかったのだ。『生命を生み出す力』が。
他の神々は神界から地上に顕れてはあらゆる種族の者達に讃えられ、崇められた。神々の周りにはあらゆる生命が存在していた。
しかし、始源龍の周りには誰もいなかった。孤独であった。
しかし、ある一人の女神だけは違った。
その女神の名は、慈愛と平和の女神
女神の中でも別格の美貌を携え、常に柔和な微笑を浮かべるまさに傾国の美女であり、あらゆる種族や神々を魅了した。
グリーシアは常に孤独で離れて神々と生命達を眺めていた始源龍のもとへ行き、微笑みながら手を差し伸べた。
『我に何の用だ。女神よ』
『貴方は御一人なのですか?始源龍様』
『そうだ。我は馴れ合いは好まぬ。用がないなら立ち去れ』
『用ならあります。私は貴方の友となりたいのです』
『なんだと?』
最初の会話はかなり威圧的であったが、グリーシアは毎日始源龍のもとへ行っては『友となりたいのです』と言い続けた。
始源龍は孤独ではあったが、決して何もしなかったわけではない。創造したばかりの世界は幾分安定してきたとは言え、まだまだ不安定なところでもあり、よく噴火や津波、地割れ等の天災が起こった。その度に始源龍は天災に怯える者達を救っていてグリーシアはそんな始源龍の姿を見ていたのだ。
やがて始源龍が半ば折れるようにグリーシアを認めるようになった。
そのときからグリーシアと始源龍はよく出逢っては会話をするようになり、そして、二人は互いに惹かれあっていくようになった。
そうして世界の時間は流れていき、世界が誕生してから100年後の《生誕暦 100年》グリーシアと始源龍は結ばれる。
しかし、これを良く思わないものたちが動き出した。
そう―――――『他の神々』である。
女神グリーシアは戦う力はなかったが、他者を《癒す力》において右に出るものは居なかった。神々や人々は皆彼女に癒されていた。その彼女を我妻としようとする神々がかなりいたのは想像するのは難しくない。あまつさえ《龍》の女になったと言うことが気に入らないものたちがいた。また、彼女は他の女神よりも数多くの男神を魅了していたので、彼女に嫉妬する女神もそこまで多くはないものの、それなりにいた。
不幸中の幸いだったのは始源龍の戦闘力をもってすれば一対一でなら追い返すことは難しくなかったこと。しかし、幾ら最強の戦闘力を持っていたとしても神々が束となっては始源龍も厳しさを感じた。
遂に始源龍はグリーシアを抱えての逃亡に出る。
しかし相手は神、そこまで長くは続かない。
ここで、グリーシアは始源龍にある言葉を伝えた。
『私は貴方の女です。私は貴方を愛しています。ですが、相手が神では貴方も厳しいでしょう。私のために貴方は傷付いてしまった。どうか許してください。
―――思えば、貴方はいつも私の我儘を笑って叶えてくれましたね。どうか、私の最後の我儘を叶えてくれませんか?
私は貴方と1つになりたい。そして貴方の女のまま、貴方の胸の中で貴方と共に死にたいです』
威厳に満ち溢れ、荘厳で神聖さすらも感じるような始源龍の姿は、神人の戦いで傷付きその影は薄まってしまっていた。大きな二対四枚の翼は破れてボロボロになってしまっている。そんな愛する夫の姿に心を傷めたグリーシアは共に死ぬことを望む。
始源龍は自分の姿を一時的に人化させて、愛する妻を抱いた。
その後、二人の墓場を探そうと飛び立つが、神々に見付かり攻撃される。避けることもかなわない中で彼はグリーシアを咄嗟に守ろうとしたが、なぜかグリーシアの姿が居ないことに気づく、焦った始源龍に神の攻撃が当たるまさにその瞬間、
――――グリーシアが始源龍を庇った――――
神々はその事に驚きを隠せず、どよめく。
始源龍はその様子に呆然としていた。そしてようやく理解する。
・・・・・・・・・・・
『グリーシアが死んだのだ』
そのとき、世界は暗黒に包まれた。空一面には黒き雷雲が覆い、紫電が無差別に降り注ぎ、森を焼く。豪雨によって土砂崩れが起き、山が崩れる。
『ォォォォォオオオオオ!!!!グリーシアァァアァァアアアアアア!!!!』
・・・・・・
それは、始源龍が最強たる所以であった。
ボロボロの姿を包む圧倒的強者のオーラと神々をも凌駕する膨大な魔力。
・・・・
《森羅万象》
このときの始源龍の姿を表現する最も相応しい言葉。始源龍は暴れた。自然を無差別に破壊しながら神々を攻撃する。神々は始源龍の姿に畏れ動けずに攻撃をくらう。始源龍が停まったとき、世界は焦土と化していた。
しかし、始源龍は決して世界を破壊することを欲していたわけではない。むしろ、女神グリーシアが愛したこの世界のことを愛していた。
幾柱の神々を殺し、ようやく落ち着きを取り戻した始源龍は、愛する妻と自身が安らかに眠る場所をこの愛する世界に欲する。
故に始源龍はグリーシアの力ないその身体を抱き締めながら天に向かって雄叫びをあげ、魔法を行使する。自身の最後の魔力で自分と妻の楽園を創るために。
『我と我が愛する妻の楽園を!!!』
すると、始源龍の上空をを覆い尽くす雷雲を一筋の光が切り裂く。その空から大きな逆円錐の大地が降りてくる。その大地は始源龍の魔力とオーラを吸い上げ、光を発し始め、そして世界を一瞬白く染め上げる。その閃光は雷雲を吹き飛ばし、焦土と化した大地を緑溢れる豊かな大地へと変えた。
始源龍はグリーシアの身と共にその浮遊大陸へと飛び立つ。
始源龍が浮遊大陸へと降り立つと、その大陸の周りを障壁が囲った。
第6の大陸その名を浮遊大陸 【始源龍と女神の楽園】
始源龍はそこでグリーシアの身体を取り込み文字通り『融合』し、そしてグリーシアと融合したことで得た力を用いて『子孫』を生み出した。その子孫たちはこの大陸で繁栄していく。
この種族が神の手によって生まれた生命の例外で、《始源龍》と《女神》の力と血を受け継いだ世界最強の戦闘種族――――
―――――【始源龍神族】―――――
生まれながらにしてあらゆる魔法の適性を持ち、全種族最高の身体能力と、膨大な魔力を有する戦闘種族。また、この種族には始源龍と女神の恋物語が《神話》と言う形で残っていて、皆幼少の頃から全員この物語を聞いて育つ。そのためか、種族間では珍しい完全な恋愛結婚が不思議と成立している。
またこの種族はハイエルフやエルフのように美男美女が多いのも、完全な恋愛結婚の所以ではないだろうか。
始源龍神族は他の種族よりも遥かに文明が進み、皆長を始め、男女差別等なく平和に生活している。
ここで、この浮遊大陸についてだが。
この大陸は地上1階、地下2階の全部で3層構造になっていて、地上は家々が建ち並んでいる。地下1階は村の下水道が通っており、その下水道を管理する施設がある。
そして、最下層には巨大な神殿がある。その中央には始源龍の頬に手を添えながら微笑みかけている女神グリーシアの像がある。神殿ではあるがほとんど結婚式場のようなものだ。夫婦となる男女はこの像の前で誓いをかわす。それが彼らの結婚なのだ。そして、彼らは例外なく幸せに暮らしたと言う。それは現代でも変わらないそうだ。
と、まあだらだら長ったらしく語ってしまったが、これが【デオファイム】誕生の物語である―――
―――が、本当物語はここから始まるのだ――――
【デオファイム】《生誕暦5672年》
始源龍神族に近い将来、《伝説》と呼ばれるようになる一人の少年が誕生したことによって――――
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「はぁ~。まったく、またかよ。ついてないなぁ」
すっかり日は沈み辺りは暗く、街灯の灯りだけがこの暗闇のなか存在感を放っている。その光に照らされた道を一人の男が歩く。
俺の名は久遠龍一。年齢は18歳の男子高校生。特に何かが得意と言うわけではないが、逆に言えばこれといって出来ないことはない。勉強でもスポーツでも料理や歌唱などなんでもそつなくこなしてしまう。そんなある意味無個性で、ある意味天才――だと良いなぁと思う。
容姿は長めの黒髪で、身長はそこそこ、体はなんだかんだでスマートであるからしてまぁそこそこ。
両親は既に他界し、実の妹である久遠桜(16歳の超美少女お兄さまっ娘)と父方の祖父である久遠龍次郎の実家の近くのアパート暮らし。今はコンビニからの帰りである。
で、ついてないと言うのは他でもない。信号だ。ただし、生まれてきて1度も信号で停止させられなかったことはない。何故か渡ろうと思ったそのときに信号が赤に変わる。俺は安全第一なので必ず止まる。変わる前に渡りきろうとかしない。危険だからだ。(その通りであるが)
とまぁいつものように信号が変わってから余裕をもって渡りきる。アパートに近づくにつれて街灯も少なくなってくるとやはり視界が悪くなる。
ふと、前から誰かが小走りでやってくる。シルエットでバレバレ、我が妹桜。やはり贔屓目無しに、超美少女だと思う。さらさらなロングストレートの艶のある黒髪、手足は本当にきれいにさらっと伸びている。肌艶々。更には思わず見てしまうほどのメロン(何がとは言わない)。腰はしっかり括れていてモデルプロポーション。グラビアアイドルも泣きながら裸足で転けてでも逃げるような容姿の妹だ。要するに超美少女。
そんな美少女であるから当然のごとく学校では人気者。本人も明るい朗らかな性格でおっとりしている。人気もでるだろう。自慢の妹だ。
俺が中学卒業の年の3月、受験合格の知らせが届いた時に両親は交通事故で他界。相手は暴力団の幹部だったそうだ。つまり意図的な事故。まぁ、ブレーキ踏まずにアクセル全開で突撃したみたいだし。
「お兄さま~。お兄さま~♪」
桜が手を振りながら俺を呼ぶ。わかったかもしれないが俺たちの仲は円満だ。何故か、妹がブラコンだから。事故で両親が死んだときから桜は目に見えて沈んでいた。俺も両親の死は辛いものがあり、一時期家に塞ぎ混んだこともあるが、俺が妹と自分を両方養っていかないといけないため、なんとか無理やり体に鞭を打ち、バイトを探し始めた。親戚のやつがうるさいからだ。
え、何故って?うちの母親の実家…昔は村の大地主だったとかで、今でも実家の発言力が強い。それでいて、あまり両親の結婚には良い思いをしていなかったようだ。だから、これ幸いにと『遺産をよこせ』だの、伯父からは、『お前を養子にしてやろう。ただし、桜はうちの息子と婚約し16になったら結婚してもらうがな』だのワケわからんことを言ってくる(ちなみに件の息子は現在36で、ニート、ブチャイク)。
そんな俺たちに祖父が『わしがこやつらを養っていくから邪魔だけはするな。あと遺産は取っていくな』と親戚の前で堂々と言ってくれたので、俺たちは祖父の実家に移り住んだ。だが、祖父も道場以外の収入は年金であるから、俺がバイトをして稼いでいる。桜が高校入学に合わせて祖父の実家の近くで、高校に近いアパートに移り住んだ。受験は―――――――推薦で決まった。
「ああ、今行くよ。今日はお前の好きなカレーだぞ―――――」
と、妹の手を取ろうとしたとき、突然だった。いきなり桜の背後に黒い上下の人影が現れて、桜へと飛びかかろうとしていた。すぐさま俺は荷物を投げ捨てながら桜のもとへと駆ける。桜は気付いていない。急げ!!!なんか黒い車があるぞ!!!
俺は全力で走り、そのまま人影に飛び蹴りをかます。胸の辺りだったが固かったので男だろうか?人影は俺に蹴られて少し後ろに吹っ飛ばされる。俺はすぐさま桜の手を掴み夜の道を駆ける。車のエンジンの音が聴こえた。どうやら車で追いかけてくるつもりか。
「お、お兄さま~。一体何が」
桜は事態がわからず混乱している。取り敢えず走ってついてきているのでよしだ。どうやら誘拐か。だが誘拐は今回が初めてではないので、なんとかなる。何とかする。
すると、ブレーキの音がかかる。一体なんだ?何故―――と思ったその瞬間だった。
『ダアァン!!!』
辺りに発砲音が鳴り響く。その音が聴こえた時、俺は撃たれたことを理解した。そしてそのまま、俺は意識を手放した。
煌黒の召喚剣士の方も頑張ってます。
よろしくお願いいたしますm(_ _)m
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