殻
ねむねむなのです。いつものことですが書き直してるのでお待ちください。
蓉子が夢現に少し目を開くと、オダギリの顔が見えた。
下から見上げている。
どうやら、私はオダギリに運ばれているようであった。
頭痛がひどく、意識が朦朧としている。
体が焼けるように熱く、意識は遠のくばかりだ。目を閉じるとそのまま死んでしまうのでは無いかと思った。だが、耐えることは出来ず、蓉子はそのまま意識を失った。
オダギリは蓉子を両手で抱えたまま、その巨大施設----
と、言うよりドーム型のシェルターのような建物に入っていった。
「俺だ。開錠しろ」
ものものしいバリケードで囲われた門の中にいた門番にそう告げると、門番の男はすばやく門を開け、ドームの扉のロックを解錠した。
オダギリは蓉子を抱えたまま、早足で自分の部屋へ向かう。
そこへ白い医者のような服装をした若い男が走って来る。
「オダギリ!無事だったんですね!」
若い男はオダギリが抱えているものに気付くと、あからさまに顔をしかめて
尋ねた。その間も、オダギリは歩みを止めない。
「その子は・・・!?手順を踏まないと、ドームの中に一般人は入れない事になっている。わかっているだろう?」
オダギリは答えない。
「どこで拾ってきたんだ。オダギリ!査問にかけられるぞ!!」
やっとオダギリの部屋の前に着き、足を止める。
「ルーファウス。今は何も聞かないでくれ。とにかく、この女を助ける。様子がおかしい。医者を読んでくれ。頼む」
「オダギリ・・・」
ルーファウスは困った顔をしたが、「わかった。とにかく後で話を聞かせて欲しい」
そう言って、廊下へ消えていった。
オダギリは部屋へ入ると、無機質な雰囲気の部屋の奥にあるキングサイズはあるであろうベッドへ蓉子を下ろした。
何かうわ言を言っている。彼が蓉子の額に手を充てると、とんでもない熱が出ていた。
蓉子の額からは無数の汗が流れ、顔は赤く息は絶え絶えであった。
オダギリはタオルを出すと、氷水に漬けてきつく絞り、蓉子の額に充てた。
街を離れると既に世界は夜だった。街の外数十キロを進むと砂漠地帯に入る。更にそこから数キロ進んだところに、そのシェルターはあった。
規模で言うと大きな大学の敷地内くらいであろうか。幾重にも高い壁のバリケードに囲われており、24時間兵士達があちこちで監視をしている。
そこへあと少しで着くであろう頃、蓉子は倒れた。胃の中の物を全て吐き、全身は異常なほどに震え、遠くを見ているかのような目をしたまま意識を失ってしまったのだ。
ベッドの上の蓉子は今にも心臓が破裂して死んでしまうのでは、と言うくらいの呼吸の早さであった。
医者はまだ来ない。
彼ははサバイバルナイフを取り出すと、蓉子の服を切り裂いた。
腹部に触れると、恐ろしいほど冷たい。汗はかいているが、全身が氷のようであった。心臓はまだ動いている。
バスルームへ行き、蛇口をひねり熱湯を溜め始めた。
再びベッドルームへ戻ると、彼は蓉子の服を全て剥ぎ取った。丸裸の蓉子を抱えてバスルームへ行くと、バスタブそっと沈めた。
意識が無いのでそのままでは沈んでしまう。
オダギリは少し頭を抱える仕草をすると、己も全て脱ぎ捨て裸になり、蓉子を抱えるようにしてバスタブに入った。頭をささえ、お湯に沈まぬように蓉子の下で抱きかかえる。お湯の中でさえ、蓉子は冷たかった。低体温症になっていたのかも知れない。街を外れると、砂漠は恐ろしいほど寒かった。
バスタブで彼女を抱きかかえたまま、お湯を継ぎ足し、石鹸で血塗れの顔や誇りだらけの髪を優しく撫でた。泥の落ちた蓉子はとても美しかった。
全身の色が白く、まるで透けるようだ。
彼女の頭を抱え、しばらくすると震えが止まった。頃合いを見てお湯から出し、大きめのバスローブをタオルの代わりにして身を包んだ。
再びベッドへ連れて行き寝かせると、部屋の温度を上げる。
ひどい汗をかいている。だが全身はまだ震えていた。
オダギリは彼女を抱きしめると、裸のまま温め続けた。
ふたりとも、裸のままである。
だが、そこにエロスはない。
大きな腕で抱きしめ、頭を寄せた。二人はこうして、3日ほど同じ事を繰り返した。
医者は結局来なかった。
誤字脱字は気にしないと読めたりします