最後の精霊の巻
決戦まであと少しになってきました。
それなりに長く続いたのも、皆さんのお陰です。
今回は作者の十八番、マルチエンディングでいきたいと思います。
お気に入りしてくださってる方、感謝してます。
最後まで楽しんで、お付き合い下さい。
俺達は亡きガルシアのために祈った。
必ず、ポラポラを滅ぼすと誓いながら。
「アシュリー……お前は村に帰ったほうがいい……このまま俺達と一緒に俺達といるのは体に毒だ。リン、アシュリーを頼む」
力なく倒れ込んだアシュリーをリンが抱える。
「わかった。アシュリーを送ってくるね」
アシュリーはリンの瞬間移動で、名もなき村に帰っていった。
程なくしてリンは戻ってきた。
リンは流した涙の跡を拭い、元気に振る舞おうとしていた。
「皆、最後の火の精霊はすぐそこだよ。ぐずぐずしていると置いていくよ」
リンの強がりに皆同調し、泣くのをやめた。
泣いた所で、ガルシアは帰って来ないし、アシュリーだって喜ばないだろう。
「今、俺達がやるべきことは、王者の剣の力を取り戻すことだ」
俺もリンに負けじと自らを奮起させるとともに、仲間を鼓舞した。
今、士気が下がっては決戦の時、命を落としかねない。
ダークドラゴンと戦った経験が活かされているのだろう。
重い腰を上げ、火の精霊を探す。
しかし、いくら探しても火の精霊を見つけることが出来なかった。
〈もっと違う場所を探してみよう〉そう言いかけ時、上空から声がした。
「何だ? おめぇら。おれっちに何か用か?」
紅蓮の炎に身を包み、腕組みをして俺達を見下ろす。
「あなたが火の精霊バーストですか?」
「おう! おれっちが最強の精霊バースト様だ。おめぇら、何の用だ」
地上に降りたバーストに俺達は、旅の理由、経緯を話した。
「なるほどね~おめぇらも苦労してんだ。いいよ、力を貸してやる。おれっちの力をやれば王者の剣は最強になるんだろ? 但し、最強になった王者の剣を持ったおめぇと戦いてぇ。俺は強い奴が好きだ。俺の頼みも聞いてくれるか?」
「剣が復活出来るなら、喜んで」
「決まりだな。王者の剣を貸しな」
バーストは王者の剣に向かって祈りを捧げた。
今までより激しい光が王者の剣を包み込む。
「こ、これはすげ~ぜ。四人の精霊の力と王者の剣の力が融合して、古より伝わる伝説の剣になっちまった」
バーストの言う通り、錆び付く前の王者の剣とは輝きがまるで違う。
「こいつはなぁ、聖剣エクスカリバーって言ってな、どんな悪も打ち破る最強中の最強よ。持ってみな」
「これが……伝説の聖剣エクスカリバー」
指先から伝わる聖なる力、今までとは比べものにならない。
〈これがあればポラポラに勝てる〉そう思った時、バーストが言い添える。
「約束忘れてないよな? 最強の剣、ワクワクするぜ。どっからでもかかってきな」
「バースト、全力で行かせてもらうぜ」
「おう、おう。威勢がいいな。来な!」
俺は聖剣エクスカリバーを握り締め構えた。
信じられないほど、静かに聖なる力が体に染みてくる。
「行くぞ!」
バーストの動きを読み、避ける方向目掛けて降り下ろす。
僅かにバーストの肩を掠めるだけに止まった。
「アブねぇ、アブねぇ。さすが聖剣だ。そうこなくっちゃ」
〈駄目だ、動きが早い。心の目で見るんだ。教えてくれエクスカリバー〉
俺は静かに目を閉じた。
なまじ視覚があるから、相手を捉えられないからと、ふんだからだ。
〈心の目……〉
「そこだっ!」
エクスカリバーに蒼白い閃光が走る。
「うげっ。痛ぇ、痛ぇ~よ」
「ご、ごめん」
「さすがは聖剣だ。あっぱれ、あっぱれ。おい、おめぇら。世界を頼んだぞ。さ~て、おれっちは昼寝でもするかな~」
「ありがとうございました」
聖剣エクスカリバーを手に入れた俺達は、決戦に備えベルナの街に戻った。
王者の剣がなんと伝説の聖剣エクスカリバーに変化した。
ポラポラとの最終決戦を目前に嬉しい誤算だ。
おやっさん、もう少しだ。




