千年祭にての巻
水中ライターを手に、水の精霊へ急げ!
王者の剣に輝きを。
俺達は今、ウェンディーの街に来ていた。
理由は簡単、防具を失った為、新たに購入するのが目的だ。
こう毎回毎回防具を失っていては、金がいくらあっても足りない。
やむを得ず、なけなしの金で、プラチナメイルを購入した。
何故、そんな高価な鎧が手に入ったかと言うと、今ウェンディーでは千年祭という祭が行われており、それに伴うセールをしていたからである。
もともと活気に溢れている街だが、普段より更に賑やかさを見せていた。
出店やイベントが開催されている所を見ると、現実の世界と何ら変わりはない。
祭を楽しみたい所だが、俺達は水の精霊に会いに行かなくてはならない。
用事を済ませてから、再度ウェンディーに戻ってくるようにした。
滝の洞窟へ向かい、空気の果実をかじり水の精霊の家へと赴く。
「水の精霊さん、持って来たぜ」
「しっ! 大きな声出さないで。私のラビィが今寝た所なの」
ラビィとはウサギに似た、水の精霊のペットらしい。
「うわぁ。ふわふわして、可愛い~」
寝息を立てるラビィを撫でるキャンディ。
「私もラビィ飼いたいよ」
「旅にペットを連れて行くわけにはいかないだろ?」
キャンディはガッカリして肩を落とした。
「それより、精霊さん。これ持って来たんだけど……」
「精霊さんじゃなくて、私の名前はミストよ。言ってなかったかしら。それより、これは何? この世界のモノとは思えないけど……」
「これは水中ライターと言って、水中でも火をつけられる道具です。現実の世界から持って来ました」
「あなた現実の世界に行き来出来るの? それは興味深いわね。それはそうと、合格よ。約束通り、剣に力を与えるわ」
ミストはそう言うと、王者の剣に向かって祈りを捧げる。
水中の泡が剣に集まり、僅かだが輝きが増した。
「ふぅ。これで終わりよ。まだ力が足りないから他の精霊の力が必要ね」
「火と土の精霊は何処にいるの?」
俺が聞こうとしたことを先にリンがミストに聞いた。
「土の精霊ドットの場所ならわかるわ。彼とは仲が良いから。砂漠の地下にある要塞に住んでいるわ」
「ありがとう、ミスト」
「頑張ってね。そうそう、このライターとか言うモノもらっていい?」
「そんなもので、良ければどうぞ」
そう言い残し、俺達は陸へと戻った。
「ふぅ。時間ギリギリってとこだな」
何度も死にかけては話にならない。
酸素の有り難みを感じていた。
「よし、次は土の精霊のいる砂漠だ。多分、ロックスタワーがあった辺りだと思う。さっそく行くぞっと言いたい所だが、ウェンディーの千年祭を楽しんでからにするか?」
「やった~。隼人大好き」
俺は三人に抱き付かれ、頬にキスされ、もみくちゃにされた。
再びウェンディーの街。
祭は先ほどより盛り上がりをみせ、大道芸や、きらびやかな花火が打ち上げられていた。
三人は浴衣風の衣装に着替え、ハイテンションだ。
暫し街中を練り歩くと、キャンディが足を止める。
「隼人……これ」
小さなペットショップにラビィが売られていた。
「可愛い~。毛がモフモフしてる~」
「ねぇ、わたちを買ってよぉ」
「ら、ラビィがしゃべった!」
「わたちがしゃべっちゃおかしい? お願い連れてって」
「隼人~。ラビィもこう言ってるし~。買ってよ。私が面倒みるから~」
キャンディに根負けし、俺達はラビィを迎え入れた。
「名前は毛がモコモコしてるから、モコモコね?」
「やった~。あたち、キャンディ大好き」
キャンディとモコモコがじゃれあっているのを見ると、誰も駄目とは言えなかった。
新しい仲間? を迎え入れ、翌朝俺達は砂漠へと向かった。
キャンディに根負けしてしまった。
新たに仲間に加わったモコモコ。
その名の通りモコモコしていて、可愛い~。




