惑いのリンの巻
それぞれの想い。
リンとレイを選ぶなんて……
賑やかなウェンディーの街とは裏腹に、俺の心は曇っていた。
情報集めにも、翳りがみえ手詰まった状態だ。
「そうだ、お兄ちゃん。リバイアサンを仲間にした場所に行ってみない? あそこなら、水が関係あるし……」
可能性は低いがリンの発言に耳を傾けた。
「情報がない今、行ってみる価値はあるな」
少しの希望を持ち、今日はウェンディーの街で宿を取ることにした。
三人とは別の部屋。
一人になると、考えることが多い。
〈俺はリンが好きだ。でも、長い旅で情が移ったから? 自分でも気持ちがわからなくなってきた。それじゃ、レイは? 確かに好きは好きだ。でも、それは仲間として? あ~わからない〉
そんなこと考えていると、誰かが部屋の扉を叩く。
こんな時間に誰だろうと、思い扉を開くとリンが立っていた。
「ちょっと……いいかな……」
俺はレイとのキスがバレたのか? と、ハラハラしたが、リンを部屋に招き入れた。
「あぁ、いいよ。入りな」
ちょうど飲もうとしていた紅茶をリンの分もと、カップを並べた。
「温まるね。おいしい~」
リンは無邪気な笑顔を見せる。
そんなリンの笑顔が好きだ。
だからこそ、罪悪感に苛まれ、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
リンの笑顔を見る限り、キスはバレてないようだ。
この旅で一番の緊張かも知れない。
しかし、油断した俺にリンは質問を投げ掛けた。
「私のこと好き?」
「いきなり、何言うんだ」
俺は吹き出しかけた口についた紅茶を拭った。
「だって、最近キスしてくれないし、レイのことばっかり見てる気がするんだもん」
「そ、そんなことないよ」
「じゃあ、キスして。態度で表してくれないとわからない」
俺はリンに言われるがまま、キスをしてしまった。
舌を絡ませ、激しい息づかいで。
時折、互いの歯があたり、口の中は紅茶の香りが広がる。
キスが終わるとリンは納得がいったのか、部屋に帰っていった。
〈俺は何をやってるんだ。二人のことを弄び、敵もまだやつけられないでいる〉
俺は一人、眠れぬ夜を過ごした。
そして、夜が開けた。
結局俺は一睡も出来なかった。
眠い目をこすりながらも、リバイアサンのいた滝の洞窟へと向かった。
この時、リンとレイが険悪なムードになっていることに気付いていれば。
〈男は鈍感だ。いや、俺が鈍感なだけか?〉
普通なら、羨ましい状況だが、今の俺は決断力もかけ戦闘にも影響が出始めていた。
俺は答えを出せずにいた。
リンもレイも、どっちも好きじゃ、駄目?




