惑いのレイの巻
戦いは終わったが……
「レイ、助かった。……強くなったんだな」
俺はレイの戦いぶりを見て素直に口にした。
「隼人……」
「何?」
「ご褒美にキスして……」
「ここで? キャンディに見つかるし、まず……い……うぐっ」
レイは背伸びをして、不意にキスをしてきた。
舌を絡ませ、分泌された唾液が糸を低く。
離れようとするが、腰に回されたレイの腕がきつく抱き締める。
「キャンディに見つかるよ」
「構いません。隼人、答えて。リンと私どっちが……いいえ、何でもありません」
レイはそういうと、唇をほどき俺から離れた。
レイが何を言おうとしていたか、感じ取れたが、それには答えなかった。 「リンが待ってる。戻るぞ。キャンディ、キャンディ~」
キャンディは震えながら、木にしがみついている。
「キャンディ、敵は倒した。戻るぞ」
「ごめんなさい。高い所が苦手で……」
「大丈夫だ。その分レイがやってくれた」
キャンディはペコリとレイに頭を下げた。
俺は色々な感情が駆け巡り、もと来た道を戻った。
地上に近付くにつれ、キャンディも元気を取り戻した。
世界樹の下に辿り着くとリンが待っていた。
その横には、グラマラスな女性が微笑んでいる。
「お帰り、お兄ちゃん」
「おう。所で、その人は?」「何を言っておる。わらわじゃ、ウィンディじゃ。お陰で真の力を取り戻せたんじゃ。礼を言うぞよ」
「本当にウィンディなのか?」
ウィンディは微笑えみ頷く。
「早速、王者の剣に力を注ぐから、待っているのじゃ」
ウィンディは膝まづき剣に向かって、祈りを捧げた。
すると、風達がざわめき始め王者の剣に吸い込まれていく。
「ふぅ。完全とまではいきないが、力は吹き込んだぞよ。あとは他の精霊に頼むんじゃ」
「ウィンディ、ありがとう。所で、他の精霊は何処にいるんだ?」
「それぞれ、水、火、地に関係のある所じゃ。それ以上、わらわもわからんのじゃ」
「そうか……自分達で何とか探してみるよ」
俺達はそう言い残して、世界樹をあとにした。
王者の剣に力が少し戻ったものの、他の精霊の居所はまだわからない。
それよりも俺はレイの示す態度に、惑わされていた。
世界樹の下に戻る途中、レイはこんな台詞を俺に投げ掛けていた。
「リンには負けません。私、正直に生きることにしました」
その言葉は何を意味するのか、何を伝えようとしていたのか、俺は悩んでいた。
レイの求めてきたキス、それはリンに対する裏切りにも思えた。
俺はリンの顔をまともに見れず、レイの行動にハラハラしていた。
そんなことも知らず、三人は和気藹々と和やかな雰囲気だ。
「ふぅ……」
深い溜め息をつく。
俺達は情報集めと休息を求め、一度ウェンディーの街に戻ることにした。
ウィンディに力を注いでもらい、少し輝きが戻った王者の剣。
しかし、更なる問題が?
三角関係が始まるのか? 始まらないのか?
それより他の精霊を探さないと……。




