ニセ者同士の巻
ポンコツの前に現れた人物とは?
誰かが俺の眠りを妨げる。
「おぉ!起きたか?仕事だ。早く行くぞ!」
十五、六歳のボーイッシュな女の子だった。
「仕事って何?」
「とぼけんなよ。早く着替えろよ。置いていくぞ!」
俺は女の子に圧倒され、ついて行くことにした。
静まりかえるベルナの街並み。
先程とは違う顔を見せる。
「こっちだ。早くしろよ」
何で命令口調なんだよと思ったが、眠気のため言い返すことなく黙ってついて行った。
「お頭、連れて来ましたよ」
そこには目だし帽を被り、体格のいい男がいた。
「お、お前は?おい!こいつじゃねぇよ」
「違うんですか?お頭。私はてっきり、この男かと……」
俺は思ったことを口にした。
「何か聞き覚えのある声なんだよな~。それにその体格」
〈ギクッ〉
目だし帽の男は明らかに動揺していた。
「バレちゃ~しょうがね~」
男は目だし帽を取った。
「お、おやっさん?」
「おい!おやっさんとは何だ!この方はな、泣く子も黙る、お仕置きバー会員番号001 自称大盗賊カンタガ様、その人だ」
〈ゴンッ〉
おやっさんの拳が女の子の頭を直撃する。
「余計な捕捉を入れんな。バレたついでにお前に頼みがある。イヤとは言わせねぇぜ」
「イヤだよ。俺は眠いんだよ」
「まぁ、よく聞け。俺達は誰かに似てると思わねぇか?よく見て見ろ。俺の体格と、お前のそのツンツンとした髪型。なぁ?俺達は似てるんだよ。ニセ者同士手を組まねぇか?悪いようにはさせねぇ」
「ん、まぁ、俺もやることないし。ニセ者ってのも、あながち間違ってないしな。いいよ、んで、何をすればいいんだい?」
「その前に、お前にこれを渡しておく」
カンタガはおもむろに懐から何かを取りだした。
「何これ?この純白のパンティがどうしたんだ?」
「おっと、それじゃねぇ。これだ」
それは古ぼけた地図のように見えた。
「その地図に印されたダンジョンにはなぁ、どんな扉でも開けちまう〈魔法の鍵〉があるんだよ」
「魔法の鍵?また、ベタだなぁ?」
「ただそのダンジョンには魔物が多く住みついていて、俺達だけでは厳しいんだ。手を貸してくれるな?」
「いいけど、俺弱いよ。ステータス見てみろよ」
「ぶっ!クソだな?屁の役にも立たないな。よし、わかった!明日から俺と訓練しよう!な~に、ちょっと戦えば強くなるぜ」
「そうと決まれば、今日は解散しましょう。お頭」
「そうだな。それじゃポンコツ、明日俺の店に来てくれ」
一方その頃……
「いつになったら、迎えにくるんだよ!カンタガ!」
カンタガは雇おうとしていた男のことをすっかり忘れていた。
カンタガと手を組み目的を見つけたニセ勇者ポンコツ。
いよいよ真面目にストーリーは動くのか?