リンの病気?の巻
形勢逆転?
リン、お前って奴は……。
恒例のお約束パターン。
かつて世界を自由にコントロールして、我が物にしようとしてきた悪の根源ポラポラは生きていた。
それも、壮絶な進化を遂げ。
ここベルナの人々は何も知らず、のんびり平和に暮らしていた。
しかし、それはあくまでも表面上のこと。
水面下では魔物たちが以前より力をつけ、それに気付いた人々は漠然と不安と恐怖を感じていた。
先の戦いで活躍したリン達は、力をつけた魔物達を相手に攻めあぐねていた。
戦局は圧倒的不利な様相を呈している中、再び俺はこの地に足を踏み入れた。
少し前までは、当たり前のように過ごしたこの街も、遠い記憶のように感じる。
そんなこと思いながら歩みを進めると、古ぼけた胡散臭いおやっさんの武器屋が見えてくる。
「お兄ちゃん、今店の鍵開けるね」
どうやら石化したおやっさんに変わって、リンが店を管理しているらしい。
リンは裏口に回り込むと、やがて店の立て付けの悪い木の扉は悲鳴を上げながら開いた。
一歩店内に踏み出すと、人の流れがないせいか、空気が淀んでいる。
更に奥へ進むと、あの時から時が止まったおやっさんが佇んでいた。
それは今にも動きそうで、〈今日は何しに来やがった〉と言わんばかりの表情を見せていた。
あの時、おやっさんが石化していることを忘れていなければと、後悔の念に晒される。
「おやっさん、すまない。必ず助けるからな」
死んでもいないおやっさんに、思わず合掌してしまった。
「ところで、リン。アシュリーとレイは?」
「アシュリーは名もなき村で、召喚術の修行をしてるわ。レイはあれっきり、連絡が取れなくて……」
リンが力なく項垂れると、懐から何かが落ちた。
〈バサッ〉
「ば、馬鹿。それ俺のエロ本じゃねぇか? お前も本当エロだな」
「だって~。見たかったんだもん……」
「待てよ、俺の部屋から持ってきたものがここにあるってことは、現実からこの世界に物を持ち込めるってことだよな? リン、ナイスだ。その本は、くれてやる」
現実から物を持ち出せるということは、有利に立ち回れる。
問題は自由に行き来出来るかだ。
その事が気になり、リンに質問を投げ掛けた。
「リン、現実にトリップした時、祈ったって言ったよな? 具体的にどうやったんだ? 教えてくれないか?」
「ここで?」
リンは何故か恥ずかしそうに、顔を赤らめる。
「どうした? 何で恥ずかしがってんだ」
「絶対に引かない?」
「あぁ、約束する」
俺が約束すると、リンは一旦店を出てバナナを持ってきた。
「そんなもん、どうすんだ?」
リンは俺の言葉に反応せず、丁寧にバナナの皮をむき口に含んだ。
バナナを前後に出し入れしながら、リンは言った。
「お兄ちゃん……」
すると、リンは忽然と姿を消した。
しばらくするとリンは戻ってきた。
「どう? わかった?」
「わかった? じゃねぇよ。お前少し見ない間にどういう女になってんだよ」
〈バサッ〉
「てへっ。もう一冊持ってきちゃった」
「お前……」
どうやら、進化を遂げたのはポラポラだけではないようだ。
俺は思った。おやっさんの石化より、リンの知りたがり、やりたがり病の方が深刻だと……。
リン。あなたをこんなえっちに育てた覚えはありません。
早くおやっさんを救うのだよ、おやっさんを。




