ラストバトル突入の巻
さぁ、いよいよ最後の戦いです。
ダークマジシャンを倒した俺達は次の階を目指していた。
どんな敵が来ようと負けはしない。
信頼出来る仲間と煩悩があれば、もとい勇気があれば。
「待っていたぞ。私の名はガルシア。この魔界を纏める兵長及び教育係だ。
残念ながら、坊っちゃんの所に行かせる訳にはいかない。ここで死んでもらう」
背丈ほど長い槍を構え、ガルシアは一礼する。
魔物にも、こんなに礼儀の正しい戦士もいるのかと驚いた。
長い槍を巧みに操り、魔法も使いこなす。
「なかなかやるな。さすが、魔界まで来るだけのことはある。では、これならどうだ?」
槍を水平に寝かせ凪ぎ払いながら、ポイズン〈毒素呪文〉を唱える。
槍に注意を行かせ、毒に蝕まさせる。
俺達は毒を中和すため、毒消しを口に含む。
その間にガルシアは、また次の攻撃を仕掛けてくる。
「くっ。強い……」
「どうした? 立て! お前達の実力はこんなもんじゃなかろう?」
レイは体勢を整え、先陣をきって攻撃に出る。
壁を蹴りあげ、素早く飛び上がる。
空中戦はレイが最も得意とする攻撃の一つ。
時折見える引き締まったお尻が気にはなったが、味方をも翻弄させる見事な連続技だった。
「ぐぉ。なかなかやるではないか? よろしい、取って置きの技をお見せしよう」
普通の映画とかゲームなら、ここは待つ所だが空気の読めないアシュリーはリバイアサンを召喚し、大海衝をガルシアに向け放った。
「ぐっはっ。普通、待つ所だろう? く、しかし、今のはさすがの私も死ぬかと思ったぞ」
俺もガルシアの意見に同感だった。
うちの女性陣は、一度スイッチが入ると容赦はない。
「今度こそ、見せてや……」
「行きます!ホーリークロス〈聖なる十字架呪文〉」
今度はリンが、新しい魔法をガルシアに放つ。
「ぐっはっ。何と言う威力……さすがだ。しかし、私の取って置きの技……見せたかったなぁ。くふぁ。」
ガルシアは結局、取って置きの技を繰り出す前に、この世、いや魔界を去った。
〈敵ながら感服する ガルシアよ〉
俺はガルシアを手厚く弔い、鍵を手にした。
「皆行くぞ」
反応がない。
三人は回復を済ませ、ガールズトークに花を咲かせていた。
「あ、あの次の階に行きますけど……」
回復もしてもらえず、俺はがむしゃらに薬草を頬張っていた。
〈俺は馬じゃねぇんだ。こんなに草ばっかり食えるかっての〉
結局俺は気付いてもらえず、二十個もの薬草を平らげ回復した。
「そろそろ行くみたいですよ」
ようやくレイが俺の不機嫌さに気付き、次の階に行くことが出来た。
目の前に現れた扉は明らかに今までと異なる。
鋼鉄製で出来ており、鎖で何重にも巻かれている。
錆び付いた扉は重苦しく開いた。
冷やかな空気に鳥肌が立つ。
長い階段を昇ると、そこに謁見の間が広がる。
「遅かったじゃないか、待ちくたびれよ。途中でやられたんじゃないかと心配したよ」
「余計な心配させて悪かったな、黒龍神。俺はお前を倒す」
「つまらないジョークだ。笑えないよ。覚悟はいいかい? さぁ、恐怖に怯え死ぬがいい」
黒龍神の目の色が黒から赤に変わり、指先から長い爪が生えた。
いよいよ最後の戦いが始まった。
泣いても、笑ってもこれが最後だ!
俺はゆっくりと剣を構えた。
黒龍神の強さとは?
そして隼人達の運命は?




