魔界突入の巻
いよいよ決戦の舞台、魔界へ突入です。
魔界ゲートを抜けると、更に霧は濃くなり死臭がする。
どす黒い沼には、人間とも動物とも見当がつかない屍が漂っている。
草木は枯れ、大地は汚染されている。
黒龍神が言っていた理想郷とは、こういう世界なのだろうか?
だとしたら、俺達の美しい世界をこんな魔界のような世界にするわけにはいかない。
俺は唇をキュッと強く噛んだ。
仲間たちは何も言わないが、きっと同じ気持ちだろう。
「見て、あそこにお城があるよ。きっとあそこに黒龍神がいるんだよ」
リンはバハムートから身を乗り出し指差す。
「リン。そんなに身を乗り出したら危ない……って、お前ノーパン?」
「やだ、お兄ちゃん見ないでよ」
「見ないでって、見えたもんは仕方がない。パンツくらい履けよ」
「え~だって。ライン崩れるし~」
〈駄目だ。決戦を前に緊張感がない。相変わらずレイとアシュリーは俺に冷たい視線を送る〉
「と、とにかくバハムート、あの城に急いでくれ」
「了解した」
風化したレンガと天然の石とを組み合わせた巨大な城。
その城の周りには魔物達が待ち構えている。
「これ以上は近付けない。結界が張られている」
バハムートは、城から少し離れた場所に俺達を降ろした。
毒々しいぬかるみを歩き、さっき見た城を目指す。
ひっきりなしに、魔物達が現れ俺達に襲い掛かる。
油断すると遠方からの弓矢が、襲ってくる。
気を引き締めて掛からないと、全滅になりかねない。
そうしている間にも、悪魔のような魔物、ドラゴン系の魔物が行く手を遮る。
さすが魔界だ。
ザコ敵でさえ、それなりの攻撃をしてくる。
それらを掻い潜って突き進むと、城が見えて来た。
びっしりと苔がへばりついた城門に、大量のコウモリ達。
さしずめ悪魔城と言った所か。
城門の前には、巨大なこん棒を持った魔物が待ち構えている。
客として簡単には中には入らせてもらえない寸法だ。
「やれやれ、骨が折れる」
俺はウォーミングアップ代わりに、そいつに剣を向けた。
魔物から見たら、好戦的で自分を見下した態度に見えたかも知れない。
そこまでして、敵を挑発したのには訳があった。
この手のパワータイプの魔物は挑発に乗りやすく、熱くなった後、攻撃に隙が生じ安いのだ。
幾多の戦闘を経験し得たものの一つだ。
案の定、魔物はこん棒を大きく振りかぶり、地面に叩き付けた。
予想通り隙だらけだ。
だからと言って、油断するでもなく冷静に魔物の急所に一撃を加える。
さすが王者の剣。
一撃とまではいかないが、確実にダメージを与え魔物は横たわった。
「中に入るぞ」
木製の扉は重苦しく開き、いよいよ城の中へ。
色褪せた血に染まりし絨毯、蜘蛛の巣の掛かった気味の悪い絵画。
ウェンディーの城とは雲泥の差だ。
「見て下さい。また、敵のようです」
レイの指差す方向には、この階の門番といえよう魔物が俺達を待ち構えていた。
全身骨で形成され腕が四本ある。
その魔物は言った。
「ようこそ魔界へ。俺の名は龍骨騎士。そして、ここは黒龍神様の城〈ダークデスパレス〉だ。黒龍神様のいる上の階に行きたかったら、俺を倒しな」
黒龍神の部下、龍骨騎士は四本の腕に剣を構える。
他のザコ敵より、オーラを感じる。
「簡単には通してくれないわけか?」
「そういう事だ」
俺達は構え戦闘体勢に入った。
物語もいよいよ佳境に入ってきました。
作者はエンディングをハッピーとバッドと二種類一応考えてるんですけど、皆さんどっちがいいんですかね~。迷います……土壇場の切実な悩み。




