招かれざる客の巻(後編)
強敵ポラポラ。倒せるのか?
「アシュリー、やめるんだ」
「あたしは……大丈夫……だから」
アシュリーは気を失った。
寸での所でパワーを制御したようだ。
「おやおや、情けないお仲間ですね? そろそろ終わりにしましょうか?」
ポラポラは全身に力を溜め始まった。
「くそ……ここまでか」
「諦めないで下さい。私が死んだ時も諦めないでいてくれた。だから私は助かったんです」
〈そうだ。諦めたら終わりだ。やってみなければわからない。今までだって乗り越えきたんだ〉
「レイ、ありがとう。下がっていてくれ。こいつは俺がやる」
「フッ。面白いことを言いますね。お前が、この私を。冗談も休み休み言いなさい。さぁ、パワーが増幅しました。本気で行きますよ」
額の勇者の紋章が蒼白く光り、王者の剣は聖なる力を帯びる。
「俺は……俺は負けない。食らえ、真・卍斬り!」
二つのパワーが、ぶつかり合う。
「甘いですよ。それでは私に勝てませんよ」
「慌てるな。本番はこれからだ」
聖なる力が更に増幅した王者の剣で、ポラポラを斬りつける。
「これで終わりだ~」
ポラポラに蒼白い閃光が走り、血が吹き出す。
「うぐっ。この私が……破れるとは。しかし、このままでは……」
その時、辺りは漆黒に包まれ一筋の光が俺達の前に落ちた。
「こ、黒龍神様……」
「遅れちゃったよ。ポラポラ。どうしたんだい? その傷は?」
「こやつらにやられました。どうか、お助け下さい」
「僕は弱い者が嫌いなんだ。死んじゃえ! えいっ!」
ポラポラは粉々に吹き飛んだ。
「み、味方を。あのポラポラを一撃で」
「味方じゃないよ。あんな薄汚い奴いない方がいいよ。今から僕がこのゲームのブレインだからね。さぁ、次は君の番だよ」
俺は息を切らし、剣を構えた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「何だ。弱ってるじゃないか。僕に任せて」
黒龍神が祈ると、俺達の傷は塞がった。
「こ、これは?」
「どう? 傷が癒えたでしょ?」
「どういうつもりだ!」
「遊び相手になって欲しいんだ。勿論、命を懸けた」
〈人の命を弄ぶことが遊びだと?〉
「さぁ、この世界も魔界と同じく暗黒の世界になっていくよ。草木も育たず、光りも差さない。人は皆怯え生きて行く。素晴らしいと思わないか?」
黒龍神に一太刀浴びせようと思うが、金縛りにあい身動きが取れない。
昼間だと言うのに、空は完全にふさがり暗黒に満たされた。
「僕に提案があるんだ。この世界が崩壊するまではもう少し時間が掛かる。そこで、君達には僕の住む魔界に遊びに来て欲しいんだ。君が勝ったら、この世界は元通りにしよう。だが、僕が勝ったらこの世界は頂くよ。いいね? 魔界に通じる魔界ゲートは開けておいたよ。もっとも、早く来ないと僕の部下達が、そこからこっちの世界に来ちゃって暴れると思うけどね。それじゃ、待ってるよ」
黒龍神はそう言い残すと、一筋の光になり姿を消した。
「大変なことになりましたね」
「あぁ」
「でも行くしかないよね? お兄ちゃん」
俺は淀み始めた空を見上げた。
魔界から現れた黒龍神。
人の命を弄ばせるわけには行かない。
決戦の時は近い。




