表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/71

伝説の召喚獣の巻

 伝説の召喚獣が俺達の前に現れた。

 一筋縄ではいかないだろう。

 港街に戻った俺達は船へと乗り込んだ。

 目指すはウェンディーより北西の島。

 シヴァの降らせた雪はすっかりと溶け、温暖な気候を取り戻していた。


 しばらく船を進めると岩礁に取り囲まれた島が見えてきた。

「よし、上陸するぞ」


 人影のない浅瀬に船を停泊させ、歩き出す。

 島は不毛の砂漠がえんえんと広がり、その中心部に頑強な石造りの迷宮が口を開けている。


 多くの冒険家がここを訪れたのだろうか? その屍は原型をとどめず風化して転がっている。


 松明に火をつけ、壁づたいに迷宮の奥を目指す。


「召喚獣達が、あたしの精神の中でざわつき始めてるわ。きっと伝説の召喚獣がいるのね」


 比較的無口なアシュリーが召喚獣のこととなると、目を輝かせた。


「え~。でも、また戦わないといけないんだよね? 強いよね~きっと」


「だろうな。だけど、必ず仲間にしてみせる」


「何か、お兄ちゃん逞しくなったね」


 リンに言われるまで自分でも気付かなかった。

 ハヤブサとの戦いで真の勇者になれたことが、内面まで変えたのかも知れない。


 迷宮の先端は、広くなり墓石が鎮座しているだけであった。


「召喚獣なんていないじゃん」


「待って」


 俺は墓石に目をやった。

 俺の知らない古代文字が墓石には彫られていた。

 本能的に墓石に手を伸ばすと、自然と意味が理解できた。


「何て書いてあるかわかったんですの?」


 心配そうにアシュリーが俺の顔を覗き込む。


「汝、我の力を欲しくば、我に力を示せと書いてある」


 墓石を読み終えると、轟音と共に地響きが鳴った。


 次の瞬間、淡い光が駆け抜け、霧に包まれた黒い身体の大きな魔物が姿を現した。



「我が名はバハムート。最強にして最大の召喚獣。我の眠りを妨げたのは、汝か?」


 俺はコクリと頷いた。


「ならば聞こう。何故、我を欲する?」


「それは、仲間を助ける為。仲間を守る為」


「うむ。わかった。では全力で掛かってくるがいい。我に勝利し時、汝らに力を貸そう。来るがよい」


バハムートは鋭い牙と爪を剥き出しにし、こちらに向け構えた。


「行くぞ。何としても勝つんだ。二人共援護してくれ」



 初めから全力でバハムートに立ち向かった。

 そうでもしないと勝てない相手だと、肌で感じ取っていたからだ。

 リンは合体魔法、アシュリーはシヴァとリバイアサンを召喚して、よく戦ってくれている。

 俺もそれに答えなくては。

 バハムートの皮膚は強固で、並大抵の攻撃ではダメージは与えられない。

 かつ、不用意に近付くと鋭い牙と爪はもとより、灼熱の炎の餌食になる。

 俺は体勢を整え次の一手に掛けようとしていた。


 俺は願いを込め、剣を天にかざした。

「聖なる力よ。我に力を……」


 額の紋章が蒼白く光る。

 聖なる力を帯びた剣がバハムートの身体を貫く。

 バハムートは引き裂かれた身体の痛みにもがき苦しむ。


「まだだ。まだ終わっちゃいない」


〈真・卍斬りしかない〉そう思った次の瞬間、バハムートはその巨大な口からメガフレア〈巨大爆発砲〉を放った。

 周囲のものが何もかも吹き飛ぶ威力。

 三人とも辛うじて耐えたが、リンとアシュリーは瀕死の状態だ。

 全ては俺に掛かっていた。

 狙いを研ぎ澄まし、バハムートの喉元を目掛ける。



 外したらレイを生き返えらせるどころか、全滅だ。

 動きがスローに見える。

「今だーっ! 真・卍斬り」


 バハムートは雄叫びを上げ横たわった。


「見事だ。我、汝らの為に力を貸そう。いつでも我を呼ぶがいい」


 バハムートは煙のように消えた。

 それと同時に優しい光が包み込み、俺達の傷はみるみる塞がり回復した。


「やったね。お兄ちゃん」


「やりましたね」


「あぁ。これでレイを生き返えらせれる」


 ついに最強にして最大の伝説の召喚獣バハムートを従えることができた。

 俺達はその後、おやっさんのもとを訪れた。

 さすがはおやっさん。約束通り、最果ての地の場所を調べあげていた。

 話によると、ここからずっと北の北。

 その名の通り、本当に最果てにあるらしい。


 俺達はバハムートの背中に乗り、最果ての地を目指した。


「バハムート。頼んだぞ」


「容易い、御用だ」


「おっかない顔してんのに優しいね。バハちゃん」


「……」


 雲を突き抜け、山を越え、風を切る。

 巨大なバハムートの翼は大空を駆け抜けた。



 バハムートを従え最果ての地を目指す。

 レイ。待っててくれ。必ず……必ず。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ