優しさの形の巻
仲間を思うがための隼人の行動。
四天王も残るは一人になった。
ここはマザーブース。
「ブリザレディさんの術も解かれましたか……ここまでやるとは私の誤算でした。ハヤブサさんあなただけが頼りです。戦う気になりましたか?」
「……」
「ま、まぁ、いいでしょう。頼みましたよ」
「……」
俺達は王家の宝庫に住みついた魔物を倒したことと、その魔物のせいで天候が荒れていたことを王に報告した。
「なるほど、話は飲み込めた。ワシの睨んだ通りじゃ。気に入った。褒美は何がいい? 金か? 地位か? 何でも言ってみるがいい」
「王様。私どもは金も地位もいりません」
「では、何が欲しいんじゃ」
「西の国へ行く通行証が欲しいのです」
「あそこは廃墟と化した魔物の住みかじゃぞ。それをわかって言っておるのか?」
「わかっております」
「ならば何故?」
「最近魔物の凶暴化が各地でみられるようになりました。その元凶がそこだと本能的に感じたのです」
「お前がそこまで言うなら、何も言うまい。通行証は早急に手配させる、それまで城の客室を使うがよい」
「ありがとうございます」
俺達は一礼すると謁見の間から離れた。
「お兄ちゃん、どういうこと? 勝手に西の国へ行くなんて決めて」
「私も同感です」
「あたしも同じく」
「なら、俺一人で行く」
「何でそうなるのよ。私達仲間でしょ? 私達にも相談して欲しいのよ」
リンの言うことはもっともだ。
俺の方が間違っている。それはわかっていた。
でも、地図を広げた時〈ここに行かなきゃ〉という衝動にかられていた。
「すまない。今後、気を付けるよ」
俺は三人に頭を下げた。
「そこまで、素直に謝られると困っちゃうな~」
「顔を上げて下さい」
「そうよ。皆そこまで、怒ってないし信頼してるのよ」
三人とも優しかった。
優しいからこそ、守ってやりたかった。
その夜……
「大臣さん、例のモノは?」
「あっ、隼人さん! ここに」
「シーッ! 声がデカイよ」
「すみません。はい、通行証です。やはり行くのですか?」
「あぁ。リン達を頼む」
「任せて下さい。ご武運を」
リン達には悪いと思ったが、密かに大臣から通行証を受け取り城を抜け出した。
勿論、西の国へ行くため。
雪がやんだとはいえ、風は冷たい。
おまけに雪がぬかるみ、思うように進めない。
それでも、俺は歩みを止めなかった。
やがて関所が見えてくる。
通行証を見せ、更に進む。
一息さえつかない。
廃墟と化した街が見えてきた。
「俺のカンが外れていなければ、そこに……」
「待っていたぞ。一人で来るとは感心だな。」
「やはりな……やはりお前だったか」
二人の間に風が吹き抜ける。
隼人のカンは間違っていなかった。
そこに待っていた者は?




