恐怖! ロックタワーの巻
ロックタワー。今までのようには行かないようだ。
砂塵が吹き荒れる中、ひっそりと姿を現したのはロックタワー。
天然の岩と岩とを丁寧に積み重ねられた美しい外観は、芸術的センスを感じる。
俺達はロックタワーに一歩足を踏み入れた。
「ようこそロックタワーへ。逃げずに来たこと、褒めてあげるでござる。拙者は最上階で待っているゆえに、それでは後ほど」
ロックスが俺達を出迎える姿は余裕さえ感じる。
「ここで何だかんだ言ってても始まらない。とにかく上を目指すぞ」
俺が気合いを入れると、二人がそれに賛同する。
巧妙に仕組まれたトラップ、行く手を阻む手強い魔物達を掻い潜り、ロックタワー三階までやって来た。
それまでのフロアーとは異なり、機械や配管が無造作に露出し、バルブのようなものからは蒸気が吹き出ている。
「あっつい、暑いよ~どうなってんの?このフロアー」
「確かに暑いですね」
二人が暑いと言う前に、俺は重厚な装備のせいでそれに、いち早く気付いていた。
「あ、つい……な」
暑さのせいで足元が覚束ない。
「ブリザド〈冷気呪文〉」
俺の異変に気付いたリンは、ブリザドの魔法を抑え俺を冷却する。
あのままいたら、俺は暑さで気絶していたかも知れない。
「リンすまない……」
リンは笑顔を返しつつ、俺達の周りを冷却し続ける。
リンにかかる負担も相当なものだ。
さすがは四天王の一人。
見事に精神と体力を削る術を知っている。
「次の階の階段です。急ぎましょう」
レイが階段を見つけると、自然と足早になる。
階を重ねるが、最上階はなかなか見えてこない。
「今何階~」
「途中までは数えていたけど、もうわからない……」
「おやおや、お疲れでござるか?」
「ロックス!」
突如ロックスが姿を現す。
「あまりに遅いので、様子を見に来たでござる」
「ロックス! 聞きたいことがある!」
「何でござるか?」
「最上階まであと何階?」
「やれやれ仕方ないで、ござるな。最上階はこの次でござる」
「そうか。ありがとう」
「どういたしまして。気を付けて行くでござるよ。って行かせるか!」
俺達はロックスを無視して、最上階を目指した。
「待てと言ってるでござる」
「わかった、わかったよ。ここで、もう決めてやる!皆行くぞ」
「拙者を怒らせると怖いでござるよ」
まずは俺とロックスの力比べ。
剣と刀の金属音が周囲に響き渡る。
「どうした? そんなものか? ファイアークより、強いんだろ?」
「ちぃ。なかなかやるでござるな。見せてやるでござる、拙者のワザを。喰らえ、岩石光線!」
「そんなもん弾き返してやるぜ!」
「駄目~逃げて下さい」
眩い光の中、俺はレイに弾き飛ばされた。
「レイ、レイ~」
俺の身代わりになった、レイの体がみるみる石化していく。
「レイすまない。あれを食らっていたら俺が」
「か……なら……ず、倒し」
レイは完全に石化してしまった。
「おっと、代わりに犠牲になるとは、涙ぐましいでござるな?」
「許せねぇ、許せねぇ~! リン合体魔法剣だ!」
「そう思って、詠唱していたよ。受け取って!ポイズンサンダー〈毒稲妻混合呪文〉」
「すげ~すげぇぞ! リン。ロックスとどめだ」
〈レイ必ず助けるからな〉
剣に稲妻と毒が融合し、ロックスめがけうねりをあげる。
「ぐぉぉぉ」
ロックスの頭上に稲妻が落ち、毒が蝕む。
「やったか?」
「まだみたいだよ」
ロックスは踞り、ドクッドクッと脈を打つ。
「なるほど。本気でかからないと駄目ということか? 見せてやろう拙者の本当の姿を」
背中から粘つく糸のようなものが排出され、やがて白い大きな翼が生えた。
ロックスは竜と人間の融合のような姿に変えた。
「ここからが、本番だ! 死ねぃ」
「万事休す……か?」
強敵ロックス。ポンコツとリンだけで、姿を変えたロックスを倒せるのだろうか?




