表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

姫はキスでは目覚めない

作者: 天等無視

「どうしたらいいんだ…」

鬱蒼と木が生い茂る森の中でただ立ち尽くす王子の前には、草のベッドの上で死んだように眠る美しいお姫様がいました。

お姫様は三日前、森の奥深くに住む魔女の魔法によって眠らされ、それから一度も目を覚ましていないのです。

その話を聞いた王子様は、昔よく読んだ絵本にあった、王子様のキスで眠っているお姫様が目を覚ますという話を思い出し、意気揚々とこの森にやってきました。

そして王子様のキスでお姫様が目を覚ます…はずだったのですが、お姫様には何の変化も起きませんでした。


王子様はもう一度キスをしました。しかしなにもおこらない。

王子様はもう一度キスをしました。しかしなにもおこらない。

王子様はもう一度キスをしようと思ったのですが、まわりにいる小人達の視線が痛かったのでやめておきました。


王子様は考えました。

魔女を倒せば、魔法は解けてお姫様は目を覚ますのではないか?

王子様は自分の馬に跨がり、小人達に言いました。

「姫を頼んだ。私が魔女を倒してくる。」


王子様は魔女の家に向かって馬を走らせました。

風より速く、光より速く。一刻も早くお姫様を救うため、必死に馬を走らせました。


魔女の家が見えたその瞬間、前から火の玉が飛んできました。

王子様はそれを剣でなぎはらい、悟りました。

今のは、魔女の魔法だと。

それは正解でした。魔法の家の前に、黒いローブを身にまとった老婆が立っているのです。

あぁ、あれが魔女か。王子様は魔女に会ったことはありませんでしたが、そのみてくれからそれを悟りました。


魔女は次に電撃を放ちました。

それは王子様の馬に当たり、馬は死んでしまいました。

王子様は馬から飛び降りて、魔女に向かって走り出しました。

魔女の放った電撃をかわして、どんどん距離を詰めていきます。


焦った魔女は、今度は氷の矢を乱射しました。

王子様はそれを盾ではじいて、魔女の懐に飛び込みました。

そしてそのまま、剣で魔女の体をまっぷたつに切り裂きました。

魔女の断末魔が耳の中に響き渡り、やった、という達成感でいっぱいになった王子様は、そのまま眠ってしまいました。


王子様が目を覚ました時、目の前には赤い顔をしたお姫様の顔がありました。

ああ、私はお姫様を救えたのだな、と思った王子様でしたが、ふと違和感を覚えました。


「王子様、ご無事ですか?あなたは魔女に眠らされていたのですよ」


お姫様のその言葉で、王子様は思い出しました。

魔女に眠らされたのはお姫様ではなく自分であると。

つまり、魔女を倒したのは全て、王子様のみていた夢だったのです。


自分の情けなさと、お姫様がキスで起こしてくれたとによる照れくささで、王子様は顔を真っ赤にしました。

初投稿です。アドバイス等よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 面白かったです! 文の書き方、お上手ですね(^ω^)
[良い点] 可愛らしいお話でした。実は魔女が姫なのかな?とか途中までいろいろ考えていたのですが、なるほどそういうオチとは。 終わり方があっさりしていて(いい意味で)物足りない気もしたのですが「童話」ら…
[一言] おもしろい発想でした!! ああ、なるほど、そういうオチなのか、と楽しませてもらいました。 三回目に小人達の視線をきにするところの書き方は、個人的にかなり好きです。 これからもがんばってくだ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ