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第三十七話 感情を貰う

 快音とも呼べる残響。

 カウンターで呆気にとられたマナカの祖父は、口を数回ぱくぱくさせてから、前のめりに動いた。


「こらマナカ! 常連さんになにやってんだ!?」

「じいちゃんちょっと静かにしてて。暴力だって訴えたら? サッカー部とか他の人の迷惑なんかどうだっていい。アタシは、ヒマリの方が大切だから――ミク、ただの興味本位とか勝手な善意とか要らない、帰って」


 マナカはいたって静かに落ち着いた表情でミクを見下ろす。

 ミクは前頭部に触れた。

 ほんの数秒後……ポロポロと目から涙が零れ始めた。

 ぎょっとした祖父はカウンターの端を手で撫でながら外に出て、ミクにティッシュを差し出す。


「ミクちゃん、大丈夫か?」


 ミクは何も言わない。

 マナカは唇を強く閉ざし、一歩後ろに下がる。


「……痛いです。でも訴えたりしません。でもこのままでいいと、思いたくありません。ワタシは……少し見方を変えたほうが良いんですね」


 しおらしくも、淡さが残る声色でミクは呟いた。

 ティッシュを涙で重くさせたあと、くしゃくしゃに丸めてポケットへ。


「それを知るためにも、教えていただきたいのです。ヒマリ先輩とマナカ先輩が絶交した日のことを」

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