表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/38

第十八話 テスト期間と呼び出し

 一学期の期末テストが近づいてきた。

 憂い気味に愛沢ノアは机にしがみつく。


《ヒマリちゃんは中間テストだって。期末は夏休み明けだって言ってた。あっちはテスト範囲がとにかく広いらしい……私だったら絶対ついていけない》


 ノアは感心と嘆きを抱えて俯いた。


《つまり、テスト期間だから一緒に帰れない》


「さすがに勉強しないと親うるさいし、さっさと帰ろ」

「お父さんがうるさいんだよねぇ、マジで鬱陶しい」


 隣からバニラの甘い香りが漂う。

 伏せたまま横に目をやれば、ハンドクリームを塗る生徒。

 三つ編みおさげと綺麗な顔立ちを、簡単に思い浮かべることができた。


《ずっとヒマリちゃんのこと考えてるかも、寝ても起きても、夢の中でも。ヒマリちゃんと友達になれて、名前で呼び合える、それだけのことで……胸や頭がいっぱいになるなんて、私、どうかしてる?》


 勉強よりも、ヒマリのことばかり考えていた。

 ぼんやりペンを握りしめて、ゆらゆら遊ぶ。


「ノア、ちょーっといい?」


 机が少し揺れた。驚き間抜けな声を漏らしたノアが顔を上げると、両端に手をつけて見下ろす谷崎マナカがいた。

 普段の明るさを弱めに、ぎこちなく笑みを浮かべている。

 彼女の笑顔が不安を運ぶ要素ではないか、ノアはじんわりと感じ取った――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ