第六十四話 帰り
ブラッドとノアは東でのハンター資格を取得し、ノルは大巫女に渡された六本の香木の答え合わせに見事合格した。
アルは帰りの船賃以上の金額を稼いだ。
「帰る日か、寂しくなるな」
最後の朝食を食べ終わり、九十九と天は、港に来ていた。
「次は、早めに来るかも」
「お世話になりました」
それぞれに、感謝の言葉を九十九と天に告げ、帰りの船に乗り込んだ。
船に乗り込むと、小柄なイヌの船長の挨拶があった。
「本日の航海の船長は、ワタクシ柴小太郎が務めさせて頂きます」
「小太郎…復帰したのか」
「黒瓜様。やっと、痛めていた腰が良くなりまして」
「知り合いっすか?」
「幼年の時からの、同級生だよ」
「へぇ〜」
今回の航海はリリの件があるので、大巫女に邪魔をしない様に、クローリーが言ってあるので、トラブルなく帰ることが目標だ。
「犬は普段はケージですけど、ノル様のご希望で、皆様ノル様と同じ部屋です」
「ワン!!」
「みんな食事以外は、ゆっくりしていいよ」
今回は旅の疲れもあるので、二名用の特等室のクローリーとブラッド以外は、全員個室にしてあるので、それぞれの部屋へとついた。
「…………」
クローリーとブラッドの特等室には、サリーのことを話しにノアが来ていた。
「大丈夫なのか?」
「この部屋には、母様特製の防音の魔法陣の札が貼ってある」
そういうことじゃないと言いたげに、ブラッドはクローリーの目をじっと見ている。
「さぁ、どうだろう…」
「船に乗ってる時、神罰に巻き込まれたら、堪ったモンじゃないっすよ」
「いちど怪我して以来、何も起こらなかったんだ。本格的な罰は大陸についてからじゃないのか」
「航海中だったら、どうするんっすか?」
「一応、サリーさんには波が高いから、甲板に出ない様に言っておくよ」
「……」
「ノルから聞いたが、クルーザーが一隻難破したらしいな。また鮫に…」
「それは大丈夫。船を操縦していた男が貧乏神に好かれてたから、起こった不幸だよ。貧乏神に好かれると、財産になりえる持ち物を全て失うから貧乏神っていうんだ」
「イヤな神様ッスね」
「人によって、失うことで得られるものも、あるから神様なんだ」
「それならいいが」
「とりあえず、大陸に着く前に、港で騎士団が待っているということはバレないように。海に身投げされたら困る」
「ああ」
「そうっすね」
約二十時間の船旅を無事に終え、港へと着いた。
サリーが最後に船を降りると、騎士団四名に取り囲まれた。
「……知っていたの?」
「いや、最初は全然。騙すなら、上手くやって欲しかったな」
「知り合いがいて、焦った私のミスよ」
サリーは怯えた様子もなく、落ち着いてリリのほうを見た。
「『サリー・サーバル』ご同行願いますか?」
騎士団の一人がサリーに声を掛け、手を取り手錠をかけた。
「ええ」




