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ほぼ亜人種しかいない世界で、おっさん声うさ耳獣人ショタとドSなダークエルフのバディが活躍する話  作者: しおんえみ
東方温泉旅行編

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第八話 クローリー母

 船が港に到着し、船を降りてすぐ母様と付き人の白蛇族の巫女『てん』が俺たちを出迎えた。

「よう、久しぶりじゃのぅ黒瓜くろうり

「お久しぶりです黒瓜様」

 そう俺の本名は黒瓜(くろうり)西でハンター登録する際、係員が『くろうり』をクローリーと表記して登録してしまったので、クローリーになってしまった。

「母様お久しぶりです」

 東に帰るのは東でのハンター免許の更新以来なので、約三年振りだ。

 西のハンター免許は五年だが、希少な動植物が多い東は出身者でも三年ごとにハンター免許を更新しなければならない。

「……なぁ…クローリーの母君だよな。でも声は男だよな」

「……声低いっすね…」

「渋いな」

「あら、ステキ」

「おねーしゃんなのおにーしゃんなの?」

「今の時期、神社の月人(げっと)は下が付いてるから安心しろ

「じゃあ、おにーしゃんなの?」

「まぁ…そうなるな」


 月人についての詳細な説明は、めんどくさいので放棄した。


 月人は基本、見た目が女性のほうが雄で見た目が男のほうが雌である。

 神社の巫女の声と下半身は基本雄であるが番になると、片方が雌になり出産する。


 女人禁制や男子禁制である神社仏閣で子孫を残すために独自進化を遂げた種族だ。


 大巫女になると繁殖期に巫女に種をつける。だが、俺は母様が神職と聖職者の会合で新月の夜、ウサギの神父に一目惚れをして生まれた。

 新月の前後は下半身が女性になるからだ。父は大巫女である母様が唯一惚れた男である。

 なので、姉や妹弟とは腹違いだ。そして、母様の声は神社内でも低いほうで、母様がたまに仏閣地区に用があって、僧侶と会話をすると、周囲の僧侶たちの黄色い声が飛ぶ。

「久しぶりの、船旅は楽しかったか?」

「……二鉢はどこです? 母様の差し金でしょう?」

「二十時間もの船旅、みな食うて寝るだけでは暇じゃろと思うてな」

 ブラッドが呆れ声で俺に尋ねた。 

「猫を囮にして、人食いザメを船にけしかけるのが暇つぶしなのか…」 

「俺の母様はそういう人なんだよ」

「いやぁ〜すいません」  

 船着き場の裏に隠れていたらしい二鉢が姿を現した。

「アル兄ちゃんの財布返すっす」

 二鉢は頭を掻きながら、素直に財布をアルに返した。

「……ありがとう」  

 アルは受け取った財布の中身を確認し、肩を落した。

「…………減ってる…」

「元々少ないんだから、諦めなさい。持っている以上に働いて稼げば良いんだから」

 アルは兄の発言に更に肩を落した。

「言っておくが、俺の母様は人使いが荒い」

「…………」


「詳しいお話は、神社についてからに致しましょう。皆様牛車に二人ずつ乗ってください」 

 天が牛車のほうに手を出し、みんなを誘導した。

「不思議な感じの人っすね」 

 天は白くて腰まである長い髪を後ろに束ね、白い肌、紅い目に頬には鱗がある。

 小柄で、見た目は十代後半に見えるが百年以上生きている。

「神の使い白蛇族だからな」

「ヘビ……」

 どうやらノアはヘビが苦手らしい。

「馬車じゃなくて、牛が引く車なんて初めて」

「おうましゃんじゃなくて、うししゃん」

 天の指示通り、二人ずつ牛車に乗って神社に向かった。


 

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