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ほぼ亜人種しかいない世界で、おっさん声うさ耳獣人ショタとドSなダークエルフのバディが活躍する話  作者: しおんえみ
王国連続猟奇殺人事件編

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第十七話 追跡

 被害者の匂いを辿って着いたのは王国から北へ4kmほど北と南の国境が断崖の向こうに見える草原で辺りを見回したが何もない。


 前回の追跡は犯人の匂いが途中で途切れた。


 弟のノアによると鼻を効かなくさせる薬を使い匂いを消しているらしい。

 今回は解毒薬をあらかじめ吸っておいたので匂いは途切れていない。

 

 

 匂いは確かに、ここだが地下に潜るにしても何もない広い草原で入口が見つけられない。断崖の下も見てみたが何もない。


 行き詰まりか…とひとりごち、通信器を手にして弟のノアに繋げた。


『あっ、ノル兄ちゃんからだ。もしも~しノル兄ちゃん』

「ノアか…追跡したは良いが、匂いが途切れた」

『近くに洞穴とか無い?』

「それらしきものは見当たらない」


 ブラッド看守長の声が聞こえた。

 『チッ、行き詰まりか?』

 知らない低い声の男が話しかけてきた。

『いや…ウサギは子を隠すのに地面に掘って穴を埋め直して子を隠す。近くに地下への入口があるはずだ』

 ウサギ…ブラッド看守長と仲が良いというウサギのガキかと…いや…ガキではないのだが、見た目はガキだ。

「俺はサーチ魔法が使えないから、見つけられない」

 魔法免許習得の際、探索サーチ魔法は適性が無かったので使えない。

 探索は魔法中、最も素質が必要で使えるものは少数だ。

『片目貸してやるから現在地を教えろ。なるべく正確に』

「西の端の断崖にある草原、北と南の国境が向かいに見えるところだ」

『分かった』

「うわっ…何だコイツ…」

 ウサギ耳で羽ばたく一つ目の見たこともない生物が出現した。

『使い魔だ』

 使い魔は最上級の魔法使いか、聖職者しか使えない召喚魔法の一種だ。

『…使い魔だと……』 

 滅多にお目にかかることのない魔法にブラッド看守長も驚いているようだ。

『話は後だ』

「……どうすればいい?」

『俺の左目の視神経と聴覚に繋がっている。何か草原に気になるものは無いか? 変った植物や花が咲いてるとか。片っ端から近づけ』 

「サーチ…サーチッサーチッチ〜」

 一つ目のウサギは緊張感のない唄を歌っている。

「変わったものと、言っても…」

 いったん気を落ち着けてから辺りを見渡す。花が固まって咲いている場所を見つけた。

「あの辺りが気になるな」

 小さい紫の花が絨毯の様になっている

『一輪だけ赤い花がある。引き抜け』


 言われた通り引き抜いたが何も起きない。


「ハズレか?」

『いや…微かに岩の動く音がした。近くの断崖を見ろ』

 ウサギの耳は犬より良い。

「洞穴がある」

 断崖へ向かい真下を見ると、今まで無かった足場と洞窟が現れた。

『近くに蔦がある。降りろ。すぐそっちに向かう』

 言われた通り蔦で足場に降り、洞窟の入口に立った。

「ああ…早くしてくれ。戦闘には自信があるが、何があるか分からん」

『ノル兄ちゃん〜俺も行く』

『……ああ』

『慎重にな』

 洞窟の中へ入ると明かりがないので光魔法を使って辺りを照らした。

「明かりは、これくらいでいいですか?」

『ああ』

 侵入者がいるというのに人の気配がないが奥へ進むにつれて被害者の匂いが濃くなっていく。

「匂いが濃くなっていく…間違いない」

 入口が見えなくなった辺りで左右に分かれている。

「匂いが濃いほうはコッチだな」


 右に進み50mほど進むと扉が見えた。


『別れ道まで戻って、俺たちが着くまで待機していてくれ』

「了解です」












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