~魔界⑦~
ー荒野ー
ポケレーターからの光に怯むダークバロン。
ダークバロンは邪悪な存在、聖なる光には耐性がない。
怯んだ隙にガオンはガブを助け出す。
ガブはポケレーターの光により回復している。
ダークバロン「チッ!ポケレーター、厄介な代物だ、以前にもソイツに邪魔された。」
タケルとの戦いを思い出すダークバロン。
ヤマトは急いでポケレーターの光でガブを回復させていく。
ガオンはその間1人ダークバロンへと向かって少しでも時間を稼ごうとしている。
ダークバロン「ポケレーター、そしてニンゲンよ、消えるがいい!」
ダークバロンの指先から放たれたムラサキの光線がヤマトを貫く。
光線はヤマトのカラダを貫通すると、ヤマトは跡形もなく姿を消した。
コトミ「ヤマト…ウソよそんなの…ヤマトー!」
ヤマトの姿が消えると、ガブは電池が切れたかのように動かなくなる。
ガオン「どういう事だ!」
ダークバロン「コレは儲けた。まさかガブまで動かなくなるとはな。」
ダークバロンは元の姿に戻り、ガオンに近づいてくる。
ガオン「コトミ、ガブを連れて離れてろ!」
ガオンはダークバロンを引き付けるも、ナカマの契約をしたヤマトがいない為存分にチカラを発揮できない。
吹き飛ばされ、コトミの足元に転がるガオン。
ガオン「コトミ…今すぐ…オレと契約してくれ!」
コトミ「…でもなんで…。」
ガオン「ヤマトが居ない今、このままじゃ進化も出来ずロクに戦えない。頼むコトミ…」
今まで見た事ないくらいに必死なガオンとコトミは直ぐに契約を結ぶ。
コトミ「ガオン…死なないで…」
コトミの涙がガオンにチカラを与え、ガオンは何とか進化する。
ダークバロン「契約者を変えたか。少しは楽しませてくれよ!」
ダークバロンとガオンの戦いが始まる。
ダークバロンは進化せずに、進化後のガオンと対等に渡り合っている。
お互い1歩も譲らないがダークバロンには進化が残されている。ダークバロンは遊んでいるかの様だ。
ガオン(ヤマト…ガブ…無事でいてくれ…)
ー現実世界 ヤマトの部屋ー
ヤマトは自室の机で目を覚ます。
ヤマト「ここは…」
辺りを見渡すも、いつもの見慣れた自分の部屋であった。
ヤマト「今までのって全部夢…なのか?」
ヤマトはポケレーターを手に取る。画面の中にはガブがいる、しかし様子が変である、グッタリとして動かない。
ヤマト「ガブ!おいガブってば!」
ポケレーターを操作するもガブは動かない。
ヤマト(やっぱり夢じゃない、俺だけ元の世界に戻ってきちゃったんだ…。みんなが危ない…。)
部屋を出て外へと走り出すヤマト。無我夢中で駆けていく。電車を乗り継ぎ、オフィス街へヤマトは目的の場所に向かって一心不乱に走り続ける。
やがてヤマトの目的の1棟のビルへと辿り着く。
自動ドアを抜け、受付に名前を告げると、目的のフロアへと案内される。
ータケルの研究室ー
勢いよくドアを開け、中にいる父の姿を探すヤマト。
ヤマト「父さん…。」
父タケルは薄暗い研究室で、パソコンを操作していた。
タケル「どうしたんだ?ヤマト、こんなとこまで来て。」
ヤマト「ガブが…ダークバロンが…」
息を切らしながらヤマトは説明しようとする。
タケル「ガブ!ヤマトお前、ガブに会ったのか?」
肩で息をしながら、ヤマトは返事の代わりに頷く。
タケル「そうか!しかしダークバロンだと…」
タケルは詳しい話をヤマトから聞く。
タケル「なるほど…ダークバロンが蘇ったのか…」
ヤマト「それにナカマをあっちの世界に置いてきているんだ、それにコトミだって連れてこなきゃ!」
タケルは聞き覚えのない名前に疑問を抱く。
タケル「コトミって誰だい?」
ヤマト「ニンゲンの女の子だよ、ある島で封印されていたんだ。彼女もコッチの世界のニンゲンなんだ!父さんを探していた。」
タケル「…。まさか!?」
タケルは1つの仮説に辿り着くと、タケルの後ろのベッドへとヤマトを連れていく。
タケル「ヤマト…母さんだ。覚えているか?」
ヤマト「もちろんだよ。」
ヤマトの脳裏にはあの母の意識が無くなった際の悪夢が蘇る。
タケル「コレは仮説なんだが…。母さんの意識はこの機械の中で生きている。恐らく…そのコトミという少女…母さんじゃないか…」
ヤマト「コトミが母さん…?」
タケル「おそらくあの事故の時母さんの意識はこの機械の中に取り残された、だが事故のショックで記憶を失ったか何かでコトミという少女として生きていたとしたらどうだろう…」
ヤマト「確かに、コトミは記憶を失ってた、でもいったい母さんの記憶は…?」
タケル「俺はガブのノイズ化なんて現象は知らない…もしかすると、母さんの記憶は1番信頼のできるガブの中へとデータとして避難しているんじゃないだろうか…」
ヤマト「それなら説明がつく…でも母さんはコトミって名前じゃ…あっ!」
ヤマトは頭の中で母の名前をカタカナに変換する。
タケル「カンタンなアナグラムだ、子どもの考えそうな名前じゃないか…なぁミコト。」
タケルは後ろでベッドに横たわる意識のない妻に話しかける。
ヤマト「ってことは、コトミを連れて帰ることが出来たら母さんの意識は!」
タケル「おそらく戻るだろう。」
父タケルは何度も何度もパソコンを叩いて探していた妻ミコトの意識、ようやく見つけ出すことが出来た。
だがまだ救い出せてはいない。
ヤマト「やっぱりもう一度あっちの世界に行かなきゃ!…でもどうやっていけば…」
タケル「ヤマトやってみるか…?」
タケルが指をさす方向にあるのはあの日の悪夢を生み出した機械だった。




