~チュートリアル島⑥~
ーチュートリアル島 スクラップヤード港ー
ベアードに乗ったヤマトとガブは魔獣の渓谷を抜け、川を下って行くと海へと出た。
ヤマト「海だぁー…?」
特有の潮の香りがしたと思ったがより強い悪臭が漂ってきた。
ガブ「鼻がぁ…」
ガブは鼻がいい為ヤマトよりも辛い様子である。
ベアード「ワシの、鼻でもキツイのぉ」
ヤマト「ニンゲンのオレでもキツいよ」
全員鼻をつまむ。
しばらく歩くといよいよ悪臭の原因が視界に入る。
ヤマト「ゴミの山…?」
様々なゴミが無造作に捨てられ島のようになっている。
ヤマト「アレは車、電車、おもちゃ、ゴミ袋?」
ゴミの山からはムサラキ色の液体が海へと流れ込んでいる。
ガブ「昔はこんなゴミの山なんてなかったはずなのに…」
ヤマト、ガブ、ベアードはヤマトのポケットに入っていたティッシュを鼻に詰めて鼻栓のようにしている。
ベアード「ココでも何かが起きているのか…?」
(ザクッザクッ)
???「またこんなにゴミが棄てられてる…」(ザクッザクッ)
フード付きのマントを着た人影がゴミを集めている。
ヤマト「あの…」
???「お前達がゴミ山の犯人かっ!」
マントの人影はクナイの様な飛び道具をヤマトに投げつけるが、ベアードがそれを叩き落とす。
???「なんの恨みがあってこんなことを…」
今度は先程の武器を手に取りベアードに向かってくるが、ベアードに武器を持った腕を捕まれ宙吊りにされる。
???「離せ!お前達のせいで港は、めちゃくちゃだ…」
ベアード「人違いだ。何があったのかワシらに話してくれまいか?」
???「どうせお前達もヤツらの仲間なんだろ!お前達が海にゴミを捨てるせいで海竜族が港町を…」
ベアード「そういうことじゃったか…。」
ベアードはマントの人物を地面に下ろす。
風が吹きフードが脱げると擬人族の女性だった。
???「見るなっ!」
すぐ様フードを被る、擬人族の特徴として見た目は現実世界のニンゲンに似たモンスターだが腕力、脚力はニンゲンのそれを遥かに上回っている、見た目がモンスターっぽくない事から擬人族は常にフード付きのマントを着用し、人前でフードを外す事はない。
ヤマト「ニンゲン…なのか…?」
ガブ「彼女たちは擬人族だよ」
ガブはようやく動けるようになっていた。
???「ニンゲンと魔獣族か?」
ガブ「まぁ、そんなとこかな?」
ベアード「擬人族のお嬢さん、一体誰がこんな事を…かつてはキレイな港町だったハズだが…」
???「アタシはレイナ、ココは数ヶ月前まで今じゃ見る影もない程栄えた港町だったの、それが突然空から大きなゴミの塊が降ってくるようになって、その後見た事もないキカイ族のヤツらがドンドン、ゴミを投棄するようになって…」
レイナは涙を流す。
レイナ「海竜族が海を汚れた事に怒ってこの港町を海に沈めるって…」
ヤマト「そんな…レイナ達はなにもしていないのに…?」
ガブ「海竜達は海の守護竜、海を汚すことを許さない種族なんだ…」
ヤマト「でも、実際にレイナ達が原因じゃないはず…なのにっ!」
ベアード「ヤマト、理屈は通用しないんじゃ…誰が原因だろうがゴミの山があるのはこの港町、海竜達は港町事ゴミ山を処分するつもりなんじゃ…」
ヤマト「そんな…」
レイナは言葉にならない涙を流す。
ヤマト「だからレイナは少しでもゴミを無くそうと…」
ベアード「とてもじゃないが1人でどうこうできるもんでもなかろうに…」
ガブ「他のナカマ達はどうしたんだ?」
レイナ「海竜に襲われる前に港町を出るって…でもアタシは生まれ育ったこの町が好きなの…もう一度昔のような港町に戻したくて…」
ヤマト「レイナ…」
ベアード「お嬢さんの気持ちはよくわかった…」
ガブ「そういう事なら仕方ないな!ヤマト、ベアードどっちにしてもココから海を渡るには港町から船を出してもらわなきゃならない。少し寄り道になるけどいいよな!」
ヤマト「こんなの見たら黙ってほっとけないよ!」
ベアード「決まりじゃな。」
レイナ「…えっ?」
ガブ「オイラ達が手伝ってやる!」
レイナ「こんな見ず知らずの擬人族に…?」
ベアード「お嬢さんにも手伝ってもらうぞい」
レイナ「…ありがとう…。」
(今までこんな風に誰かを頼ることなんてなかった、助けてくれるナカマがいる、それだけでこんな気持ちになるなんて)
4人はゴミ山のゴミを片付けながらレイナの話を聞く。
レイナの両親は既に他界していて、唯一の身寄りは町の長であったがキカイ族に抵抗して既に無くなってしまった。
レイナ「アタシ小さい頃、この港に迷い込んだ1匹の海竜と過ごしていた時期があったの…ケガをしていてゴハンも食べれない状態から必死で看病して海に返してあげたの…あの頃は海もまだキレイで…アタシにとってこの港は思い出の場所なのそれをアイツら…」
(ガチャッガチャッ、ピピピッ)
???「任務、ゴミの投棄…ピピッ」
キカイ族二足歩行型の2体のアンドロイドがゴミを投棄しにやってきた。




