~空の島⑨~
ークラウディア大聖堂 最上階ー
周りの音が何も聞こえない、ギリギリと骨の軋むような音だけが聞こえる。
辺りに骨の折れる音が響く。
ガブ「ヤマトっ!」
ガブの声が聞こえ、ピエロトはヤマトを放り投げる。
ヤマトは壁に叩きつけられた。
ヤマトは咳き込んでいる、ヤマトは生きている。
ガブが視線をピエロトの方へと移すと、ガオンがピエロトの脚に噛み付き骨を砕いていた。
脚を噛み砕かれた激痛でヤマトを投げ飛ばしたようである。
ピエロト「ライオン...貴様...!」
ピエロトの顔には苦痛の表情が浮かんでいた。
ようやく口を離したガオン。
ガオン「所詮はトリだろ!オレのキバで砕くなんてわけない。」
ピエロトは砕けた脚で立ち上がり、ガオンに向けて全ての指から光線を放つ。
ガオン「ヤマト!進化だ!」
ヤマトは咳き込みながら、ポケレーターを確認すると、進化の許可表示が出ていた。
ポケレーターを操作し、進化を選択する。
するとポケレーターから放たれた光はガオンに向けて放出された。
太陽光の様な眩い光がガオンを包む。
ピエロトの光線はポケレーターからの進化の光で消滅する。
光の中からガオンが進化した姿で現れた。
その姿は、ガブが進化した時のような獣人の様な姿であり、顔からはあどけない表情は消え、凛々しく、大人びた顔つきになっていた。
ガオン「獅子王・ガオン参る!」
脚が砕けて、動きが鈍ったピエロトにガオンは襲いかかる。
ガオン「知ってるか?獅子はウサギを狩る時も全力なんだ!」
ガオンの拳にエネルギーを溜めると右の拳をピエロト目掛けて打ち下ろす。
エネルギーが具現化し、獅子の形を司り、ピエロトへと襲いかかる。
ピエロトは躱す事も出来ずに、真正面から受ける。
ピエロト「ダークバロン!助けてくれ!オレはまだ死にたくないぃぃぃ!」
ピエロトは跡形もなく消滅した。
消滅と同時にレイナを拘束していたトラップの効力も消え、レイナは床に倒れ込んだ。
ガオンはチカラを使い切り、元の姿へと戻った。
ガオンのたてがみが元気無さそうにしおれている。
ヤマト「ゲホッ...ゲホッ…ガオンさっきのは...ゲホッ...?」
ガオン「進化だな...でもなんか変だな。本来進化したら元の姿に戻ることはないはずなんだが...?」
ガブはレイナを抱きかかえてヤマトと、ガオンに合流する。
ガブ「なんかオイラと同じみたいだな。」
ガオン「エレカゲにでも調べて貰おう。」
レイナ「みんなありがとう...」
レイナはまだチカラが入らない様子である。
ヤマトはスカイ・ハイの所へと行く。
ヤマト「スカイ・ハイ大丈夫か?」
スカイ・ハイ「まさか本当にお前たちだけで倒してしまうとはな...ありがとう、感謝する。」
ヤマトとスカイ・ハイは握手を交わす。
ヤマト「スカイ・ハイがいなければここまで来れなかった!ありがとう!」
スカイ・ハイ「何か礼が出来ればいいんだが...」
ヤマト「じゃあさじゃあさ、オレと仮契約してくれないか?」
スカイ・ハイ「仮契約...?」
ヤマトは仮契約について説明をすると、スカイ・ハイは快く引き受けてくれた。
スカイ・ハイ「オレなんかでよかったらどこにでも呼び出してくれ!」
スカイ・ハイと仮契約を交わすヤマト。
スカイ・ハイはピエロトの魔の手から開放された空の島を正しく導いてからヤマト達と合流すると、約束してくれた。
ピエロトを倒し、一安心したヤマト達の足元からムラサキのサークルが浮かび上がる。
ヤマト「なんだ!?コレ」
サークルはヤマト、ガブ、レイナ、ガオンを囲いサークル外に出られない様になっていた。
スカイ・ハイ「ヤマト!」
スカイ・ハイの声はヤマト達に届く前にヤマト達はサークルと共に転送されて行った。
ー魔界ー
突然現れたサークルによって、転送されたその先は、黒い木々が生い茂り、空はムラサキ色の不気味な場所だった。
ヤマト達と別行動を取っていたコトミとリュウグウも転送されて来たようですぐ近くにいた。
移動が済むと、サークルが消え、自由に動ける様になっていた。
ヤマト「ココは...?」
ダークバロン「久しぶりですねぇ。待ちくたびれて、私の島へ招待させてもらいました。」
ダークバロンの姿は見えないが、声が空間に木霊する。
ヤマト「ダークバロン!」
ダークバロン「せっかくですからこの島を観光しながら私の元へ来るといいでしょう。命の保証はしませんがね。」
ガブ「正々堂々勝負しろ!」
ガオン「やめろガブ、オレたちは今消耗している!今ヤツに出てこられたら全滅するだけだ!」
ダークバロン「そんな卑怯な真似はしませんよ、楽しみにお待ちしておりますね。」
ダークバロンの声が聞こえなくなった。




