~空の島⑦~
ー空中都市 クラウディア大聖堂ー
正面入口の扉は鍵が掛かっておらず、手前に引くと重い扉は音を立てながら開いた。
中には大きなシャンデリアがあったが、壁際には燭台が並んでいて、蝋燭には火が灯っていた。
ヤマト達が中に入ると、扉が音を立てて勝手に閉まった。
暗く、怪しい雰囲気のある大聖堂、目に見える範囲にモンスター達はいないが、ずっと誰かに見られているような気配を感じながら奥へと進んでいく。
ガオン「さて、ここからどう進めばいいんだ?」
衛兵長「まずは講堂へと、進んでみるか、なにか手がかりがあるかもしれない。」
衛兵長を先頭に、講堂へと向かって進んでいく。
途中何度か分かれ道があったが、衛兵長は真っ直ぐに講堂へと向かって行った。
長い廊下を抜け講堂に着く、扉を開け中に入るも、真っ暗で何も見えない。
1度廊下に戻り、近くの燭台を手に取り、講堂の中へと入っていく。
衛兵長「いつもならココで集会が開かれる、お前達の話を聞く限り、集会後人が居なくなってから襲われたという話だったな?」
ヤマト「どこにいるかまでは分からなかったけど、音が反響して聞こえた気がしたよ。」
講堂の奥の方へと進んで行くと、ガブは何かにつまづいた。
ガブ「あ、痛て!」
ヤマトがガブの足元を照らしてやると、???にやられた貴族が倒れている。
ヤマト「…。」
ヤマトは顔をしかめている。
衛兵長「おそらくヤツにやられたんだろう…」
ガオン「自分の思い通りにならないと、平気で命を奪うということか…まるで子どものようだな。」
衛兵長「あぁ、今まで何人もの犠牲者を見ている。街中で不満を言っただけで消されたヤツもいるほどだ。」
ヤマト「なんて奴なんだ…」
衛兵長「とにかく先を急ごう!」
ガブ「アレ…」
ガオン「ガブどうかしたのか?」
ガブがクンクンと匂いを嗅ぐ仕草をしている。
ガブ「こっちだ!レイナの匂いがする!」
レイナの匂い特に香水など使っている訳では無いが、草木の様な花の香りの様な人間には決して分からない微量の香りを辿ってガブは進んでいく。
ガオン「オレよりガブの方が鼻が利くらしいな」
空気中の僅かな香りを見失わない様に、講堂から出てガブは目を閉じクンクンしながら前へ前へと進んでいくと、壁にぶつかる。
ガブ「痛っ!」
目を開けるガブ。
衛兵長「大丈夫か?」
ガブ「おかしい、確かにこの辺からレイナの匂いがするのに…」
ガオン「ちょっと待て、ヤマトこの壁を調べてくれ!」
ヤマトと衛兵長は上の方、ガブとガオンは壁の下の方を見てみると、僅かに壁と壁の間に線が入っている。
ガオン「ガブ、大手柄だ!この壁をぶち壊すぞ!」
ガブファイアーとベアクローで壁を破壊すると、そこには道があり、奥へと進めるようになっていた。
衛兵長「まさか、こんなところに通路があるとは…」
ヤマト「こんなの見つけられないよ!ガブよくやったな!」
ガブ「えへへっ」
ガブは褒められて少し照れている。
燭台を持った衛兵長を先頭に、ガオン、ガブ、ヤマトと続いて進んでいく。
通路は途中から螺旋状の階段へと変わり、階段は最上階まで続いている。
レイナの身を案じて、休まずにひたすら階段を登っていく4人。
1番上まで辿り着くと、階段の先には扉があった。
扉を開けると長い廊下の先に一際大きな扉を見つけた。
衛兵長「きっとあそこだ!」
ヤマト「ガブ、ガオン準備はいいな!」
ガブ・ガオン「おう!」
4人は扉を開け、部屋の中へと進んでいく。
ークラウディア大聖堂 最上階ー
???「ようやく来たか、随分遅かったな!」
黒い三角帽子、黒いローブに身を包んだ姿でヤマト達に話しかけてくる。
ヤマト「レイナはどこだ!」
???「お前達のナカマならソコにいる」
指を指した先には磔にされたレイナの姿があった。
ガブ「貴様っ!」
???「誰に向かってそんな口聞いてるんだ!オレはこの島の王であり、ダークバロンの配下ピエロト・ポール様だ!」
衛兵長「大層な名前だな!ようやくココまで辿り着いた、お前に支配され、変わってしまったこの街を取り戻す為にここまで来た!」
ピエロト「一衛兵長ごときが、偉そうに。この島で1番偉いのはこのオレ、オレに楯突くやつは全て消滅してやる!」
ピエロトの、指からは例の光線が出るが、衛兵長は剣で光線を叩き斬る。
衛兵長「お前を倒す為だけに衛兵となり、ここまでやってきたんだもう、隠す必要もあるまい!」
衛兵長は重い鎧を脱ぎ捨て、兜を捨て去る。
衛兵長の背中にはホンモノの羽が生えている。
ピエロト「お前は…もう既に絶滅していたと思っていたが…まさか鳥人族の生き残りとはな…」




