~空の島④~
ー林ー
衛兵長は話が終わると町へと戻って行った。
ヤマト達は林の中で一晩過ごす。
夜が明けたら情報を集める為の作戦が始まる。レイナは少し緊張した面持ちでなかなか寝つけないでいた。
レイナ(アタシの擬態本当に大丈夫かしら...万が一途中で擬態がバレたり、ワザが解けたりしたらどうなるのかしら...)
レイナは1人、誰もに打ち明けられずに悩みを抱えて夜を過ごしていた。
ー林 翌朝ー
ガオンが誰よりも早く目を覚まし、ヤマト達を起こしていく。いつもなら寝起きの悪いレイナだが今日ばかりは違っていた。
レイナは実際には何時間か寝れていたが、寝ても覚めても侵入作戦の事で頭がいっぱいで全然寝た気がしなかった。
レイナ「もう朝なのね...」
ガオン「レイナ大丈夫か?」
ガオンは薄々ではあるが、レイナの不安と緊張に気づいていたが、今回ばかりはレイナに任せる他ない。
レイナ「全然大丈夫!アタシを誰だと思ってるのよ!」
こんな時でも強がってしまうのがレイナの欠点である。1人で生きてきた時間が長く、人に頼るという事が出来ない。ましてや自分にしか出来ない事で弱みを見せることなんてできるわけがなかったが、ガオンには全てお見通しであった。
ガオン「レイナ、無理する事はない!もしお前になにかあった時はすぐに迎えに行く!お前は侵入して、擬態する。それだけに集中してくれればいい!」
レイナ「別に、迎えなんて来なくて大丈夫よ!アタシ1人でなんとかするし!」
弱みを見せないレイナにこれ以上言葉を重ねる事はないとガオンは判断した、失敗なんて気にせずいつも通りレイナらしくやってくれたらそれでいいと伝え、レイナを1人送り出した。
残されたヤマト達は、町の中へ入ると、監視の目もある事から、林の中で待機をする事にした。
ヤマト(レイナ...無事で帰ってきてくれ...)
ー空中都市 クラウディア 中心地ー
レイナは外壁や石ころ植物など、ありとあらゆるものへと擬態しながら貴族の集会場所である、建物を目指していく。
途中馬車に乗るオソラスキーと衛兵長を見つけたが、レイナは1人、建物を目指していく。
レイナの侵入する建物は、貴族達の集会に使われるこの町の中心部にある建物クラウディア大聖堂である。
クラウディア大聖堂は貴族以外は入る事は許されず、外壁には沢山の彫刻が施され、いかにも歴史のある建物という雰囲気が出ているが、中に入ると、柱1本の装飾にも金や宝石が散りばめられ、島で集められた税金を湯水の如く使い、建てられた建物である事がわかる。
集会が行われるのは大聖堂の中の施設、講堂。
レイナは壁に擬態しながらゆっくりと講堂へと進んでいく。
ー空中都市 クラウディア 大聖堂 講堂ー
レイナが陣を置いたのは講堂内の窓の目の前にした。
万が一擬態がバレたり、解けたりした際にすぐさま逃げられるようにと、ガオンからアドバイスを受けていた。
しばらく身動きせずに待っていると貴族と思われる人々が目以外が全て隠れた三角の覆面帽子を被って講堂へと入ってくる。
ニンゲン型、獣人型、獣型、様々な人種の貴族達が各衛兵長を引き連れて予め決まっているであろう自分の席へと着いていく。
30から40人近くのヒトが集まると、講堂内へと声が聞こえてくる。
???「これで全員か?」
貴族A「いえまだ…」
そこへ1人が走って入ってくる。
貴族J「申し訳ありません。遅れました。」
貴族Jが焦りながら席に着こうとすると???の指から出た光で撃たれそのまま動かなくなった。
辺りの貴族達は何も言わず沈黙のまま自分の席に着いている。
この異様な光景にレイナは一瞬声を出しそうになるが、口を塞ぎ声が漏れないようにする。
???「決められた物を守れない者はいらないな。これで全員集まったな。」
何事も無かったかのように集会が始まる。




