~チュートリアル島⑤~
ーチュートリアル島 魔獣の渓谷 レオまるの洞窟ー
ベアード「レオまる、ワシじゃ、ベアードじゃ!」
真っ暗な洞窟の中へと進んでいく。
川沿いにある洞窟内の為ひんやりと空気が冷たい。
ベアード「おーい、レオまるやー」
返事がない代わりに唸り声が聞こえてくる。
ガブ「もしや…」
ガブはヤマトの手を引き洞窟を出る。
レオまる「グルルル、グォォーッ」
洞窟の奥からレオまるが飛び出してきた。
レオまるは魔獣族、ライオンとトラの子ライガーの様でたてがみと虎模様を併せ持つ、ベアードと並ぶ巨躯で、腕は4本足は2本尻尾が3本あり、完全二足歩行なモンスターである。
ヤマト「今までのモンスターより凶暴過ぎないか?」
ガブ「レオまるにもきっとカラダのどこかに模様があるはずだ、前に会った時よりも禍々しいチカラを感じる!」
ヤマトは模様が無いかレオまるを観察するが、レオまるが間合いを詰めようとじりじりとにじり寄ってくる為なかなか見つけられない。
ベアード「レオまる程の強者までもその模様とやらに操られるとはのぉ」
ベアードはヤマトとレオまるの間に割り込んだ。
ガブ「これが模様の効力みたいなんだ、操られている間の記憶は一切なく、本来のチカラよりも強力なチカラを得ている…」
ベアード「厄介な代物じゃな」(模様…ではなく紋章かのぉ?だとすればやはりダークバロンが関わってそうじゃ)
ヤマト「見つけた!左肩だ」
ベアード「どっちじゃ?」
(レオまるは腕が左右2本ずつ)
ヤマト「左の上の腕!」
ベアード「なるほど、アレじゃな!」
ガブ「よし、ベアード2人でレオまるを止めよう!」
ベアード「策はあるのか?」
ガブ「ベアードはレオまるの攻撃を防いでくれ、オイラは回り込んでレオまるを気絶させてみる!」
レオまる「ガルルルル」
唸り声をあげながらレオまるは4本の腕で殴りかかってくる。
ベアード「さすがに4本分はキツイのぉ」
左右1本ずつの腕を掴むも残った2本の腕で怒涛のラッシュを打ち込まれる。
ベアード「ガブ、今のうちになんとかせぃ」
ベアードはラッシュを打ち込まれながらもレオまるの2本の腕を離さない。
ガブは回り込んでガブファイアーを放つもレオまるの尻尾で撃ち落とされる。
ヤマト「ガブ!進化だー!」
勢いよくヤマトは叫んだがポケレーターは何も反応を示さない。
ガブ「オイラはバグのせいで進化に必要なエネルギーを毎回一定量溜めないと進化できないんだ…この間の戦いでエネルギーを消化したから今度いつ進化できるか…」
ヤマト「そんな…」
ガブ何度となくレオまるに攻撃を仕掛けるがレオまるに見向きもされずに尻尾であしらわれる。
ベアード「さすがに魔獣族トップクラスは強いのぉ…ガブ進化がダメならアレを試すかのぉ」
ガブ「ヤマト!ポケレーターを!」
ヤマトはポケレーターの画面を見る。
(ガブ ベアード ガ ジョブマッチ カノウ)
(ジョブマッチ シマスカ)
(YES◀・NO)
ヤマト(ジョブマッチ…?)
(とにかく今より状況がよくなるなら…)
ヤマトは決定ボタンを押す。
ガブとベアードが光に包まれる。
2人を包み込んだ光はひとつに混ざり合いガブとベアードの姿が消える。
光が眩しく輝きを放ち、やがて光が消える。
そこに立っていたのは
ガブの進化した姿にベアードの毛色、筋肉質な体格、鋭く長いツメを併せ持つモンスターだった。
ガブ「ガブ進化ver.ベアード!」
声はガブの声が少し大人びた様な声になっている。
ベアード「ジョブマッチはガブのみができる強化なんじゃ!」
ベアードの声はポケレーター内部から聞こえる。
ヤマト「ベアード???」
ヤマトはなにがなんだかわからない。
ベアード「ワシらナカマのチカラをガブ自身に取り入れるチカラじゃ、その間ワシらの意思はポケレーターに宿る。ガブとポケレーター、そして信頼できるナカマがいて初めて可能となる。」
ヤマト「…なるほど、ガブ!がんばれー」
ガブ「さっきまでのオレと思うなよ!」
長いツメでレオまるに斬り掛かる。
レオまる「グォォー」
4本の腕で白刃取りをするレオまる。
ガブのチカラが上回りそのままツメを振り下ろしレオまるの腹部に深いキズをつけた。
レオまるの顔は苦痛に歪む。
ガブ「ベアクロー!」
模様のある左腕を肩から斬り落とす。
レオまるは大きな叫び声をあげ、倒れ込む。
左腕から模様が消える。
ガブ「ジョブマッチを解除してくれ!」
ヤマト「解除?」
ポケレーターを見ると、
(ジョブマッチ カイジョ)
(YES◀・NO)
ボタンを押し、ジョブマッチの解除をした。
ガブのカラダが光だし、元のガブとベアードに別れた。
ガブ「つかれたぁー」
ベアード「ジョブマッチなんていつ以来じゃろうな」
ベアードは少し嬉しそうだ。
一方ガブは今までにないくらいヘトヘトになって仰向けに倒れている。
ヤマト「ガブ大丈夫か?」
ガブ「ジョブマッチはカラダに負担がかかるから終わったあとスゴくつかれるんだー」
ガブは起き上がることなく応えた。
レオまるが意識を取り戻す。
レオまる「…痛っ」
ベアード「レオまる、起き上がるか?」
ベアードはレオまるに肩を貸しレオまるを座らせてやる。
ヤマト「よかった、意識が戻ったみたいだ。」
ガブ「レオまる、強すぎるよ」
ガブは寝転んだまま話しかける。
レオまる「我輩は…確か…そうだ、ベアード、ダークバロンが甦ったのだ、ヤツの手下の呪術で谷の仲間たちが操られ…我輩はそれを助けようとして…」
ベアード「オマエも操られてしまった…ということじゃな」
レオまる「そのようだな。」
ヤマト「谷の仲間たちって事はまだまだ操られている仲間たちがいるのか?」
ベアード「本来この谷は、谷の王レオまるとその幹部達が守っているエリアじゃ、レオまるの幹部と言えば魔獣族の精鋭部隊、更にその部下と言ったらとんでもない数じゃな」
レオまる「うむ…それに我輩のムスコもおそらく…」
ベアード「なんとレオンもか…」
ガブ「ここ数日にしては被害の規模がデカ過ぎないか?」
レオまる「数日?ダークバロンが甦り、谷に現れたのは10年前の話だ、それから何年もかけてヤツらの情報を集めている最中に我輩も…」
ガブ「10年っっ!?」
ベアード「うむ、そういえばガブよ、タケル一緒に戦ってからの間1度もオマエに会っていなかったがどこで何を…?」
ガブ「わからない…タケルとまた会おうって約束をしてから…ヤマトに会うまでそんなに月日が経っていることすら今初めて知ったぞ。」
ヤマト「父さんのムスコだって言ったじゃないか?」
ベアード「まてまて、ワシらは幼体から生体になるまでひと月もあれば成長するのだ…タケルに聞いとったがニンゲンはそうはいかないらしいから感覚が違うのじゃ」
ガブ「オイラはその長い年月何をしていたんだ…?」
ベアード「またひとつ謎が増えてしまったようじゃな」
ヤマト「まだ何一つ解決していないのに…」
レオまる「我輩が持っている情報としては、ヤツらはこの島では無い他の島を拠点としていること、この島以外にも同じように手をかけていること、そして我輩のムスコ達も操られているということだけだ…申し訳ないが拠点としている島すら特定できなかった。」
ベアード「充分じゃ、拠点となる島はワシらで探してみよう、ムスコのことも任せてはくれないか?」
レオまる「ベアード、古き友人よ、感謝する。」
ヤマト「レオまるは谷に残って仲間の帰還を待っていてくれ!」
レオまる「ありがとう、ニンゲンよ」
ヤマト「任せてくれ、谷の王。ガブ動けるか?」
ガブ「まだ無理だな…」
ヤマト「ベアード、また乗せてくれないか?」
ベアード「よしきた!ヤマト、ガブが落ちないように抑えといてくれよ」
ガブを抱き抱える様にしてヤマトはベアードに乗せてもらう。
レオまる「検討を祈る。」
ベアード「ちょっといってくるわい」
ベアードに乗ったヤマトとガブは次のエリアへと進んでいく。




