~空の島①~
ー空ー
どんどん、どんどん上昇していくヤマト達。
ヤマト「いったいどこに向かっているんだ?」
ガブとレイナは自分達が上空にいることに興奮してはしゃいでいる。
コトミ「わたしたちどうなるのかしら…」
コトミは不安で仕方がない様子である。
リュウグウは元々海育ち、陸に上がることすらヤマト達との旅が初めてであり、ましてや空へと浮かぶ事など考えた事もなかったため不安と期待で表情が少し固くなっているように見える。
ガオン「まさかとは思うが…」
ガオンももちろん空の旅は初めてだがベアードだった頃の情報でなにか思い当たるフシがある様だが多くは語らない。
次第に大きな雲へと突入し、目の前が真っ白になる。
前が見えなくともお構いなしにガブとレイナははしゃぎ続け、雲の中を進んでいく。
分厚い雲を抜けるとそこには青空が広がり、大きな島があった。
島の上の方は霞んでいて見えないが人工島には見えない、空に浮かぶ島である。
島の海岸へと着陸し、立方体は消え去った。
ヤマト「ここは…」
コトミ「天国じゃないでしょうね…」
期待と不安が入り交じる。
ガブ「空の島だぁ!」
レイナ「空に島があるなんて想像もした事なかったわ。」
リュウグウはただただ無言で立ち尽くす。
ガオン「ウワサには聞いていたがまさか本当に存在するとはなぁ…」
クロスケの住む人工島のちょうど真上に、空の島があった事で、1番近くの島がこの空の島として、選択された様である。
初めて見る空からの景色、少し下の方には雲羊が群れを成してプカプカと浮かんでいる。
ガブが身を乗り出して見ようとすると首の後ろをレイナに引っ張られる。
レイナ「そんなに身を乗り出して、落ちたらどうするのよ!」
ガブ「そうだった!」
こんな時にもガブは楽しそうである。
ガオン「しかし、どういった原理でこの島は浮かんでいるんだ?雲の上に立っている様子もないし、人工島の様に動力がある訳でもない…」
そこへ突然羽の生えたニンゲンのようなモンスターが駆け寄ってくる。
???「お前たち侵入者だな!どこから入ってきた!」
よく見ると、羽は作り物で背中に取り付けてあるだけの様であるのがわかる。
ヤマト「侵入者と言えば侵入者かもだけど…別に悪い事しに来たわけじゃないんだけど…」
???「ココは空の島。つまりココに住む者達は、神なのだ!我々の領域を侵すものは誰であろうと許さん!」
コトミ「神ですって…」
???「我々の行ないは全て正しい、地上の者は我々に従っていればそれでいいのだ。」
レイナ「随分お高くとまっているじゃないの!長く空に居すぎて頭がおかしくなったんじゃないの!」
???「無礼な!このオソラスキー様に向かって!もうよい、衛兵ー!衛兵ー!」
オソラスキーの呼び声に衛兵達が海岸へと集まってくる。
オソラスキー「この者共を捕らえよ!侵入者でありながらこのオソラスキー様に向かって
暴言を吐きおった!」
衛兵長「なんて無礼な!皆の者捕らえるのだ!」
衛兵達はヤマト達を取り囲むように円を作る。
ヤマト「またこのパターン?」
レイナ「アタシ達つくづく嫌われるわよね。」
ガオン「お主が余計なこと言わなければもう少し穏便に済んだかもしれんのに…」
レイナ「仕方ないじゃない、腹がたったんだから!」
ガオン「それに関しては同感だな!」
コトミ「みんなどうするの?」
ヤマト「そう簡単に捕まってたまるか!みんなやっちゃえ!」
ガブ、レイナ、ガオンは衛兵達をなぎ倒していく。
リュウグウは、ヤマトとコトミに危害が及ばないように2人を守る。
次々と倒れていく衛兵達。
ガブ「なんだ、大したことないじゃんか!進化もノイズ化もしてないのになんて、呆気ない。」
ガオン「鍛錬が足りないな!」
レイナ「暴れ足りない!」
残っているのは、衛兵長とオソラスキーの2人だけとなった。
オソラスキー「衛兵長、撤退!撤退だ!我を連れて逃げるのだ!」
衛兵達を残して、衛兵長はオソラスキーを担いで逃げていく。
ヤマト「なんだったんだアイツら…」
レイナ「ただの思い上がりじゃないかしら?」
ガオン「少し調べて行った方がいいかもしれんな、空の島なんてなかなか来る者はいないだろう、だからこそ悪事を働くには邪魔が入らない…もしかしたらヤツらの手がかりが掴めるかもしれん。」
リュウグウ「なるほど、確かに隠れてコソコソするにはちょうどいい環境かもしれないな!」
ヤマト「ヤツらの、逃げた方に向かおう!」
海岸から林に入り、オソラスキー達が逃げた方へ向かって行くヤマト達。




