~ニンゲン?の島③~
ー田園ー
レイナは見えない敵と組み合ったまま動かないでいる。
ヤマト「そのワザの正体って一体…」
レイナ「擬態よ、くっ…擬人族がこのワザを極めたら、誰にも見つからずに暗殺だってできるほどのワザ…うぐっ」
レイナは押され気味に見える。
ガオン「擬態か、だが擬態は物体に溶け込むワザじゃなかったか?」
レイナ「アタシが使えるのはその程度だけど極めたら風景にだって溶け込める。だから姿が見えないのよ」
レイナは突然吹き飛んでくる。
ゲンエイ「分かったからといって、どうということもない」
景色に溶け込んでいる為、声だけが聞こえてくる。
ガブ「匂いまで全くしないとなると探しようが無いな…」
リュウグウ「辺り全体吹き飛ばせるほどの火力があればいいが…」
リュウグウは先程のハイドロスプラッシュにより既にガス欠状態にある。
コトミ「なんとか見つけられる方法はないのかしら?」
レイナ「擬態の精度だけじゃなく、音も、匂いもしないとなると難しいわね…」
レイナは立ち上がった。
レイナの後ろで血が吹き出す。
レイナ「なっ…!」
ゲンエイ「これだけ接近しても気付けもしないだろ…」
レイナは声を頼りに、空を掴むとゲンエイの腕を掴めた様である。
ゲンエイ「ダメージを受けたはずじゃ…?」
レイナ「クロスケのおかげね!」
斬られたように見えたレイナだったが、斬られたのはクロスケの分身であり、レイナは無傷だった。
クロスケ「本当に好き放題やってくれたな」
最初に倒れたクロスケも分身であり、本体のクロスケは無事である。
クロスケは怒っている。
レイナ「クロスケ、さっき分身が言ってたアレできる?」
クロスケ「いいだろう!」
クロスケのワザは空間を一部入れ替えることができる。先程からの分身との入れ替わりも空間を入れ替えて、分身を即座に身代わりにしていたのだ。
クロスケ「残念だな、確かにお前さんの擬態は完璧だ、だがその精度の高さゆえの弱点もある。」
レイナ「いいから、早くして!コイツ、チカラが強すぎるのよ!」
レイナはゲンエイの腕を掴んだまま離さない。
クロスケ「空間転移」
クロスケはレイナが掴んでいる腕付近に座標を合わせて、トンネルのあった空間を呼び出した。
すると、田園風景の一部がトンネルの背景となる。
今まで見えていなかった、ゲンエイの姿がトンネルの背景に重なっている部分のみハッキリと姿が見える。
クロスケ「複雑な擬態だからこそ、更に背景が複雑になるととけ込めないんだろ?」
ガオン「なるほどな、複雑をより複雑にする事で相手のキャパを、超えるか…」
ガブ「今だ!ガブファイ…」
レイナ「ちょっと待ってガブ!」
ガブの攻撃を、レイナは遮った。
レイナ「ゲンエイ、あんたはなんでダークバロンなんかに…」
ゲンエイ「ダークバロンに着いていけばオレ自身が更に強くなる、それだけだ!」
レイナ「随分勝手な理由なのね!後悔してるとか、反省の弁でも、あれば許してあげようかとも思ったけど…」
ゲンエイ「そんなつもりなどさらさらないわ!」
レイナ「ガブもういいわ!」
ガブ「ガブファイアー!」
ガブファイアーがゲンエイに直撃するも、ガブファイアーの威力では歯が立たない。
ゲンエイ「この程度で…片腹痛いわ!」
レイナの腕を振りほどき再び背景と同化するゲンエイ振り払った際にレイナは利き腕である右手を斬る。
レイナは武器が握れない。
レイナ「くそっ!」
ヤマト・コトミ「レイナ!」
レイナの右手からはおびただしいほどの血が流れる。
ガオン「レイナ、オレが変わろう。」
ガオンが、1歩前へと歩みでる。
ヤマト「ガオン…見えないんじゃ…」
ガオン「まぁ任せておけ。」
ガオンの背中を見送る。
ガブ「ガオンの実力を見れるいい機会かも!」
リュウグウ「ベアードの転生がどんなもんだか気になるからな。」
いよいよガオンの実力が見れる戦いが始まろうとしている。




