~ニンゲン?の島②~
ー田園ー
レオン「コトミ大丈夫か?」
コトミはあまりのニンゲンの多さに酔ってしまった様子で、ようやく落ち着いてきた。
コトミ「心配してくれてありがとう、もう大丈夫よ。」
ヤマト「また何かあったのかと思ったよ。」
レオン「それなら少し、気を引き締めていこう!」
ガブの全身の毛が逆立ち既に辺りを警戒している。
ヤマト「まさか、モンスターが?」
レオン「あぁ、さっきからプンプン匂ってやがる!」
リュウグウ「だがこの気配はどこから…」
リュウグウは周りを見渡すが、怪しいものはいない。
レイナ「こんなにデカイ気配なのに姿が見えないなんて…」
ヤマト「こんなに見通しがいいのにどうして…」
辺りは田園、隠れる様な建物や大きな木もない、あるのは田んぼ、電柱、田んぼに佇む案山子くらいである。
ガブ「この田んぼ焼け野原にしたら出てくるかな?」
冗談ではなく、本気で言ってるガブ。
レイナがガブを、止める。
レイナ「ちょっとガブ!止めなさいよ!」
ガオン「火に囲まれたらこっちまで危ない、リュウグウ、アレ狙えるか?」
リュウグウはガオンの言葉で何を指しているのかを察する。
リュウグウ「アレだな、ハイドロスプラッシュ!」
複数の案山子にハイドロスプラッシュを放つも手応えは無く、透過してしまう。
ヤマト「アレもホログラムなのか?」
ガオン「んー、リュウグウあっちも頼む!」
リュウグウは無言でハイドロスプラッシュを放つとまたしても案山子を透過するが、一体だけハイドロスプラッシュを避ける案山子がいる。
リュウグウ「いたな!」
リュウグウはハイドロスプラッシュを放とうとするもワザが発動出来ない。
ガオン「限界の様だな、オレがヤる!」
ガオンは案山子へと駆け寄りツメで切り裂く。
案山子は見た目よりも速く動きガオンのツメを回避する。
クロスケ「危ないじゃないか!突然どういうつもりだ!」
案山子が口を開いた、口を開くと言っても顔は書いてあるだけなので、声だけが聞こえる。
クロスケは十時に組んだ木に服が着せてあり、両手には軍手、顔は藁でふくらませた布に手描きで顔が書いてある。
ガオン「どういうつもりって、オレたちを狙ってる訳じゃないのか?」
クロスケ「オラはこの島を守っているだけだ!」
ガオン「この大きな気配はなんだって言うんだ?」
クロスケ「オラの島から出ていってもらいたいから威嚇しただけだ!」
確かにクロスケはヤマト達に危害は加えていない。
クロスケ「この島は何も無い島だが、オラにとっては大事なふるさとだ、オラのふるさとを荒らすヤツは許さねぇ。」
クロスケはこの島が大好きなだけのようである。
コトミ「なるほどね、じゃあわたし達は争う必要はないわ、気になって上陸はしたけど、ダークバロンの痕跡もないし、島に異変もないようだし。」
クロスケ「ダークバロンなるほどな...」
ガブ「なにか知ってるのか?」
クロスケ「少し前にダークバロンの手先だってヤツが島に来た、もちろん返り討ちにしてやったがな」
ヤマト「1人で戦っているのか?」
クロスケ「家族やナカマは不便だからと、島を出ていった。この島に残ってるのはオラ1人だ。」
ガオン「その言葉本当か?」
ガオンのたてがみが立ち上がる。
クロスケ「もう、何年も1人で住んでるよ。」
ガオン「全員戦闘態勢をとれ!今スグだ!」
レイナ「急になんなの?」
ガオン「さっき気配を感じた時、その気配は1つじゃなかった、ヤツの言うことが本当ならもう1つの気配は...」
???「よく気づいたもんだな」
声は近くから聞こえてくるが姿はない。
ヤマト「また、見えない敵か!」
レイナ「見えない訳じゃないわ、コレは擬人族の...」
???「そこまでわかるとは大したものだな」
ガブ「匂いもないぞ...」
リュウグウ「誰だろうと倒せばいいんだろ?」
ガオン「まさかとは思うが...擬人族の戦士でありながらダークバロンに付いたゲンエイか...?」
ゲンエイ「オレを知ってるやつがいるとはな旧時代の生き残りか?」
レイナ「ゲンエイ...実在したんだ...」
クロスケ「一体誰となんの話をしているんだ...」
ゲンエイ「元はと言えばお前が我々の邪魔をするからオレがわざわざ出向くことになったんだ!」
クロスケの背中が、いきなり切り裂かれ、血が吹き出す。
クロスケ「なっ...」
クロスケはそのまま倒れていく。
ヤマト「何が起きたんだ?」
目の前で起きた事態にヤマトはついていけない。
金属音が鳴り響き、レイナが見えないゲンエイと組み合っている。
レイナ「ヤマト、その案山子連れて離れてて!」
ヤマト「レイナ、見えるのか?」
レイナ「ワザの正体が分かれば辛うじてだけどね...」
レイナはそのままの体制のまま動かない。




