~恐怖の遊園地③~
ー廃れた遊園地 お化け屋敷前ー
怖がるコトミを連れてお化け屋敷前へと戻るヤマト達。
コトミ「ホントに入るの…?」
ヤマト「オレ達助けてもらった訳だし、見過ごせないだろ。」
ガブ「コトミは地下にいてもよかったのに」
ガブの言葉にムキになるコトミ。
コトミ「行けばいいんでしょ!行けば!」
3人はお化け屋敷の扉を開くと扉の軋む音がする。
中に入ると突然扉がバタンと音を立てて締まる。
コトミは音に驚きカラダをビクッとさせる。
ー廃れた遊園地 お化け屋敷内ー
中は薄暗いが灯りがなくとも進めそうだ。
よく見るとあちらこちらに血しぶきが飛んでいたり家具が壊れていたりとお化け屋敷の雰囲気はある。
コトミ「はやく調べてさっさと出ましょ!」
コトミはやはりこわいようだ。
ヤマト「あんまりおっきな声出すなって、どこに何がいるかわかんないんだぞ!」
???「痛っ!」
ヤマト「うわぁ!」
???「足をどけてくれ!」
声を上げたのはトラの顔が付いた敷物だった。
ヤマト「ご…ごめん」
ヤマトは直ぐに敷物からおりた。
???「珍しいな、意識のある客人とは…」
コトミ「あなた…なんなの?」
???「おれはトラシキ、ココに来る客人を驚かす仕事をしていたが、最近は意識が朦朧としたやつばかりが入ってくるからつまらんのよ」
ガブ「そうだ!トラシキ、その意識が朦朧としたヤツらがどこに向かっていくのか教えてくれないか?」
トラシキ「なんの為に?」
ヤマト「ソイツらを助けて、この島も元の住人達(ハロウィン族)の手に返してやりたいんだ。」
トラシキ「お前たちが…そうなったらまた驚かすことが出来るのか!なら教えてやろう!」
トラシキは人を驚かすのが何より好きらしく話に乗ってきた。
トラシキ「おれの奥に階段があるだろ!アレを登った先に2階の廊下がある、2階に着いたら左側の3番目の部屋に入るといい、そこにおれの仲間のクマシキがいるからそこでおれの名を出せば教えてくれる!」
ヤマト「ありがとうトラシキ!」
トラシキ「お安い御用だ!」
トラシキは笑顔でヤマト達を見送るとまた敷物に擬態した。
コトミ「ホントに信じていいのかしら?」
ガブ「コトミは疑り深いな…」
言われた通りに階段へと進むと上から足音が聞こえてくる。
(カツ…カツ…)
すぐ側にあるガーゴイルの彫刻の陰に隠れるヤマト達。
階段の上から降りてきたのは赤いハイヒールに目の付いたモンスターのようだ。
とりあえず戦いを避けたいヤマト達はハイヒールがいなくなるのを待ってから階段を上り目当ての部屋へと急ぐ。
2階にあがると長い廊下があり、それぞれの部屋に通じる扉がたくさんある。
ヤマト「左から3番目…3番目と…」
部屋と部屋の間は見た目よりも長く壁には不気味な肖像画が飾られている。
ここが建物の中だということを忘れてしまいそうになるほど長い廊下が続く。
コトミ「ここじゃない?」
コトミは部屋を見つけるもヤマト達を先に行かせる。
ヤマトはドアノブをひねり中に入る、2人は後に続く。
ガブ「クマシキ!いるー?」
クマシキ「誰だ?おれさまの名前を呼ぶのは!」
部屋の奥の方から声が聞こえる。
奥に進むとシロクマの頭を付けた敷物があった。
ヤマト「クマシキ…?」
恐る恐る話しかけると返事が返ってきた。
クマシキ「おれさまの名前を呼ぶのはお前たちか?一体何の用だ?」
ヤマト達はトラシキに言われたようにクマシキに話す。
クマシキ「あのトラ公め、まったく…」
コトミ「クマシキさんお願い!教えて!」
クマシキはコトミに気がつくと目がハートになる。
クマシキ「教える!教える!なんでも教えちゃう!」
クマシキは上機嫌になる。
コトミ「この先はどう行けばいいの?」
クマシキの反応がよかったためコトミがメインで話す。
クマシキ「おいボウズ達、おれさまのカラダを持ち上げてみな」
クマシキのカラダは見た目より軽く、ヤマトとガブが持ち上げると簡単に動いた。
クマシキ「見な!」
クマシキがいた真下には下へと続く隠し通路のフタがあった。
クマシキ「ここを進んでいけば、目的の合成獣の研究所に着く!」
コトミ「ありがとうクマシキ!」
コトミはクマシキにお礼のハグをするとクマシキはデレデレになった。
クマシキ「いいってことよ!はふぅーいい香りだぁ」
ヤマト「あぁいう大人にはなりたくないな」
ガブ「だな」
クマシキ「うるせー!ボウズ共さっさとフタを開けて行っちまえ!」
ヤマト「言われなくとも!」
ガブ「さっさと行こうぜ!」
コトミ「じゃあ、またねクマシキさん!」
クマシキ「お嬢ちゃん、帰ってくるのを楽しみに待ってるよ!」
クマシキは目をハートにさせたまま3人を見送った。




