~海竜の神殿④~
ー海人族のアジトー
ベアード「うーむ、ノイズの侵食と暴走のぉ…」
ベアードの声がポケレーターから聞こえてくる。
先程の戦いでの傷が思ったよりも深いようである。
コトミ「結局情報は得られなかったね。」
ヤマト「みんな無事だっただけよかったよ。」
リュウグウ「更に強いヤツが出てくると思うと…」
リュウグウはビビっている。
ガブ「その時はまた戦えばいいさ」
ベアード「ガブ体はなんともないのか?」
ガブ「まぁ、さっきは体が熱くなってその後は覚えてないんだけど体は全然大丈夫だ!」
ガブは腕をグルグル回してみせる。
ヤマト(でもなんだったんだろう…ガブがガブじゃなくなっちゃう…そんな感じがした…。)
ガブ「とにかく前に進まなきゃ!」
ガブは先頭を歩き出す。
リュウグウ「そっちじゃないです…。」
ガブが歩き出した方向はもと来た道だった。
ガブ「…。」
ガブは照れくさそうにしてみんなに続いて歩いていく。
ヤマト(さっきのヤツらにはダークバロンの模様はなかった、ダークバロンは関係ないのかな?)
色々な疑問を抱きながら前へ前へと進んでいく。
しばらく進むと骨が積み重なった墓場のような場所についた。
コトミ「ほっ…骨!?」
ベアード「ただのオブジェか何かだろう…ワシらは死んでも骨も残らんからのぉ…」
レイナ「それにしても悪趣味ね…」
リュウグウは怯えている。
視線の先には大きな竜の骨にも見えるオブジェもあった。
ヤマト「一体なんの目的があってこんなオブジェを…」
ガブ「ヤマト!アレ…」
ガブの指差す方向を見るも大きなオブジェがあるだけでなにもない。
ヤマト「なんだよガブ、驚かせるなよ!」
ガブ「…今なにかが動いたんだ…」
レイナ「怖いこと言わないで…ただでさえ不気味なんだから…」
コトミはなにかに気づいて震えながら指をさす。
コトミ「動いてる…。」
たくさんある竜の骨のオブジェの中の一つが呼吸をする様に動いている。
ヤマト「骨が…骨が動いた!」
その場にいた全員が恐怖で足がすくんでしまう。
竜のオブジェの中に年老いて痩せこけた竜が紛れ込んでいた。
老竜「オヌシ達は何者だ…」
弱々しくも威厳のある声で語りかけてくる。
ガブ「オイラ達は海竜王を救いに来たんだ!」
ガブが応える。
老竜「海竜王の…そうか…」
リュウグウ「父ちゃんを知ってるんですか?」
老いた竜はリュウグウを見る。
老竜「海竜王のムスコか…よく似ておる…海竜王なら海人族達によってここを抜けた先に連れていかれるのを見た…海竜王程の者であれば神のチカラを解放すればすぐにでも逃げられるだろうに…」
ヤマト「神のチカラ…?」
老竜「大方人質でも取られているのであろう…」
レイナ「人質なんて…」
コトミ「海人達はとにかく海の王の座を自分達のモノにしようとしている。王の座を海人王が譲渡するまでは下手に手は出さないはず。」
ガブ「それならはやく助けなきゃ!」
老竜「して…オヌシ達にそれができるかのぉ…ヤツらは海竜族すらも凌ぐチカラをもっているとみた…」
ガブ「ここに来るまでだって海人族を倒して来てるんだ!なんとかしてみせる!」
老竜「そうか…だが気をつけろ…ヤツらを牛耳るメガロドンを甘く見ない方がいい…」
リュウグウ「メガロドンだって…!?」
ヤマト「リュウグウ、何か知ってるのか?」
リュウグウ「…はい。メガロドンはその昔先代の海竜王と海の王の座を賭けて戦い敗れたと聞いておりますがその強大なパワーと凶悪な思想により遠く離れた氷山へと幽閉されたと聞いております。」
老竜「そのメガロドンが当時のままの強さで現代に甦ったのだ…」
リュウグウ「今ではおとぎ話として海の世界に伝えられてるほどの大悪人です…。」
老竜「メガロドンが持っている黒いオーブの光を見るとメガロドンの指示に従う兵士になってしまうらしい…」
ヤマト「それでヤツらには模様がないのか…」
老竜「ワシの命はもう短い…そこの海竜王のムスコよ…ワシの残りの命をオヌシにやろう…さすれば今より少しばかりは成長し、戦力になれるはずじゃ…」
ヤマト「どうゆうことだ?」
リュウグウ「同じ竜族同士なら、残りの命と引き換えに融合し、より強力な竜族に成長することができるのです。」
コトミ「どうするの?」
リュウグウ「父ちゃんを…海竜族を助けられるなら…」
老竜「確信はないが…今より間違いなく強くなるハズじゃ…準備はいいか?海竜王のムスコよ。」
リュウグウ「はい。」
老いた竜の体が光に包まれ一直線にリュウグウの体に入っていく。
リュウグウは見た目こそ変わらないが、体は一回り大きくなったそして老いた竜の姿はなくなった。
リュウグウ「チカラが溢れてくるようだ!」
成長は体だけでなく怖がり屋だった性格も少し逞しくなった様に思える。
コトミ「リュウグウこれからもよろしくね!」
リュウグウ「任せておけ!」
新たな情報と新たなチカラを手に入れたヤマト達、
メガロドンの進んだ道を追いかけて目的地へと近づいていく。




