6
あらすじ
主人公、ボッチのおかげで難を逃れる。
朝から望月さんを観察していたけれど、収穫はなかった。
そもそも、見てるだけで願い事なんてわかるわけない。
あえて気づいたことと言えば…僕と同じで、一人でいることぐらい。
時折、クラスの女子が話しかけようとしているのは見かけるが、なぜか話しかけずに去っていく。
その理由はおそらく、彼女の目つき。目元にしわができるほど、相手をにらみつけている。
…どう見ても、喧嘩を吹っ掛ける不良だ。あれじゃあ、避けられるのもしかたない。
でも喧嘩を売っているようにはみえないんだよな。喧嘩を売りたいわけじゃないのに、どうしてあんな目つきを…一人が好きなのかな。
そう考えていると、チャイムが鳴る。
今日の最後の授業。科目は現代国語だ。
現国は割と好きだ。小説とかよく読むから面白い。
ノートと教科書を用意していると、望月さんの様子が視界に入った。
カバンと机の中を交互に見て、何かを探している。
…なんだか慌ててるような…もしかして、教科書忘れた?
「もしかして…忘れっ…」
どうやらそうみたいだ。小声で話す言葉が聞こえてきた。
こういう時は、机をくっつけて見せあうべきだよね。うん。ところで…
…どうやって声かければいいんだろう。
そうこう考えているうちに、先生が教壇に立っていた。
挨拶を済ませ、授業が始まる。
ちらりと隣を見ると、うつむいてしまっている望月さんがいた。
そこで気づいた。彼女が瞳にうっすらと涙をためていることに。
……僕は、
「……きょ、教科書忘れたの?」
「え?」
周りに聞こえないよう、小声で彼女に話かけていた。若干声が上ずった気がする。
やばい、言葉が出てこない。…落ち着け…ここは、『よかったら、一緒に見ませんか?』が正解だ。
よ、よーし…
「よ、よかったら…どうぞ…」
そういって僕は…教科書を彼女に渡していた。
ちがうだろぉーーー!!!渡しちゃダメじゃん!一緒に見ませんかでしょ!
正解の言葉は分かっていたのに、出てきたのは別の選択肢。
これが失敗だってのは分かる。渡された彼女だって、困惑してるじゃん。
「え…あの…でも…!」
「そこの2人。授業中ですよ?私語は慎みなさい。…それと、星乃君。教科書は?」
やべー気づかれた。でも今更返せとは言えないし…
もうここは、忘れたのは僕ってことにしておこう。
「あーえーっと…すみません、忘れてしまって…」
「…では隣の人に見せてもらいなさい。」
「はい、すみません…えっと、というわけで…見せてもらってもよろしいでしょうか。」
「これ元々もあなたの…いえ…何でもありません…」
何か言いかけたが、怒られたこともあり何も言わず僕に教科書を見せてくれた。
それから、授業が終わるまで僕らは黙って授業を受けた。
気まずい時間が流れ、授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。
「今日はここまで。しっかりと復習をするように。日直。」
「起立!礼!」
「…ふー。」
「あ、あの…」
「ちょっと早いが、ホームルーム始めるぞー。終わったら帰っていいからなー。」
授業が終わり、机をもとの位置に戻す。なんとか乗り切った…
すぐにHRが始まってしまい、望月さんと話す機会がなかった。
先生の話も終わり、クラスのみんなも帰る準備を始める。
…僕も帰ろう。多分家でステラが、お腹をすかせてるし。
急いでカバンに荷物を詰め、帰ろうとした時。
「あの!」
「うわぁ。」
望月さんに服をつかまれた。
なんだろう…彼女を見ると、教科書を差し出していた。
あっそうだ教科書。先生の話中、ずっと今日の献立考えてて忘れてた。
「こ、これ!え…っとあり、ありが…とう。その…」
「いや、気にしないで。ほら!困ったときはお互い様というか…その、とにかく気にしなくていいから!」
「あっ…」
なにか言いたそうにしていた彼女から、教科書をひったくるように受け取り教室から出て行った。
…あーしまった。これをきっかけに、仲良くなれたかもしれないのに。
そんな後悔を背負いながら、下駄箱から靴を取り出していると、
「ほ、星乃君!…ま、待って…はぁ…はぁ…」
「…ん?って望月さん?」
望月さんが、息を切らせながら僕に声をかけてくる。
どうやら、走って追ってきたようだ。
何かを言おうとしている彼女。僕はそれを黙って待つ。
「あ、の…いいいいっしょに…帰りませんきゃ?」
「え、あうん…はい。いいですよ。」
顔を真っ赤にしてそう言ってくる彼女の言葉を、断ることなんてできなかった。
というより断り方を知らない。いやここで断ったら、明日から絶対気まずいじゃん…断れないでしょ。
…後、最後噛んでいたのは、聞かなかったことにしておこう。
モチベーションになりますので、感想コメント、いいね、評価お待ちしております。
下の星もお願いします。